渡月橋

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渡月橋
橋の全景(北側より望む)
基本情報
日本の旗 日本
所在地 京都市
交差物件 桂川
建設 (現在の橋)1934年(昭和9年)
座標 北緯35度0分46.1秒 東経135度40分39.8秒 / 北緯35.012806度 東経135.677722度 / 35.012806; 135.677722
構造諸元
材料 橋脚と橋桁:鉄筋コンクリート
欄干:木造
全長 155m
11m
最大支間長 約10m
地図
渡月橋の位置(京都市内)
渡月橋
関連項目
橋の一覧 - 各国の橋 - 橋の形式
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京都府道29号標識

渡月橋(とげつきょう)は、京都府京都市桂川(大堰川)に架かる[1]

概要[編集]

渡月橋は、桂川左岸(北側)と、中州である中ノ島公園の間に架かる橋で、全体が右京区にある。橋長155m、幅12.2m[1]。車道は2車線で、両側に一段高くした歩道がある。嵐山を象徴する橋並びに観光名所であるとともに、桂川の両岸地域を結ぶ重要な交通路で、京都府道29号の一部となっている。また、南詰は京都八幡木津自転車道の起点となっている。

現在の橋は1934年(昭和9年)に完成した鉄骨鉄筋コンクリート桁橋である[1]。景観との調和を図るため意匠は木製の旧橋を受け継いでおり、橋面は中央部が約1m高い弓なりの形状で、高欄も従来の橋と同じ木造角格子式が採用された[1]。観光パンフレットなどにはこの橋が写り込んだ写真が多用されるほか、映画やテレビドラマの撮影で多用されていることもあり、観光地としての嵐山を象徴する建造物ともなっている。

欄干が木造であることから、自動車が衝突した際に欄干を突き破って川底に落下[2]したり、捨てられた煙草の火によって欄干が燃える事故が発生することがある。

長らく橋には照明施設が無かったが、地元の任意団体である「京都嵐山保勝会」が関係機関の協力を得て橋の上流にあたる西高瀬川との分岐部にサイフォン式小型水力発電機を設置[3]し、そこで得られた電力により、夜間帯にLED照明を用いて橋を照らしている[4]。また、関西電力と相互に供給できる体制(系統連系)が採られており[4]、逆潮流(同電力への売電)による利益は周辺の清掃などの活動資金に使われている。

歴史[編集]

渡月橋(葛飾北斎)

836年(承和3年)に僧である道昌が架橋したのが始まりとされ、当初は100m~200mほど上流にあったとされている[1][5]。また、もとは橋の南にある法輪寺に因んで「法輪寺橋」と称されていた[1][5]。また平安時代末期の「琴きき橋」の伝説がある。

鎌倉時代に亀山上皇が橋の上空を移動していく月を眺めて「くまなき月の渡るに似る」と感想を述べ「渡月橋」と命名された[5]

しかし、付近は洪水が多く橋はたびたび流失し、応仁の乱など戦乱による焼失もあった[5]

1606年(慶長11年)に角倉了以によって保津川の開削工事とともに現在の位置に架け替えられ現代にまで残る渡月橋の原型となった[1][5]

1934年 (昭和9年)に現在の渡月橋が鉄筋コンクリートでつくられたため、橋が流失、破損するなどの被害は抑えられた。

2013年の台風18号襲来の際、桂川が氾濫して橋周辺が冠水する被害が出たが[6]、橋が流失するなどの致命的なダメージは無かった[7]

2018年9月に発生した台風21号により橋の東側の欄干が100mにわたり倒れる被害が出たが、10月には復旧している[8]

渡月小橋[編集]

渡月小橋(手前が西京区側)

中ノ島公園と桂川右岸(南側)の間に架かる短い橋は渡月小橋(とげつこばし)という。渡月橋を北から南へ渡り、そのまま南へ向かうと、すぐに渡月小橋となる。中ノ島公園までは右京区であるが、渡月小橋で桂川右岸に渡ると西京区となる。

観光[編集]

渡月橋周辺の嵐山地域は、特に桜と紅葉の名所として多くの観光客を集めている。

周辺には次のような施設がある。

交通[編集]

鉄道
路線バス

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g 京(みやこ)の橋しるべ 第6号”. 京都市. 2020年6月8日閲覧。
  2. ^ 2006年12月30日未明、歩道に車が乗り上げ、欄干を破損して川の中州に転落する事故が起きた。この事故による死傷者は無かった。
  3. ^ ギャラリーの「西高瀬川との分岐部」の写真の西高瀬川の右に有る白っぽい機器が小型水力発電機。
  4. ^ a b 観光にやさしい渡月橋の灯り - 京都嵐山保勝会(2011年8月11日閲覧)
  5. ^ a b c d e 渡月橋の名前の由来と歴史について”. 嵐山ガイど. 2020年6月8日閲覧。
  6. ^ 嵐山・渡月橋ほぼ冠水…京都、滋賀、兵庫で避難指示など相次ぐ 産経ニュースWest 2013年9月16日、同10月5日閲覧。
  7. ^ “台風18号被害 嵐山は徐々ににぎわい取り戻すも一部復旧に時間”. フジニュースネットワーク. (2013年9月21日). http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00254327.html 2013年10月6日閲覧。 
  8. ^ 京都・嵐山の渡月橋欄干が復旧”. ロイター (2018年10月25日). 2018年10月27日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]