日本式鴨型

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日本式鴨型(にほんしきかもがた)は、日本の内閣技術院が試作した滑空機(グライダー)。制作は日本小型飛行機が行った。社内名称は「K-16」。

概要[編集]

1944年(昭和19年)、技術院は研究企画第一号として前翼機の性能研究を目的とした滑空機の試作を計画した。機体の制作は日本小型飛行機が行うこととなり、1944年末に本庄季郎技師によって設計が開始され、1945年(昭和20年)3月末に完成し、飛行実験を開始。飛行実験計画として、翼幅を短くして翼面荷重を増大させた場合や、垂直安定板を撤去した場合での飛行実験が予定されていた。また、実験による研究成果は海軍が計画を進めていた震電の開発にも用いられた。

機体は高アスペクト比の主翼を持つ複座の前翼機で、材質は全木製。主翼の両端にエアブレーキも兼ねた方向舵がある。胴体後部には垂直安定板があるが、方向舵は有していない。曳航機は九五式三型練習機。また、製造には従来の滑空機に用いられていたカゼインに代わって、プラスチック接着剤を用いていた。

なお、テストパイロットを務めた藤倉三郎特級滑空士は、前翼が機体姿勢の指針となるので、前翼機は練習機に適しているのではないかと指摘している。

諸元[編集]

  • 全長:8.4 m
  • 全幅:15.0 m
  • 全高:2.5 m
  • 滑空速度:83 km/h
  • 乗員:2名

参考文献[編集]

  • 佐藤博『日本グライダー史』海鳥社、1999年、133,134頁。ISBN 978-4874152720 
  • 『航空朝日 2605年7号』 朝日新聞社、1945年、14 - 16頁(PDF)。
  • 野沢正 『日本航空機総集 九州・日立・昭和・日飛・諸社篇』 出版協同社、1980年、95頁。全国書誌番号:81001674

関連項目[編集]