津軽海峡線

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津軽海峡線
基本情報
日本の旗 日本
所在地 青森県北海道
起点 青森駅
終点 函館駅
駅数 27駅
経由路線 津軽線海峡線北海道新幹線)、江差線函館本線
開業 1988年3月13日
廃止 2016年3月25日(愛称廃止)
所有者 東日本旅客鉄道(JR東日本)
北海道旅客鉄道(JR北海道)
独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構
運営者 東日本旅客鉄道(JR東日本)
北海道旅客鉄道(JR北海道)
路線諸元
路線距離 160.8 km
軌間 1,067 mm(狭軌
線路数 単線(青森駅 - 新中小国信号場間、木古内駅 - 五稜郭駅間)
複線(新中小国信号場 - 木古内駅間、五稜郭駅 - 函館駅間)
電化方式 交流20,000 V・50 Hz 架空電車線方式
路線図

赤線と青線を合わせたものが津軽海峡線
テンプレートを表示
経路図
KBHFa
0.0 青森駅
LSTR
津軽線を参照
31.4 中小国駅 JR東JR北
DST
33.7 新中小国信号場 実際の海峡線の分岐点
LSTR
海峡線を参照
LSTR
海峡線 津軽海峡
BHF
119.2 木古内駅
LSTR
江差線を参照
BHF
157.0 五稜郭駅
LSTR
函館本線を参照
KBHFe
160.4 函館駅

津軽海峡線(つがるかいきょうせん)は、青函トンネルを経て青森県青森市青森駅北海道函館市函館駅を結ぶ、北海道旅客鉄道(JR北海道)および東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線に付けられていた愛称。以下の路線から構成されていた。

JR東日本
JR北海道
  • 津軽線からの海峡線の実際の分岐点は新中小国信号場で、中小国駅 - 新中小国信号場間はJR東日本の津軽線とJR北海道の海峡線の重複区間である。

概要[編集]

津軽海峡で隔てられた本州の青森駅と北海道の函館駅との間には鉄道連絡船として、日本国有鉄道(国鉄)により青函航路青函連絡船が運航されていた。しかし、運輸省1946年(昭和21年)2月、非公式の「津軽海峡連絡隧道委員会」が設置されてより陸上部、海底部の地質調査を長年に亘り行ない、1953年(昭和28年)8月に建設予定線に追加された。1950年代には、朝鮮戦争によるものと見られる浮流機雷がしばしば津軽海峡に流入したり、台風接近下に誤った気象判断によって出航して遭難した洞爺丸事故など、航路の安定が脅かされる事態が相次いで発生した。これらを受けて、太平洋戦争前からあった本州と北海道をトンネルで結ぶ構想が一気に具体化し、船舶輸送の代替手段として、長期間の工期と巨額の工費を費やして青函トンネルが建設されることとなった。1961年(昭和36年)5月に調査線に編入、1970年(昭和45年)に工事線に指定され、翌年9月27日運輸大臣の認可と同年11月に本州北海道両側において本工事の起工式を行ない本格着工となった。

当初は在来線規格での設計であったが、整備新幹線計画に合わせて新幹線規格に変更され、建設された。整備新幹線計画が凍結された後、暫定的に在来線として開業することになったものの、軌間や架線電圧の違いをのぞけば、自動列車制御装置(ATC-L型)も含めて新幹線規格を踏襲しており(東北新幹線はのちに全線DS-ATCへ移行したため、東北新幹線とのATCの互換性はなくなった)、のちに考案されるスーパー特急方式の原型となった。

1988年昭和63年)3月13日に青函トンネルが開業し、本州側の津軽線、青函トンネルを通る海峡線、北海道側の江差線・函館本線(五稜郭 - 函館間)からなる青森駅と函館駅を結ぶ路線群に「津軽海峡線」の愛称が付けられた。以後は北海道と本州との旅客・貨物輸送に重要な役割を果たしており、旅客列車に加えて1日に上下50本の貨物列車が設定されている。

単線区間(津軽線および江差線)上にある列車交換可能駅及び信号場は貨物列車との待ち合わせを考慮し、旅客ホームの有効長は青函トンネル開業以前のまま構内待避線の有効長が延伸されている。

2016年平成28年)3月26日北海道新幹線の開業に伴い、海峡線区間の架線電圧の20kVから25kVへの昇圧や自動列車制御装置のDS-ATCへの変更といった設備更新がされ、在来線専用の電車・電気機関車は走行できなくなり、特急や寝台列車は新幹線開業と同時にすべて廃止され、津軽海峡を通過する在来線定期旅客列車は消滅した。海峡線区間の定期旅客列車は新幹線のみの運行となり、これにあわせて「津軽海峡線」の愛称も廃止された[注 1]。また、江差線の区間も新幹線開業に伴い、第三セクター鉄道化され道南いさりび鉄道線となった。

駅一覧[編集]

この一覧は「津軽海峡線」としての営業終了時点(2016年3月21日。北海道新幹線新青森駅 - 新函館北斗駅間の開業前)のデータである。

  • 中小国駅 - 新中小国信号場間はJR東日本の津軽線とJR北海道の海峡線の重複区間。
  • 全区間 20kV 50Hz 交流電化
  • 表内のこの背景色の部分(竜飛定点 - 吉岡定点)は青函トンネル内にある。
  • 線路 … ∥:複線区間、◇・|:単線区間(◇は列車交換可能)、∨:ここより下は単線、∧:ここより下は複線
運行事業者 路線名 駅番号 駅名 駅間営業キロ 累計
営業キロ
接続路線・備考 線路 所在地
東日本旅客鉄道 津軽線 青森駅 - 0.0 東日本旅客鉄道奥羽本線
青い森鉄道青い森鉄道線
青森県 青森市
新油川信号場 - 4.4  
油川駅 6.0 6.0  
津軽宮田駅 3.7 9.7  
奥内駅 1.8 11.5  
左堰駅 1.6 13.1  
後潟駅 1.6 14.7  
中沢駅 2.1 16.8  
蓬田駅 2.3 19.1   東津軽郡 蓬田村
郷沢駅 2.0 21.1  
瀬辺地駅 2.3 23.4  
蟹田駅 3.6 27.0 東日本旅客鉄道:津軽線(三厩方面との旅客列車乗換可能駅) 外ヶ浜町
中小国駅 4.4 31.4 東日本旅客鉄道:津軽線(海峡線の列車は通過するため、乗り換え不可能)
北海道旅客鉄道 海峡線
新中小国信号場 - 33.7 (津軽線と海峡線の実際の分岐点)
津軽今別駅 13.0 44.4 (2015年8月10日より全列車通過)[1] 今別町
竜飛定点 - 63.9 (旧・竜飛海底駅[* 1]
青函トンネル記念館青函トンネル竜飛斜坑線(体験坑道駅)[* 2]
外ヶ浜町
(この間で津軽海峡を横断する)
吉岡定点 - 86.9 (旧・吉岡海底駅[* 1] 北海道[* 3] 松前郡
福島町
知内信号場[* 4] - 107.4 (旧・知内駅[* 1] 上磯郡 知内町
木古内駅 74.8 119.2 北海道旅客鉄道江差線湯ノ岱江差方面)2014年5月12日廃止、松前線渡島当別松前方面)1988年2月1日廃止(津軽海峡線開業前) 木古内町
江差線
札苅駅 3.8 123.0  
泉沢駅 3.4 126.4  
釜谷駅 3.1 129.5  
渡島当別駅 4.9 134.4   北斗市
茂辺地駅 5.0 139.4  
矢不来信号場 - 142.7  
上磯駅 8.8 148.2  
清川口駅 1.2 149.4  
久根別駅 1.1 150.5  
東久根別駅 1.2 151.7  
七重浜駅 2.6 154.3  
H74 五稜郭駅 2.7 157.0 北海道旅客鉄道:函館本線方面) 函館市
函館本線
(貨)函館貨物駅  
H75 函館駅 3.4 160.4 函館市電:本線・大森線 … 函館駅前停留場
  1. ^ a b c 津軽今別駅 - 知内駅間の青函トンネル内にあった吉岡海底駅(吉岡定点)は2006年8月28日より、竜飛海底駅(竜飛定点)は2013年11月11日より全列車通過となり、2014年3月15日に両駅とも知内駅とともに駅としては廃止された[2][3]
  2. ^ 海底駅見学整理券利用見学者のみ乗降可能であった。
  3. ^ すべて渡島総合振興局管内に所在。
  4. ^ 2014年3月15日から2016年3月21日まで、特急「スーパー白鳥」に使用されている789系電車785系電車の案内表示では、この名称が使用されている。
  • 2002年11月30日まで運行された快速「海峡」の一部が油川駅奥内駅上磯駅に停車していたが、同列車廃止以降は全列車通過している。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 『JR時刻表』・『JTB時刻表』では2016年4月号から路線図・本文とも非掲載となった。
  2. ^ a b 2010年の特急「スーパーカムイ」の踏切事故を受けて、同年JR北海道が特急の先頭車運転台側の貫通路への立ち入りを禁じたため、以後は、このアングルでの撮影はできなくなっている。

出典[編集]

  1. ^ 津軽今別駅の列車通過について』(PDF)(プレスリリース)北海道旅客鉄道、2015年4月3日http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150403-1.pdf2015年8月10日閲覧 
  2. ^ “海底駅:青函トンネルの2駅廃止へ 国内から姿消す”. 毎日新聞. (2013年8月2日). オリジナルの2013年8月3日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/WNRue 2016年3月9日閲覧。 
  3. ^ 平成26年3月ダイヤ改正について』(PDF)(プレスリリース)北海道旅客鉄道、2013年12月20日。 オリジナルの2013年12月24日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20131224105741/http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2013/131220-1.pdf#page=42016年10月15日閲覧 

関連項目[編集]