七宝 (仏教)

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七宝(しちほう)とは、仏教において、貴重とされる七種の宝のこと。七種ななくさの宝[1]七珍ともいう。工芸品の「七宝」(七寶瑠璃七宝焼)の語源と言われている。専ら工芸品の七宝をシッポウとよび、仏教の七宝をシチホウとよぶ[2]簡体字: 七宝; 繁体字: 七寶朝鮮語: 칠보サンスクリット語: सप्तरत्न, Saptaratnaサプタラットナパーリ語: सत्तरतन, Sattaratanaサッタラタナ)。

仏典における記述[編集]

無量寿経』においては「瑠璃るり玻璃はり硨磲しゃこ珊瑚さんご瑪瑙めのう」とされ、『法華経』においては「金、銀、瑪瑙、瑠璃、硨磲、真珠玫瑰まいかい」とされる。

  • 瑠璃は、サンスクリット語ではvaiḍūrya(バイドゥーリヤ、漢音写:吠瑠璃)、パーリ語ではveḷuriya(ヴェルーリヤ)、青色の宝玉で、アフガニスタン産ラピスラズリと推定されている。後に、青色系のガラスもさすようになった。
  • 玻璃は、サンスクリット語ではsphaṭika(漢意訳:水精)、無色(白色)の水晶、後に、無色のガラスを指す。
  • 硨磲は、シャコガイの殻、又は白色系のサンゴ。
  • 玫瑰は、詳細は不明であるが、赤色系の宝玉とされる、理論はそれがばら輝石であることを示唆して。

出典[編集]

  1. ^ 万葉集』巻第五・904番の歌に表記が見られる。
  2. ^ 森秀人, "七宝文化史", 近藤出版社, pp.18-20