田中天

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田中 天(たなか たかし、1977年4月2日 -)は、テーブルトークRPG(TRPG)をメイン分野として活動する日本のゲームライター。通称は名を音読みした「」(てん)。

概要[編集]

TRPGのルールブックやサプリメント、シナリオのライティング、リプレイの執筆やPCゲームのシナリオなどを手がけている。

TRPGでは主にF.E.A.R関連の活動が多く、リプレイプレイヤーとしては『セブン=フォートレスEXリプレイ宝玉の七勇者」のアルゲル・アルガロード役や『ナイトウィザードリプレイ星を継ぐ者」のグィード・ボルジア役で注目され、以降菊池たけし矢野俊策(後述)などのリプレイにプレイヤー参加している。

その他、グループSNEの『デモンパラサイト』リプレイ「剣神」シリーズや冒険企画局の『シノビガミ』リプレイ「戦」シリーズなど、複数のゲーム制作会社の作品にも参加している。

ゲームマスター兼リプレイライターとしては『ダブルクロス・リプレイ・トワイライトシリーズ』、『アルシャードトライデント』(第1パーティ編)などを手掛けている。ゲーム開発・サポート面では『ブレイド・オブ・アルカナ』(ルール第一版)や初期の『BEAST BIND NT』のサポート記事執筆、『アリアンロッドRPG 2E』のディヴェロッパーを務めている。

2019年4月まで、Cygamesに4年半在籍し、ソーシャルゲームのライティングに携わる[1]。同社退社後は矢野俊策が代表を務めるシナリオ製作会社フラッグノーツに在籍[2]

人物[編集]

プレイヤーとして[編集]

暴走気味の言動で参加プレイヤーを困惑させる、一部で『天プレイ』と呼ばれるプレイングスタイルが一部読者に注目されている一方、「素人には危険なので安易に真似しないように」とリプレイで注釈がつけられる[3] など、「ひどいプレイヤーの代名詞」とさえ言われている。しかしながら、時には場の空気を読み[4]、TPOをわきまえて行動している場合もある[5]

その破天荒なキャラロールから「大惨事発生装置」(菊池たけし[6])「TRPG界の怪人」(ファミ通文庫版『愛はさだめ、さだめは死』裏表紙コピー)と評されるが、プロジェクト「アルシャードトライデント」のリプレイシリーズの一つ・ミッドガルド編第2巻「魔女が望んだ未来消失」では、自身がGMを務めるリーフワールド編でノンプレイヤーキャラクターとして動かしている“青の”シェルリィを担当し、重厚なロールプレイを披露している。

ゲームマスター・リプレイライターとして[編集]

博識と、突飛な発想や駄洒落を交えることも厭わない言語感覚を併せ持つシナリオとマスタリングを持ち味とする。しかし2012年に相次いで発表された『アリアンロッド・リプレイ・キャプテンRED』と『ブレイヴ・ニュー・ワールド』ではこの手法を封印し、新たな方向を示している。

その一方、ストーリーは処女作「別れの日は過ぎて」をはじめとして、『愛はさだめ、さだめは死』「ダブルクロス・リプレイ・ジパング」など、「人と人との絆」を重視する傾向がみられる。またシナリオとの関係から、PC1(主人公的立ち位置)を担当するプレイヤーをハンドアウト掲示の段階で決め打ちすることが多い[7]

その他[編集]

  • 「天」と書いて「たかし」と読ませる難読な名前は本名である(公式ブログ『天日録』のプロフィールより)。
  • ゲームデザイナーの矢野俊策とは中学時代からの友人であり、矢野の代表作『ダブルクロス』のライティングなどに参加している。また数多くのリプレイでも競演している。
  • TRPG以外のボードゲームも趣味としており、その縁でシナリオライター虚淵玄小説家伊藤計劃らと交遊を持つ[8]
  • 2009年のジャパンゲームコンベンションにて、既に結婚しており、一女をもうけたばかりであることを公表した。
  • 自身がGMを務める商業リプレイでは、矢野や菊池とは対照的に、他業界のプレイヤー(イラストレーター、声優など)をほとんど招かない傾向が見られる。イラストレーターは(TRPGデザイナーでもある井上を除けば)『襲来! コスモマケドニア!!』のしのとうこまで招いたことがなく、声優は『愚者の楽園』の小暮英麻木下紗華が唯一の参加例である。代わりに自身と関係のあるアマチュアプレイヤーは多く招いており、ダブルクロス・リプレイ・トワイライトで細野君郎(当時。現在は富士見書房社員)、ダブルクロス・リプレイ・ジパング等で水野暁子、アルシャードセイヴァーRPGリプレイで鈴吹マユリなどがプレイヤー参加している。

書籍[編集]

TRPGリプレイ執筆[編集]

ダブルクロス The 2nd Edition
ダブルクロス The 3rd Edition
  • ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・トワイライト 帰ってきた快男児 : 富士見書房 / 2011年4月 / ISBN 978-4-8291-4619-4
ナイトウィザード
ナイトウィザード The 2nd Edition
アルシャードガイアRPG
アルシャードセイヴァーRPG
  • アルシャードセイヴァーRPG リプレイ1 ブレイヴ・ニュー・ワールド : エンターブレイン / 2012年7月 / ISBN 978-4-04-728212-4
  • アルシャードセイヴァーRPG リプレイ2 キラー・イン・ザ・レイン : エンターブレイン / 2012年11月 / ISBN 978-4-04-728514-9
  • アルシャードセイヴァーRPG リプレイ3 スタンド・バイ・ミー:エンターブレイン/2013年4月/ ISBN 978-4-04-728801-0
アリアンロッドRPG 2E
  • アリアンロッドRPG 2E リプレイ・キャプテンRED1 RED海賊団、出航! : 富士見書房 / 2012年8月 / ISBN 978-4-8291-4686-6
BEAST BIND NEW TESTAMENT 新約・魔獣の絆
天下繚乱RPG
グランクレストRPG

TRPGリプレイ・プレイヤー参加[編集]

ダブルクロス

(上月永斗)

(八坂十字)

  • Contrast Side(『ダブルクロス The 2nd Edition』サプリメント『コントラストサイド』収録: ゲームフィールド / 2005年6月 / ISBN 978-4-907792-96-1

(群墨応理)

(国見以蔵)

(ラハブ・アブド=アルマリク)

デモンパラサイト

(御剣嵐)

  • デモンパラサイト・リプレイ 剣神(ブレードデモンズ)1 継承者
  • デモンパラサイト・リプレイ 剣神(ブレードデモンズ)2 簒奪者
  • デモンパラサイト・リプレイ 剣神(ブレードデモンズ)3 超越者
  • デモンパラサイト・リプレイ 剣神(ブレードデモンズ)4 挑戦者
  • デモンパラサイト・リプレイ 剣神(ブレードデモンズ)5 創世者
ダンジョンズ&ドラゴンズ

(スリンガー)

  • ダンジョンズ&ドラゴンズ・リプレイ 若獅子の戦賦
  • ダンジョンズ&ドラゴンズ・リプレイ2 若獅子の戦賦-監獄島編
  • ダンジョンズ&ドラゴンズ・リプレイ3 若獅子の戦賦-雷鳴山編

(ザナディーン)

セブン=フォートレス

(アルゲル・アルガロード)

(サシャ・アライアス)

  • セブン=フォートレス メビウス シェローティアの空砦[9]
ナイトウィザード

(グィード・ボルジア)

(要いのり)

(Dr.クロノス)

  • ナイトウィザード The 2nd Edition リプレイ Price & Wish-サイゴ ノ ネガイ-(ナイトウィザード The 2nd Edition ファンブック『ファイナルカウントダウン』収録: エンターブレイン / 2012年2月 / ISBN 978-4-04-727742-7
アルシャード

(シド)

(瑞穂桃子)

(“青の”シェルリィ)

その他書籍収録リプレイ
WEB掲載リプレイ
  • ダンジョンズ&ドラゴンズ4版リプレイ 妖侠デイン流離譚(バルトロメオ)、ホビージャパン・ダンジョンズ&ドラゴンズ公式サイト掲載
  • 天下繚乱RPGリプレイ 妖廻り無頼帖、鬼無の宿〜修羅之蝦蟇(弓張源八郎)、ジャイブ・天下繚乱RPG公式サイト掲載

その他著書[編集]

作品[編集]

ゲーム[編集]

小説[編集]

  • Grand Guignol グラン・ギニョール(『ダブルクロス The 2nd Edition 公式ファンブック ライブボックス』収録)

声優出演[編集]

  • THE スナイパーll
  • ナイトウィザード・ファンブック パワー・オブ・ラブCDドラマ『愚者の楽園』(グィード・ボルジア)
  • ナイトウィザード通信及びふぃあ通(グィード・ボルジア、菊田健二(魔王アスモデート)、宮沢祥吾など)
  • 六ツ星きらり(但馬先生)
  • 七彩かなた(タジー)

メディア出演[編集]

  • ふぃあ通:ゲスト
  • ナイトウィザード THE ANIMATION:オーディオコメンタリー・TRPG編(第7回ゲスト)

脚注[編集]

  1. ^ https://twitter.com/tanakaten/status/1121385976603893760
  2. ^ https://twitter.com/tanakaten/status/1121386383958953984
  3. ^ 注釈の一例を上げる。
    『アルシャードff リプレイ オーディンの槍』、29頁。ISBN 4-7577-2361-X  菊池たけしはここで「これはゲームに参加する者たちが共通の認識を持った時だけに許されるキケンな技」と書いている。
  4. ^ 例えば「宝玉の七勇者」の場合、主人公のサシャ=アライアスが500人の勇者を募って(もしくは招待して)開いた勇者バトルの真意を、主催者の空導王アンブレアス=ガェアに問い質す場面では、田中のPCであるアルゲル=アルガロードは少ししか発言していない。 『アルシャードff リプレイ オーディンの槍』、199-211頁。ISBN 4-7577-2361-X 
  5. ^ 『セブン=フォートレス リプレイ フォーラの森砦V3〈下〉』、283頁。ISBN 4-7577-2103-X 
  6. ^ 『セブン=フォートレス リプレイ シェローティアの空砦(2)』、18頁。ISBN 978-4-04-726400-7 
  7. ^ 例えば「別れの日は過ぎて」では「親子の絆が重要になる」として、実際に父親である鈴吹太郎を指名( 『ビーストバインドニューテスタメント サプリメント ビーストバインド エヴァンジェル』、14頁。ISBN 978-4-907792-88-6  )。「愛はさだめ、さだめは死」では「PC1は難しい立場なので、PC1をやり慣れた人にお願いしたい」として田中信二を指名している( 『ナイトウィザード The 2nd Edition リプレイ 愛はさだめ、さだめは死』、20頁。ISBN 978-4-7577-3923-9  )。
  8. ^ 「テンガ 〜復讐鬼たち〜」『天日録』2008年3月31日付。
  9. ^ Episode05のみ。本来のプレイヤーである田中信二がヒュウガ・アライアス(サシャの兄)として出ることになったための代役。
  10. ^ シナリオギミックの関係で『セブン=フォートレス V3』のルールを使用しているが、ストーリーは『ナイトウィザード』に従っているので、この項に含めた。
  11. ^ a b 文庫版の副題には『アルシャードffリプレイ』と記されているが、ルールは『アルシャード』第一版を使用している。
  12. ^ 蓮ノ空を描く新連載がUJで、集英社では初のラブライブ!シリーズコミカライズ”. コミックナタリー (2023年11月17日). 2023年12月15日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]