演奏審査

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

演奏審査(えんそうしんさ)とは音楽コンクールで生演奏を行って審査をすることを指す。

概要[編集]

本来は作曲部門に用いられる制度として有名だった[1][2][3]。ただし、審査によって結果が歪められることも演奏界で徐々に知られるようになってきており[4]、新型コロナウイルスの流行を受け、ピアニストの国際コンクールにもオンライン審査が導入されたことをきっかけに[5]急速に「演奏審査」の是非が問われ出した。

特徴[編集]

音出しをすることで、作曲者あるいは演奏家に音源が提出できるが、生演奏が失敗することがある。事実、三善晃はコンクールの本選でピアノがズレてしまい[6]柴田南雄に棄権を申し出たが慰留され三善が優勝したことがあった。かつて浜松国際ピアノコンクールの第一次予選をCD化し、そのまま聴衆へ販売していたことがあった。

演奏審査が存在する作曲コンクール[編集]

演奏審査が存在しない作曲コンクール[編集]

かつてのヨーロッパの国際作曲コンクールはほとんど演奏審査が存在せず、譜面審査だけで決着をつけるのが主流であった。しかし、21世紀に入ってオンライン時代に入れば傾向が若干変化しており、バーゼル作曲コンクールやブッキ国際作曲コンクール[8]は演奏審査後に順位が決定される方式へ改められている。従来の伝統を守り、演奏審査が存在しない作曲コンクールも健在である。

脚注[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ 石塚潤一. “音楽界展望・作曲”. webcache.googleusercontent.com. www.jfm.or.jp. 2023年8月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月21日閲覧。
  2. ^ 近藤譲 (2018年6月22日). “日本音楽コンクール作曲部門の審査会に係る変更についての要望と質問”. webcache.googleusercontent.com. JSCM. 2023年8月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月21日閲覧。
  3. ^ 近藤譲 (2020年3月28日). “日本音楽コンクール委員会へ、再度、再回答のお願い(2020年3月28日付)”. webcache.googleusercontent.com. JSCM. 2023年8月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月21日閲覧。
  4. ^ 松山博幸(東京大学大学院経済学研究科修士課程)”. www.jstage.jst.go.jp. 2024年5月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月11日閲覧。
  5. ^ ファツィオリ・オンライン・コンクールの演奏者の皆様”. fazioli.co.jp. 2024年5月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月11日閲覧。
  6. ^ 三善晃. “柴田先生が扉を開けてくださった”. images.hifido.co.jp. images.hifido.co.jp. 2023年8月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月11日閲覧。
  7. ^ 10月30日 作曲部門 非公開”. oncon.mainichi-classic.net. oncon.mainichi-classic.net. 2023年8月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月11日閲覧。
  8. ^ 43ª edizione Concorso internazionale di composizione Premio Valentino Bucchi”. www.premiobucchi.it. Fondazione Valentino Bucchi. 2024年5月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月12日閲覧。
  9. ^ “日本音楽コンクール 作曲部門を大改革 純粋な譜面審査に”. 毎日新聞. オリジナルの2021年9月2日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210902075616/https://mainichi.jp/articles/20180306/dde/012/040/004000c 2023年9月2日閲覧。 
  10. ^ 第80回日本音楽コンクール本選会特別記事”. www.tatsuno-cityhall.jp. たつの市総合文化会館 赤とんぼ文化ホール. 2024年5月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月11日閲覧。