今井秋芳

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いまい しゅうほう

今井 秋芳
生誕 ????10月9日
日本の旗 日本 東京都
国籍 日本
職業 ゲームクリエイター
ディレクター
シナリオライター
作家
著名な実績

東京魔人學園伝奇シリーズ

九龍妖魔學園紀
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今井 秋芳(いまい しゅうほう、10月9日 - )は、日本ゲームクリエイター東京都出身。血液型B型

人物[編集]

アトラスにグラフィッカーとして勤務したのち、シャウトデザインワークスを立ち上げ、デザイナーとして『アクトレイザー』や『ベア・ナックルII 死闘への鎮魂歌』の開発に携わる[* 1]。『東京魔人學園伝奇シリーズ』と『九龍妖魔學園紀』の総監督をつとめ、ゲームシステムの企画だけでなく世界観・人物設定・シナリオ・アートディレクション・音楽プロデュース他、全ての制作に携わる。小説の執筆やドラマCDのシナリオも自ら執筆するなど、作家性の高い作品作りに定評がある。独自の感情入力システムと、友情や恋などの青春を描いたジュヴナイル伝奇物を融合させたジュヴナイル伝奇作品をゲーム業界に最初に生み出した[* 2]。ジュヴナイル伝奇作品第一作目である『東京魔人學園剣風帖』以降、ゲーム業界でもジュヴナイル作品や伝奇作品が多く見られるようになる。戯曲的なセリフ回しは「今井節」とも言われるが、ジュヴナイルや伝奇、オカルトだけでなくファンタジーやSFについての造詣も深く、特にタニス・リー栗本薫などの作品を好んでいるとインタビューなどで語っている。

ラジオやイベント等で肉声については公開されているが、外見などについては一切公開されていなく、謎のままである。 イベントでは、本人画像として、それらしいシルエットやピラミッド上で宇宙人に連れられている絵などが使用されている。[* 3] 声優などからは、外見も含め昔から変わらないという話がたくさん出ているが、服装については昔に比べ良くなっている…という話である[* 4]

好きな食べ物は、ラーメン、カレーライス[* 5]で、作品中の主人公の相棒に当たるキャラの好物とリンクしている。『ジョジョの奇妙な冒険』『STARWARS』をこよなく愛す。[* 6]

手掛けた作品は東京ゲームショウ2013の「BEST OF TGS AWARD 2013」RPG部門にノミネート[* 7]東京ゲームショウ2017のメディアアワードにノミネートされるなど作品性が評価されており、数々の作品でファミ通殿堂入りも果たしている。 またCEDEC 2018の「CEDEC AWARDS」サウンド部門にて監督・企画・脚本を務めた『がるメタる!』が優秀賞を受賞。受賞理由は「直感的な演奏感と高い自由度を兼ね備えた斬新な音楽ゲームの実現」とジュヴナイル伝奇作品以外でもその腕を高く評価されている。[* 8]

2020年には『Deadly Premonition 2: A Blessing in Disguise』で国際的なNAVGTR Awardの「Outstanding Game, Franchise Adventure(卓越したアドベンチャーゲーム)」部門と「OUTSTANDING Art Direction, Period Influence(卓越したアートディレクション)」部門にノミネートされている。[* 9]


作品の特徴[編集]

ジュヴナイル伝奇[編集]

伝奇ジュヴナイル、学園ジュブナイル、學園ジュヴナイル伝奇(学園伝奇ジュブナイル)などとも表記されるジュヴナイルと伝奇が融合した作風。今井秋芳が自分の作品のジャンルを説明するために造語として生み出した。そのため、ジュヴナイル伝奇というジャンルの最初のゲーム作品は1998年発売の『東京魔人學園剣風帖』だとされている。ジュヴナイルとは思春期の少年少女たちが主人公の青春文学のジャンルで眉村卓の『なぞの転校生』や『ねらわれた学園』、筒井康隆の『時をかける少女』などがある。伝奇小説とは中国や日本の古い伝承や逸話に基づいた奇異なる話で、古くは山田風太郎の『魔界転生』や『柳生忍法帖』など、作家には菊地秀行夢枕獏荒俣宏などがいる。 小説やコミックではこういった作風の様々な作品が創作されていたが、ゲームではどちらの作風の作品もほとんど存在しなかった。そういった時代にその二つを融合させたジュヴナイル伝奇作品『東京魔人學園剣風帖』を創作、一大ブームとなる。以降、伝奇ジュヴナイル、学園ジュブナイルと銘打つ多くの作品に影響を与えている。

感情入力システム[編集]

1998年発売の東京魔人學園剣風帖を開発するにあたり、シナリオの今井秋芳が自分のシナリオに合うように考え出したシステム[* 10]。 従来のアドベンチャーゲームにあるような「問い掛けに対して、複数の台詞からなる選択肢の一つを選択して答える」というシステムではなく「問い掛けに対して、その時の自分の感情を選択して答える」という手法を用いている。台詞ではなく【友(同)】【怒】【悲】などの感情を選択するため、主人公となるプレイヤーが言わないような台詞の表現がなく、プレイヤー=主人公のシンクロ感、没入感が非常に高い。ただし、男でも女でも関係なく【愛】という感情が選択出来てしまうため、それをネタにされてしまう事もある。

一人称シミュレーションゲーム(FPSLG)[編集]

2004年発売の九龍妖魔學園紀を開発するにあたり、作風である主人公=プレイヤーをより表現するために考え出したシステム[* 11]。従来のシミュレーションゲームのような俯瞰アングルではなく、主人公の視点で戦闘が展開される。見た目はFPSに似ているが、アクションゲームではなくあくまでシミュレーションゲームなので、移動や行動にAPと呼ばれる行動ポイントを消費したり、自分のターンと敵のターンを交互に行うなど非常に戦略性の高いゲーム性となっている。このシステムをFPSLGと名付けて周囲にもそう呼ばせようとしたが定着しなかったとインタビューで語っている[* 12]

作品履歴[編集]

ゲーム[編集]

  • PS版『東京魔人學園剣風帖』(監督/企画/脚本/演出)アスミックエース 1998年6月18日発売
  • PS版『東京魔人學園朧綺譚』(監督/企画/脚本/演出)アスミックエース 1999年4月発売
  • PS版『東京魔人學園伝奇人之章〜東京魔人學園剣風帖繪巻』(監督/企画/脚本/演出)アスミックエース 2000年7月発売
  • ワンダースワン用『東京魔人學園符咒封録』(監督/企画/脚本/演出)アスミックエース 2000年10月発売
  • PS版『東京魔人學園外法帖』(監督/企画/脚本/演出)アスミックエース 2002年1月発売
  • GBA版『東京魔人學園符咒封録〜白虎』(監督/企画/脚本/演出)アスミックエース/マーベラスインタラクティブ 2004年4月発売
  • PS2版『東京魔人學園外法帖血風録』(監督/企画/脚本/演出)アスミックエース/マーベラスインタラクティブ 2004年8月発売
  • PS2版『九龍妖魔學園紀』(監督/企画/脚本/演出)アトラス 2004年9月16日発売
  • PS2版『九龍妖魔學園紀re:charge』(監督/企画/脚本/演出)アトラス 2006年9月発売
  • PS2版『九龍妖魔學園紀re:charge SPECIAL DVD』(監督/企画/脚本/演出)アトラス/キックファクトリー 2007年6月発売
  • モバイル版『東京魔人學園群星伝』(監督/企画/脚本/演出)アスミックエース/マーベラスインタラクティブ 2008年7月サービス開始
  • DS版『東京魔人學園剣風帖』(監督/企画/脚本/演出)アスミックエース/マーベラスインタラクティブ 2008年8月発売
  • iOS版『ギャングハウンド』(ディレクション/世界設定)フジテレビ 2012年3月サービス開始
  • iOS版『サムライソウル』(監督/企画/脚本/設定)CJインターネットジャパン/ナウプロダクション 2013年4月サービス開始
  • iOS版『サムライソウル イクサ』(監督/企画/脚本/設定)CJインターネットジャパン/ナウプロダクション 2013年12月サービス開始
  • PS3/VITA版『魔都紅色幽撃隊』(監督/企画/原作)アークシステムワークス 2014年4月10日発売
  • 3DS版『 ハマトラLook at Smoking World』(ディレクション/企画/脚本/演出)フリュー 2014年7月17日発売
  • iOS/Android版『ケイオスドラゴン 混沌戦争』(ディレクション)セガゲームス Android版2015年7月2日、iOS版8月13日サービス開始
  • PS3/VITA版『魔都紅色幽撃隊 DAYBREAK SPECIAL GIGS』(監督)アークシステムワークス  2015年11月26日発売
  • iOS/Android版『デモンズゲート』(ディレクション)Donuts 2016年8月16日サービス開始
  • Nintendo Switch版『がるメタる!』(監督/企画/脚本/演出)DMM GAMES 2018年2月8日発売
  • iOS/Android版『アトリエオンライン 〜ブレセイルの錬金術士〜』(ディレクション/ゲームデザイン/世界設定/人物設定)コーエーテクモゲームス 2018年10月3日サービス開始
  • Nintendo Switch(北米・欧州 )版『Gal Metal - 'World Tour' Edition -』(Direction/Gamedesign/Scenario)Xseed 2018年10月30日発売
  • Nintendo Switch版『九龍妖魔學園紀 ORIGIN OF ADVENTURE』(監督/企画/脚本/演出)アークシステムワークス 2020年6月4日発売
  • Nintendo Switch版『Deadly Premonition2:A Blessing in Disguise』(アートディレクション)トイボックス 2020年7月10日発売
  • Nintendo Switch(北米・欧州)版『Kowloon High-School Chronicle』(監督/企画/脚本/演出)アークシステムワークス 2021年2月4日発売
  • iOS/Android版『貞子M 未解決事件探偵事務所』(脚本/演出)グラビティゲームアライズ 2021年10月26日サービス開始
  • Nintendo Switch/PlayStation 4/Xbox One/Windows PC/Steam版『パックマン ミュージアム プラス』(ディレクション)バンダイナムコエンターテインメント 2022年5月26日発売
  • Steam版『Deadly Premonition2:A Blessing in Disguise』(アートディレクション)Rising Star Games 2022年6月12日発売
  • Nintendo Switch/PlayStation 5/PlayStation 4/Xbox Series X|S/Xbox One版『PAC-MAN WORLD Re-PAC(パックマン ワールド リ・パック)』(ディレクション)バンダイナムコエンターテインメント 2022年8月25日発売
  • Steam版『PAC-MAN WORLD Re-PAC(パックマン ワールド リ・パック)』(ディレクション)バンダイナムコエンターテインメント 2022年8月26日発売
  • Steam版『九龍妖魔學園紀 ORIGIN OF ADVENTURE』(監督/企画/脚本/演出)アークシステムワークス 2020年11月10日発売
  • Nintendo Switch/PlayStation 5/PlayStation 4/Steam版『神箱 KAMiBAKO - Mythology of Cube -』(ディレクション)グラビティゲームアライズ 2024年未定
  • Nintendo Switch/PlayStation 5/PlayStation 4/Steam版『東京サイコデミック ~公安調査庁特別事象科学情報分析室 特殊捜査事件簿~』(監督/脚本/演出/ゲームデザイン)グラビティゲームアライズ 2024年未定

小説[編集]

シナリオブック[編集]

  • 九龍妖魔學園紀シナリオブック・上(原作/執筆)新紀元社2004年11月
  • 九龍妖魔學園紀シナリオブック・下(原作/執筆)新紀元社2004年12月
  • 九龍妖魔學園紀メイキングブック(原作/執筆)コーエー2005年7月

コミック[編集]

  • 妖都鎮魂歌Tokyo Requiem 第壱巻(原作/脚本)角川書店2000年11月発売
  • 妖都鎮魂歌Tokyo Requiem 第弐巻(原作/脚本)角川書店2001年12月発売
  • コミック魔人―東京魔人学園剣風帖激画伝(1)(原作/企画)コーエー 1999年4月発売
  • コミック魔人―東京魔人学園剣風帖激画伝(2)(原作/企画)コーエー 1999年10月発売
  • コミック魔人―東京魔人学園剣風帖激画伝(3)(原作/企画)コーエー 2000年3月発売
  • コミック魔人―東京魔人学園剣風帖激画伝(4)(原作/企画)コーエー 2000年12月発売
  • 東京魔人學園剣風帖(1)(原作)スクウェア・エニックス 1999年11月発売
  • 東京魔人學園剣風帖(2)(原作)スクウェア・エニックス 2000年8月発売
  • 東京魔人學園剣風帖(3)(原作)スクウェア・エニックス 2001年3月発売
  • 東京魔人學園剣風帖(4)(原作)スクウェア・エニックス 2001年9月発売
  • 東京魔人學園外法帖(1)(原作)スクウェア・エニックス 2002年6月発売
  • 東京魔人學園外法帖(2)(原作)スクウェア・エニックス 2002年11月発売

ドラマCD[編集]

  • 東京魔人学園退魔陣・第壱巻(脚本/演出)フロンティアワークス 1999年4月
  • 東京魔人学園退魔陣・第壱巻(脚本/演出)フロンティアワークス 1999年5月
  • 東京魔人学園退魔陣・第壱巻(脚本/演出)フロンティアワークス 1999年6月
  • 東京魔人学園退魔陣・桜月夜(脚本/演出)フロンティアワークス 1999年7月
  • 東京魔人学園月紅伝・雪街(脚本/演出)フロンティアワークス 1999年12月
  • 東京魔人学園月紅伝・前編(脚本/演出)フロンティアワークス 2000年1月
  • 東京魔人学園月紅伝・後編(脚本/演出)フロンティアワークス 2000年2月
  • 妖都鎮魂歌Tokyo Requiem・第壱巻(原作/演出)フロンティアワークス 2001年1月
  • 妖都鎮魂歌Tokyo Requiem・第弐巻(原作/演出)フロンティアワークス 2001年7月
  • 東京魔人學園黄龍祭・前編(脚本/演出)フロンティアワークス 2005年2月
  • 東京魔人學園黄龍祭・後編(脚本/演出)フロンティアワークス 2006年4月
  • 九龍妖魔學園紀・Vol.1(脚本/演出)フロンティアワークス 2005年9月
  • 九龍妖魔學園紀・Vol.2(脚本/演出)フロンティアワークス 2005年10月
  • Nintendo Switch用『九龍妖魔學園紀 ORIGIN OF ADVENTURE』特典(脚本/演出)アークシステムワークス 2020年6月4日

作詞[編集]

TVアニメ[編集]

イベント[編集]

  • 真夏の夜の學園祭[* 13](プロデュース/企画)フロンティアワークス 2004年7月
  • 大天香祭(プロデュース/企画)アトラス 2006年1月
  • 九龍ピラミッド祭(プロデュース/企画)アトラス 2006年8月
  • 九龍×マジックアイス[* 14](プロデュース/企画)アトラス 2006年11月
  • 魔人×韓辛[* 15](プロデュース/企画))アスミックエース/マーベラスインタラクティブ 2008年7月
  • 東京コンテンツマーケット(映像出展)[* 16]経済産業省 2007年10月
  • オーケストラコンサート『風詠みて水流れし都[* 17](プロデュース/企画)アスミックエース/マーベラスインタラクティブ 2009年4月
  • 『魔都紅色幽撃隊サウンドトラックアルバム』発売記念イベント(プロデュース/企画)ポニーキャニオン 2014年7月

注釈[編集]

  1. ^ プレイヤーの想像力を刺激するゲームデザイン――ゲーム作家・今井秋芳氏の制作思想に迫る「魔都紅色幽撃隊」ロングインタビュー 4Gamer.net
  2. ^ 1998年6月18日発売の『東京魔人學園剣風帖』がゲーム業界初のジュヴナイル伝奇作品。その時のコピーも「陽(ひかり)と陰(かげ)のジュヴナイル」だった。
  3. ^ 『真夏の夜の學園祭』や『九龍ピラミッド祭』のステージで、そのように演出されている。
  4. ^ 『東京魔人學園放送部』(メ〜テレ2008/6/18〜2009/6/30)にて、声優の堀江由衣と「お互い変わらない」という話をしているという中で、声優の永迫舞に指摘されていた。
  5. ^ 『まるごと!東京魔人學園伝奇』(エンターブレイン刊2009/8/31発売)の100の質問の返答で語っている。
  6. ^ 公式ブログのプロフィールより。
  7. ^ 【東京ゲームショウ2013】BEST OF TGS AWARD 2013のノミネート作品を発表 インサイド/Game*Spark
  8. ^ CEDEC AWARDS ノミネーションリスト(優秀賞) CEDEC2018公式
  9. ^ [https://navgtr.org/2020-winners/ 2020 NAVGTR Award
  10. ^ 『東京魔人學園伝奇』インタビュー:學園ジュヴナイルの名手・今井秋芳監督のルーツを探る 電撃オンライン
  11. ^ 『九龍妖魔學園紀』インタビュー:學園ジュヴナイルの名手・今井秋芳監督のルーツを探る 電撃オンライン
  12. ^ 『九龍妖魔學園紀 ORIGIN OF ADVENTURE』インタビュー【後編】。今井秋芳監督が語る『九龍』開発秘話や続編構想、そして『東京魔人學園』最新作 ファミ通.com
  13. ^ [https://game.watch.impress.co.jp/docs/20040718/gakuen.htm 「東京魔人學園」と「九龍妖魔學園紀」発売記念 コラボレートイベント「真夏の夜の學園祭」開催] GAME Watch
  14. ^ 2006年8月に池袋ナンジャタウンで、同年11月に池袋ナンジャタウンとプランタン銀座にて、『九龍妖魔學園紀』とのコラボアイスを期間限定販売
  15. ^ 【原宿探訪】美味さは魔人級? 『東京魔人學園剣風帖』特別企画「魔人らーめん」 電撃オンライン
  16. ^ クトゥルフ神話をモチーフとしたミステリー作品『アーカムレポート』のプロモ映像を出展。全出展作品が閲覧できるワッチミー!TVにて、再生数1位を獲得する。
  17. ^ ゲーム業界初となる、能楽堂を貸し切っての和洋コラボによるオーケストラコンサート。

関連項目[編集]