再生キャパシタ・メモリ

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再生キャパシタ・メモリ(さいせいー、Regenerative_capacitor_memory)は、キャパシタンスの電気的特性を利用してビットのデータを保存するコンピュータ・メモリの一種である。

保存された電荷は徐々に漏れ出すため、データの損失を防ぐには、これらのメモリを定期的に再生(つまり、読み出して書き換えること、リフレッシュとも呼ばれる)する必要がある。

キャパシタンスの電気的特性を利用してデータを保存する他のタイプのコンピュータ・メモリも存在するが、再生は必要ない。従来、これらはやや実用的でないか(セレクトロン管など[1])、読み取り専用メモリとしてのみ適していると考えられてきた(EPROMEEPROM/Flash memory[注釈 1]など)。

技術的経緯[編集]

アタナソフ&ベリー・コンピュータの各構成要素を示した図。
上部まん中にある銅のドラムがアタナソフ&ベリー・コンピュータの回転キャパシタ・ドラム・メモリ。

最初に作られた再生キャパシタ・メモリは、アタナソフ&ベリー・コンピュータ(1942年)の回転キャパシタ・ドラム・メモリだった。その2つのドラムはそれぞれ30個の50ビット2進数(各1500ビット)を記憶し、60rpmで回転し、1回転ごとに再生された(リフレッシュレート1Hz)。

最初のランダムアクセス再生キャパシタ・メモリは、ウィリアムス管(1947年)であった[2]。 最初の実用的なプログラマブルデジタルコンピュータに搭載されたウィリアムス管1本は、2つの「ページ」に配列された合計2560ビットを保持した。1ページは、基本的なウィリアムズ・キルバーン管の容量である32個の40ビット2進数の配列であった[3]。必要なリフレッシュ・レートは、使用するCRTのタイプによって異なる。

2024年現在のDRAMは再生キャパシタ・メモリである[4]

注釈[編集]

  1. ^ 直接アクセス可能なコンピュータ主記憶メモリとしての使用には適していないが、フラッシュ・メモリは読み書き可能な大容量記憶装置の一形態として広く使われるようになり、書き込み速度はハードディスクなどの競合技術をはるかに上回っている。

脚注[編集]

  1. ^ Selectron tube”. Virtual Exhibitions in Informatics. University of Klagenfurt. 2018年1月16日閲覧。
  2. ^ Rajchman (1946年8月23日). “Lecture 43 - The Selectron”. The 1946 Moore School Lectures. Moore School of Electrical Engineering. 2013年6月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月11日閲覧。
  3. ^ The Manchester Mark 1”. University of Manchester. 2008年11月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年6月9日閲覧。 “The Manchester Mark 1 Intermediary Version was based on two double-density Williams-Kilburn Tubes as main store, each with the capacity of two "page"s. A page was an array of 32 * 40 bits, the capacity of a basic Williams-Kilburn Tube”
  4. ^ Klein. “A History and Future of Memory Innovation”. Semicon China. Micron Technology, Inc.. 2018年1月16日閲覧。

参考文献[編集]

  • Dekker, I.A.; Nieuwveld, W. A. C. (May 1964). “A capacitor memory for an analogue computer”. Applied Scientific Research, Section B 11 (3–4): 247–254. doi:10.1007/BF02922005.