前奏曲

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前奏曲(ぜんそうきょく)は、他のより規模の大きい楽曲の前に演奏する楽曲を指す。後に独立した即興性の高い曲となった。通常は声楽を伴わない器楽曲である。プレリュード英語: preludeフランス語: prélude)、フォアシュピールドイツ語: Vorspiel、ただし古典派音楽以前に関しては通常Präludium; プレルーディウム)ともいう。類似する形態として序曲(オーヴァーチュア)やシンフォニアがある。

概要[編集]

  • 本来はリュート鍵盤楽器によって即興により演奏されるものであったが、後に書きとどめられるようになり、しばしば演奏技巧を発揮するような曲として、また、即興的で自由な作風の作品として、作曲された。
  • フランスで発達したプレリュード・ノン・ムジュレでは、奏者の即興性を重視して拍子を定めず、小節線も書かれない。
  • 後には独立した楽曲として演奏技巧を発揮するような、また即興的な自由な作風の作品、特にピアノ曲にこの名が付けられるようになった。性格的小品の一種である。ショパンの24曲から成る前奏曲集、ドビュッシーの前奏曲集全2集、スクリャービンの85曲から成る前奏曲集が有名である。
  • ワーグナーは、自身のオペラ(多くは楽劇と呼ばれる)から、序曲を廃して前奏曲(フォアシュピール)を置くことをした。劇が始まる前に冗長で劇の開始自体とは関係のない種明かし的な序曲が演奏されることを避け、劇の開始とより一体化した曲を求めたためである。これはより後の時代に受け継がれた。

上に述べた意味の前奏曲ではないが、標題音楽の主題として「前奏曲」を採用したリストの交響詩「前奏曲」もある。

主要曲[編集]

ピアノ(鍵盤楽器)独奏曲[編集]

前奏曲集[編集]

24の前奏曲[編集]

J.S.バッハの「平均律クラヴィーア曲集」の「すべての長短調をめぐる」という構成を受け継いだ曲集。ショパンが有名である。ショパンのように五度圏を平行調ごとにめぐる配列、バッハを参考にした半音ずつ同主調ごとに上昇する配列、独自の配列、といったように24曲の調配列については様々工夫がある。また、最初の曲と同じ調(ハ長調)で締めくくる25曲のものもある。

その他[編集]

独立した楽曲としての前奏曲(その他の演奏形態)[編集]

関連項目[編集]