吾輩は猫である (映画)

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吾輩は猫である』(わがはいはねこである)は、夏目漱石長編小説吾輩は猫である』を原作とした映画化作品である。これまでに2度映画化され、1936年版と1975年版がある。

1936年版[編集]

P.C.L.映画製作所(現在の東宝)制作。1936年4月14日公開。87分。白黒。

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

1975年版[編集]

芸苑社制作。1975年5月31日公開。115分。併映は『桜の森の満開の下』。文部省選定。

受賞[編集]

  • 毎日映画コンクール撮影賞

製作[編集]

東宝の分社化によって設立された芸苑社の第1回作品として、社長の佐藤一郎が企画したもの。原作を新しい解釈で映画化する事となり、この時期に芸苑社と仕事をすることになった市川崑が監督を担当した。シナリオ作りは難航し、猫を主役にする案から、全く出さない案まで出されたが、最終的には両者を折衷した、猫も人間ドラマも両方描く方向性で進められた。猫自体の撮影は、ハリウッドのような専門トレーナーの調教訓練が出来なかったため、人形による吹き替えや細かいカットの積み重ねで作られている。監督の市川は、初めて組んだ撮影監督の岡崎宏三に対して「何をやっても良い」と変化球の撮影を要求し、猫視点を魚眼レンズの手持ちカメラ風で表現したり、人物アップを望遠や広角レンズで撮影する等、新しい試みを採り入れた。また、複数の人物の芝居の撮り方についても、後に『犬神家の一族』や『細雪』で見られるような、一度、全員の芝居をフルサイズで撮影してから、個別の芝居をカメラのサイズを変更して後撮りし、編集で合わせるというやり方を本作で行っている[1]

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

参考文献[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 『完本 市川崑の映画たち』、2015年11月発行、市川崑・森遊机、洋泉社、P283~285