伊藤信太郎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
伊藤 信太郎
いとう しんたろう
環境大臣の就任に際して公開された肖像写真
生年月日 (1953-05-06) 1953年5月6日(71歳)
出生地 日本の旗 宮城県加美郡加美町
出身校 慶應義塾大学大学院法学研究科
ハーバード大学大学院
前職 東北福祉大学教授
伊藤宗一郎衆議院議員秘書
所属政党 自由民主党山東派麻生派
称号 M.A.(ハーバード大学)
配偶者 あり
親族 父・伊藤宗一郎(第69代衆議院議長[1]
公式サイト いとう信太郎

内閣 第2次岸田第2次改造内閣
在任期間 2023年9月13日[2][3] - 現職

選挙区 宮城4区
当選回数 7回
在任期間 2001年10月29日 - 2009年7月21日
2012年12月19日[4] - 現職
テンプレートを表示

伊藤 信太郎(いとう しんたろう、1953年5月6日 - )は、日本政治家自由民主党所属の衆議院議員(7期)、環境大臣(第32代)、内閣府特命担当大臣(原子力防災)、自由民主党宮城県支部連合会長[5]

外務副大臣福田康夫改造内閣麻生内閣)、外務大臣政務官第3次小泉改造内閣)、衆議院東日本大震災復興特別委員長、同環境委員長、自由民主党国際局長を歴任した[6]。この他、大阪大学大学院客員教授(国際公共政策研究科)[7]東北福祉大学教授[6]を務めた。

父は第69代衆議院議長[1]伊藤宗一郎[8]

来歴[編集]

宮城県加美町で、後の衆議院議員伊藤宗一郎の長男として生まれる。慶應義塾幼稚舎慶應義塾普通部慶應義塾高等学校慶應義塾大学経済学部経済学科卒業[9]1978年慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻修士課程修了[9]

留学時代[編集]

1979年日本人として初めて入学が許可された[10]アメリカン・フィルム・インスティチュート(American Film Institute[11], AFI )の映画監督プログラムを修了した。在学中は、4本の映画脚本を英語で書き、監督した[10]。翌1980年にはハーバード大学大学院(Graduate School of Arts and Sciences[11], GSAS )にて、人文修士(Master of Arts)を修了した[9]。同年、フランスに移住[10]ソルボンヌ大学で学ぶ[10]

帰国後[編集]

1981年帰国し、同年11月、防衛庁長官(当時)に就任した実父・伊藤宗一郎秘書官となった[9]1985年、ニュース番組『CNNデイウォッチ』(テレビ朝日)のキャスターを務め、1995年玉川大学大学院非常勤講師に就任。1996年、伊藤宗一郎の衆議院議長就任に伴い、同政策担当秘書となった。また、玉川大学大学院非常勤講師として、1995年マスメディア論・国際関係論、1996年には地域論(フランス)を担当した[9]1999年東北福祉大学助教授(感性福祉研究所)に就任、2001年には同教授に昇格した。

国会議員へ[編集]

外務大臣政務官時代に公開された肖像写真
参議院議員選挙宮城選挙区にて応援演説を行う伊藤(2016年6月22日)

2001年9月4日、衆議院議員在任中だった父・伊藤宗一郎の死去に伴い、宮城4区では補欠選挙が行われることとなった。自由民主党世襲候補として伊藤を機械的に擁立することはせず、公募による候補者予備選挙を実施した。この予備選において伊藤は前参議院議員亀谷博昭に大差をつけて選出される。自民党の公認候補として同補欠選挙で元宮城県知事の本間俊太郎らを破り初当選。2003年、衆議院議員に再選。2005年郵政国会では、郵政民営化に慎重な立場をとっていたが、最終的には賛成した。第44回衆議院議員総選挙では自民党公認を得て3選され、第3次小泉改造内閣では外務大臣政務官2008年発足の福田康夫改造内閣では外務副大臣に就任した。2009年第45回衆議院議員総選挙に自民党から立候補。公明党の推薦も受けたが[12]民主党石山敬貴に敗れ、重複立候補していた比例東北ブロックでも復活出来ずに落選した。

落選後に人材派遣会社・パソナグループの特別顧問に就任[13]、就職先が決まらない大学生らにビジネスマナーから専門知識を教授する『人材創造大学校』の「事務総長」を務める[14][15]2012年第46回衆議院議員総選挙に自民党から立候補し、前回敗れた石山を大差で破って4選。国政に復帰。2013年衆議院環境委員長に就任。2014年第47回衆議院議員総選挙に自民党から立候補し、5選[16]2017年第48回衆議院議員総選挙に自民党から立候補し、6選[17]2021年第49回衆議院議員総選挙に自民党から立候補し、7選。2023年9月13日発足の第2次岸田第2次改造内閣環境大臣内閣府特命担当大臣(原子力防災)に就任し、初入閣[18]

政策・主張[編集]

憲法[編集]

  • 憲法改正について、2017年の朝日新聞社のアンケートで「賛成」と回答[19]
  • 憲法9条への自衛隊の明記について、2021年のNHKのアンケートで「どちらかといえば賛成」と回答[20]
  • 憲法を改正し緊急事態条項を設けることについて、2021年の毎日新聞社のアンケートで「賛成」と回答[21]

外交・安全保障[編集]

  • 安全保障関連法の成立について、2017年の朝日新聞社のアンケートで「評価する」と回答[19]
  • 「他国からの攻撃が予想される場合には先制攻撃もためらうべきではない」との問題提起に対し、2017年の朝日新聞社のアンケートで「どちらともいえない」と回答[19]
  • 北朝鮮に対しては対話よりも圧力を優先すべきだ」との問題提起に対し、2017年の朝日新聞社のアンケートで「どちらともいえない」と回答[19]
  • 徴用工訴訟などの歴史問題をめぐる日韓の関係悪化についてどう考えるかとの問いに対し、2021年の毎日新聞社のアンケートで「政府の今の外交方針でよい」と回答[21]

ジェンダー[編集]

  • 選択的夫婦別姓制度の導入について、2017年の朝日新聞社のアンケートで「どちらとも言えない」と回答[19]。2021年のNHKのアンケートで「どちらかといえば反対」と回答[20]
  • 同性婚を可能とする法改正について、2017年の朝日新聞社のアンケートで「どちらかと言えば反対」と回答[19]。2021年のNHKのアンケートで「どちらかといえば賛成」と回答[20]。「同性婚を制度として認めるべきだと考るか」との同年の毎日新聞社のアンケートに対して「認めるべき」と回答[21]
  • クオータ制の導入について、2021年のNHKのアンケートで「どちらかといえば反対」と回答[20]。同年の毎日新聞社のアンケートで「反対」と回答[21]

その他[編集]

  • アベノミクスについて、2017年の朝日新聞社のアンケートで「どちらかと言えば評価する」と回答[19]
  • 安倍内閣による森友学園問題加計学園問題への対応について、2017年の朝日新聞社のアンケートで「どちらかと言えば評価しない」と回答[19]
  • 森友学園への国有地売却をめぐる公文書改竄問題で、2021年5月6日、国は「赤木ファイル」の存在を初めて認めた[22]。しかし5月13日、菅義偉首相はファイルの存在を踏まえた再調査を行わない考えを報道各社に書面で示した[23]9月の自民党総裁選挙で総裁に選出された岸田文雄も10月11日、衆議院本会議の代表質問で再調査の実施を否定した[24]。国の対応をどう考えるかとの同年の毎日新聞社のアンケートに対し「これ以上、調査や説明は必要ない」と回答[21]
  • 2013年11月26日、特定秘密保護法案の採決で賛成票を投じた[25]

人物[編集]

統一教会との関係[編集]

  • 2018年10月25日、伊藤が代表を務める資金管理団体「いとう会」は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体「国際勝共連合」が開いた国際勝共連合創立50周年記念大会に秘書を出席させ、会費として20,000円を支出した[26][27]
  • 2022年7月から8月にかけて、共同通信社は、全国会議員712人を対象に、統一教会との関わりを尋ねるアンケートを実施。8月31日に各議員の回答の全文を公表した。上記のとおり伊藤は4年前に国際勝共連合に会費を支払っていたが「相手方のあることなので、個別の問い合わせには回答していない」として、「分からない、答えられない」と答えた[28][29]

水俣病被害者の発言制止問題[編集]

2024年5月1日、水俣市水俣病犠牲者の慰霊式典が行われた後、患者・被害者でつくる8団体と伊藤との懇親会が開かれた。団体Aの発言が3分を超えると、環境省職員が内容をまとめるよう促すと同時に、マイクの音声を切り発言できなくした。団体Bの発言が6分になると、職員が「お時間です」と遮り、マイクを切った。団体Cの代表が、水俣病と認められないまま前年に死去した妻のことをと訴えているときに、持ち時間が過ぎると職員はマイクの音声を切り、発言できなくした。このため場内は騒然となった[30]

直後に参加者が伊藤に対し「マイクを切ったことをどう思うか」と質問すると、伊藤は会場にいたにもかかわらず「私はマイクを切ったことを認識しておりません」と答えた[31]。現地で司会を務めた環境省の特殊疾病対策室長の木内哲平は、懇談の場では各団体が話す時間を3分と設定し、伊藤の帰りの新幹線に間に合わせるため、時間を超えるとマイクの音を切る運用を決めていたとメディアに説明した[32]

同年5月7日、同省は伊藤の指示を受け、発言者2人のマイクの音を切ったことを認めるとともに、木内が8日に被害者側に謝罪する方針を明らかにした[33]。伊藤は木内に謝罪させる予定だったが、8日になると一転し、同日午後に水俣市を訪れ、団体関係者と面会し、直接謝罪した[34]

その他[編集]

家族[編集]

所属団体・議員連盟[編集]

選挙歴[編集]

当落 選挙 執行日 年齢 選挙区 政党 得票数 得票率 定数 得票順位
/候補者数
政党内比例順位
/政党当選者数
第42回衆議院議員補欠選挙 2001年10月28日 48 宮城4区 自由民主党 6万3745票 47.72% 1 1/4 /
第43回衆議院議員総選挙 2003年11月09日 50 宮城4区 自由民主党 7万6554票 40.18% 1 1/4 /
第44回衆議院議員総選挙 2005年09月11日 52 宮城4区 自由民主党 11万4245票 54.54% 1 1/3 /
第45回衆議院議員総選挙 2009年08月30日 56 宮城4区 自由民主党 9万2610票 40.83% 1 2/4 /
第46回衆議院議員総選挙 2012年12月16日 59 宮城4区 自由民主党 8万250票 44.28% 1 1/5 /
第47回衆議院議員総選挙 2014年12月14日 61 宮城4区 自由民主党 6万8773票 57.28% 1 1/3 /
第48回衆議院議員総選挙 2017年10月22日 64 宮城4区 自由民主党 7万3298票 58.45% 1 1/3 /
第49回衆議院議員総選挙 2021年10月31日 68 宮城4区 自由民主党 7万4721票 56.51% 1 1/3 /

脚注[編集]

  1. ^ a b 衆議院歴代議長・副議長一覧”. 衆議院ホームページ. 衆議院事務局庶務部広報課. 2023年9月13日閲覧。
  2. ^ 『官報 令和5年特別号外第62号1頁 人事異動 内閣』(プレスリリース)国立印刷局、2023年9月13日。 
  3. ^ "第2次岸田第2次改造内閣 閣僚名簿" (PDF) (Press release). 内閣官房内閣広報室. 13 September 2023. 2023年9月13日閲覧
  4. ^ 平成24年(2012年)12月19日宮城県選挙管理委員会告示第145号(衆議院小選挙区選出議員選挙において当選人となった者の住所及び氏名並びに当該当選人に係る候補者届出政党の名称)
  5. ^ 都道府県支部連合会”. 自由民主党. 2023年12月12日閲覧。
  6. ^ a b “国会議員情報 伊藤 信太郎(いとう しんたろう)”. 時事ドットコム (時事通信社) 
  7. ^ 教員一覧 大阪大学大学院国際公共政策研究科、2010年5月7日得閲覧
  8. ^ “伊藤信太郎環境相の横顔”. 日本経済新聞電子版 (日本経済新聞社). (2023年9月13日). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA12BZF0S3A910C2000000/ 2023年9月13日閲覧。 
  9. ^ a b c d e f g プロフィール
  10. ^ a b c d 『映画と政治』 ストーリー構成から観た政治 『月刊 自由民主』 原稿、衆議院議員・伊藤信太郎
  11. ^ a b Profile of State Secretary for Foreign Affairs Shintaro ITO 伊藤信太郎外務副大臣略歴 (英語版、平成20年8月) 外務省、2010年5月7日閲覧
  12. ^ 公明、比例15人を公認…自民128人を追加推薦 読売新聞 2009年8月6日
  13. ^ パソナグループ、伊藤信太郎氏が特別顧問に就任 『日本経済新聞』 (地方経済面)、2009年11月17日
  14. ^ パソナ 「人材創造大学校」大阪校 氷河期大卒生にエール 『産経関西』、2010年3月20日、2010年5月7日閲覧
  15. ^ 株式会社パソナグループ 新卒キャリア支援プロジェクト事務総長、人材創造大学校学務長
  16. ^ 宮城 - 開票速報 - 2014衆院選:朝日新聞デジタル
  17. ^ 宮城-開票速報-2017衆議院選挙(衆院選):朝日新聞デジタル
  18. ^ “第2次岸田再改造内閣の閣僚名簿発表”. 産経新聞. (2023年9月13日). https://www.sankei.com/article/20230913-OWNZ2Z2IEVOJ7EZYLE2WXDWBV4/ 2023年9月13日閲覧。 
  19. ^ a b c d e f g h 伊藤信太郎”. 2017衆院選 候補者アンケート(朝日・東大谷口研究室共同調査). 朝日新聞社. 2021年10月22日閲覧。
  20. ^ a b c d 宮城4区”. NHK 衆議院選挙2021 候補者アンケート. 2021年10月21日閲覧。
  21. ^ a b c d e 自民 宮城4区 伊藤信太郎”. 第49回衆院選. 毎日新聞社. 2022年6月7日閲覧。
  22. ^ 「赤木ファイル」の存在、国側が認める 森友文書改ざん訴訟 確認に1年以上”. 東京新聞 (2021年5月6日). 2023年5月8日閲覧。
  23. ^ 石井潤一郎 (2021年5月13日). “菅首相、再調査を否定 「赤木ファイル」所在確認も”. 朝日新聞. 2023年5月12日閲覧。
  24. ^ 皆川剛 (2021年10月11日). “岸田首相、森友問題再調査を否定 赤木さん妻「再調査を期待していたので残念」”. 東京新聞. 2023年5月12日閲覧。
  25. ^ 特定秘密保護法 国会議員の投票行動”. 東京新聞. 2014年12月13日閲覧。
  26. ^ 政治資金収支報告書 いとう会(平成30年分 定期公表)”. 政治資金センター. 宮城県選挙管理委員会. 2024年5月7日閲覧。
  27. ^ 旧統一教会系団体に会費やビデオメッセージ 自民国会議員、次々判明”. 朝日新聞 (2022年9月18日). 2024年5月7日閲覧。
  28. ^ 旧統一教会との接点、全国会議員712人に聞いてみた【全回答の一覧付き】FAXで回答”. 共同通信 (2022年8月31日). 2022年8月31日閲覧。
  29. ^ 全国会議員712人アンケート 旧統一教会と政治の関係”. 共同通信 (2022年8月31日). 2022年8月31日閲覧。
  30. ^ 今村建二 (2024年5月3日). “「時間です」水俣病患者側の発言遮りマイク切る 環境相と懇談で国側”. 朝日新聞. 2024年5月7日閲覧。
  31. ^ “環境省の職員が「話をさえぎり、マイクの音を絞る」 水俣病の患者・被害者団体が環境大臣に「苦悩を訴える」会の最中”. 熊本放送. (2024年5月2日). https://newsdig.tbs.co.jp/articles/rkk/1149996?display=1 2024年5月3日閲覧。 
  32. ^ 市野塊、渡辺淳基 (2024年5月7日). “環境省、水俣病患者らに謝罪へ 懇談中マイク切る 「不適切だった」”. 朝日新聞. 2024年5月7日閲覧。
  33. ^ 環境省、マイク音切ったと認める 水俣病被害者側に謝罪へ”. 東京新聞 (2024年5月7日). 2024年5月7日閲覧。
  34. ^ 西貴晴、中村敦茂、山口桂子、山口智 (2024年5月8日). “伊藤環境相が水俣病患者に直接謝罪 マイク切った問題「深く反省」”. 毎日新聞. 2024年5月8日閲覧。
  35. ^ “自民党議員がご近所トラブル 焼肉店に「ダクトとファンを使うなら1日150万円払え」”. 週刊新潮 (新潮社). (2020年6月11日). https://www.dailyshincho.jp/article/2020/06031659/?all=1 2020年7月18日閲覧。 
  36. ^ 6月4日発売の週刊新潮の記事について
  37. ^ 6月4日発売の週刊新潮の記事について(参考)
  38. ^ ご報告
  39. ^ 自民党たばこ議員連盟臨時総会(出席者)”. 2018年4月11日閲覧。
  40. ^ 俵義文 『日本会議の全貌』 花伝社、2016年

外部リンク[編集]

公職
先代
西村明宏
日本の旗 環境大臣
第32代:2023年 -
次代
現職
先代
西村明宏
日本の旗 特命担当大臣原子力防災
第15代:2023年 -
次代
現職
先代
小野寺五典
木村仁
日本の旗 外務副大臣
山本一太
橋本聖子と共同

2008年 - 2009年
次代
武正公一
福山哲郎
先代
福島啓史郎
小野寺五典
河井克行
日本の旗 外務大臣政務官
山中燁子
遠山清彦と共同

2005年 - 2006年
次代
関口昌一
松島みどり
浜田昌良
議会
先代
秋葉賢也
日本の旗 衆議院東日本大震災復興特別委員長
第6代:2014年 - 2016年
次代
今村雅弘
先代
吉野正芳
日本の旗 衆議院環境委員長
2013年 - 2014年
次代
北川知克