ヴァレリオ・マスタンドレア

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ヴァレリオ・マスタンドレア
Valerio Mastandrea
Valerio Mastandrea
本名 Valerio Marco Massimo Maria Mastandrea
生年月日 (1972-02-14) 1972年2月14日(52歳)
出生地 イタリアの旗 イタリア ローマ[1]
職業 俳優映画監督映画プロデューサー作家
ジャンル 映画テレビ
 
受賞
ロカルノ国際映画祭
最優秀男優賞

1997年We All Fall Down
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ヴァレリオ・マスタンドレアValerio Mastandrea, 1972年2月14日[1] - )は、イタリア俳優映画監督映画プロデューサー作家である。

2019年までにダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞に11度ノミネートされ(プロデューサーとしてのノミネート1度を含む)、4度受賞している。

経歴[編集]

ローマ出身[1]。ローマの古い町並みが残る地区ガルバテッラで育つ。大学在学中19歳の頃、テレビの人気トーク番組「マウリツィオ・コスタンツォ・ショー(Maurizio Costanzo Show)」[2]の司会マウリツィオ・コスタンツォに個人的に連絡を取り、番組出演を歎願。同番組に出演を果たすと、たちまち人気者となる。また、スポーツ(主にサッカー)関連のトークバラエティ番組「Quelli che... il calcio」への出演で知られるようになる。

映画[編集]

1993年に舞台デビューを果たした後、ピエロ・ナトリ(Piero Natoli)監督作『Ladri di cinema』(1994年)で初めて映画に出演する。1996年公開のクラウディオ・フラガッソ(Claudio Fragasso)監督作『Palermo Milano - Solo andata』への出演で全国的に人気を集め、また、同年、ダヴィデ・フェッラーリオ(Davide Ferrario)監督作『Tutti giù per terra』でロカルノ国際映画祭最優秀男優賞を受賞する。

2005年、労働災害による死亡を題材とした短編映画『サンテンハチジュウナナ』で監督兼脚本家としてもデビューを果たす。題名の3.87という数字は当時イタリアで労働災害による一日の平均死者数を示している。

2007年、ジャンニ・ザナージ(Gianni Zanasi)監督作『考えてもムダさ』にロックミュージシャン役で主演してダヴィッド・ディ・ドナテッロ主演男優賞にノミネートされ、2009年に放送された同名のテレビシリーズでも同じ役を演じた。2009年ロブ・マーシャル監督のハリウッド映画『NINE』に出演する。2010年にはパオロ・ヴィルズィ(Paolo Virzì)監督作『はじめての大切なもの』でダヴィッド・ディ・ドナテッロ主演男優賞を獲得する。

2012年にはマルコ・トゥリオ・ジョルダーナ監督作『フォンターナ広場 イタリアの陰謀』に出演したほか、イヴァーノ・デ・マッテオ(Ivano De Matteo)監督作『幸せのバランス』でダヴィッド・ディ・ドナテッロ主演男優賞を、ロベルト・アンドー(Roberto Andò)監督作『ローマに消えた男』で同助演男優賞を獲得する。

2014年、 カルロ・マッツァクラーティ(Carlo Mazzacurati)監督の遺作となった『幸せの椅子』に出演する。友人のクラウディオ・カリガーリ(Claudio Caligari)監督作『Non essere cattivo』(2015年)にはプロデューサーとして参加し、2015年5月にカリガーリが死去した後には編集の仕上げを行っている。同作は第72回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門で上映されたほか、第88回アカデミー賞のイタリア代表作品に選出された。その後の主な出演作としては、同名のベストセラー小説が原作のマルコ・ベロッキオ監督作『甘き人生』(2016年)、パオロ・ジェノヴェーゼ(Paolo Genovese)監督作『おとなの事情』(2016年)、パオラ・ランディ(Paola Randi)監督作『ティートとエイリアン』(2018年)等がある。さらに、マネッティ兄弟作『ディアボリック』(2020年)でルカ・マリネッリと共演、ステファノ・モルディーニ監督のNetflixオリジナル映画『プレイヤー ~浮気男のラプソディー~』(2020年)でリッカルド・スカマルチョと共演するなど、近年も話題作が目白押しだ。三銃士のポルトス役で出演するジョヴァンニ・ヴェロネージ監督『Moschettieri del re - La penultima missione』(2020年)も見逃せない。

その他の活動[編集]

  • 2010年、サヴェリオ・マストロフランコ(Saverio Mastrofranco)名義でフランチェスコ・アバーテ(Francesco Abate)とともに長編小説『Chiedo scusa』を出版した[3]
  • ローマ方言で風刺的な映画評を書き、出版および俳優による朗読を通して発表することで知られる覆面評論家ジョニー・パロンバ(Johnny Palomba)と関係が深く、2009年から2010年までRai 3の番組『Parla con me』で映画評の朗読を担当したほか、漫画家のゼロカルカーレの同名作品を原作とする映画『アルマジロの予言』(2018年)では、パロンバおよびゼロカルカーレと共同で脚色を担当した。
  • 2011年に設立されたローマ県立ジャン・マリア・ヴォロンテ映画芸術学校(Scuola d'arte cinematografica Gian Maria Volonté)の学術委員を務めている[4]

私生活[編集]

  • パオラ・コルテッレージと婚約していた時期があり、両者は婚約解消後も共同で舞台を演出するほか、2020年のジュゼッペ・ボニート(Giuseppe Bonito)監督作『こどもたち』で中年夫婦役として共演し、良好な関係を見せている。
  • 2010年に元妻で放送作家のヴァレンティナ・アヴェニア(Valentina Avenia)との間に息子が一人誕生している。2018年からは女優のキアラ・マルテジャーニ(Chiara Martegiani)と交際している。

フィルモグラフィー[編集]

映画[編集]

公開年 邦題

原題

役名 備考
1994 Ladri di cinema ヴァレリオ
1995 Cronaca di un amore violato
Cuore cattivo
L'anno prossimo vado a letto alle dieci ミルコ
Palermo Milano - Solo andata
Mirko e Caterina 短編
1996 Bruno aspetta in macchina ナンニ
Cresceranno i carciofi a Mimongo エンツォ
Un inverno freddo freddo ロビー
1997 La classe non è acqua リッツーティ
Tutti giù per terra ヴァルテル ロカルノ国際映画祭最優秀男優賞
Stressati クレジットなし
In barca a vela contromano マッシモ・ミリャリーニ
Viola bacia tutti サムエーレ
La lettera 短編
1998 Abbiamo solo fatto l'amore レオ
L'odore della notte レーモ・グエッラ
Barbara アルド
1999 Asini
2000 La carbonara ファブリツィオ
Zora la vampira ニコラ・スペランツァ
明日、陽はふたたび
Domani
ジョヴァンニ・モッチャ
2001 Sole negli occhi リナルド
2002 Ultimo stadio マルコ
V-マックス
Velocità massima
ステファノ
スズメバチ
Nid de guêpes
ジョヴァンニ
Playgirl 短編
2003 Gente di Roma
2004 Il siero della vanità フランコ・ベラルディ
Lavorare con lentezza リッポリス中尉
Amatemi アンドレア
2005 Codice a sbarre
Nessun messaggio in segreteria ピエロ
L'orizzonte degli eventi マックス・フラミーニ
Anni rapaci
AD Project MIB1
サンテンハチジュウナナ
Trevirgolaottanatasette
短編
兼監督・脚本
イタリア映画祭2006にて上映[6]
2006 Piano 17
夫婦の危機
Il caimano
チェザーリ Viva!イタリア Vol.2にて上映
4-4-2: il gioco più bello del mondo ユーリ・バルザッリ オムニバス映画
Roan Johnson監督「Il terzo portiere」に出演
ナポレオンの愛人
N - Io e Napoleone
フェッランテ・パプッチ ダヴィッド・ディ・ドナテッロ助演男優賞ノミネート
Sotto le foglie 短編
Va tutto bene 短編
2007 Last Minute Marocco
あのバスを止めろ
Notturno bus
フランツ
Chi nasce tondo... マリオ
2008 見わたすかぎり人生
Tutta la vita davanti
ジョルジョ・コンフォルティ
考えてもムダさ
Non pensarci
ステファノ・ナルディーニ イタリア映画祭2008にて上映[7]
ダヴィッド・ディ・ドナテッロ主演男優賞ノミネート
Un giorno perfetto アントニオ・ブオノコーレ
Basette アントニオ 短編
2009 ジュリアは夕べに出かけない
Giulia non esce la sera
グイド・モンターニ イタリア映画祭2010にて上映[8]
Good morning Aman テオドーロ
NINE
Nine
デ・ロッシ
2010 はじめての大切なもの
La prima cosa bella
ブルーノ・ミケルッチ イタリア映画祭2011にて上映[9]
ダヴィッド・ディ・ドナテッロ主演男優賞受賞
La sottile mensola rossa 短編
2011 Tutti al mare ファンティーノ
Nessuno mi può giudicare ビアージョ
Cose dell'altro mondo アリエーレ・ヴェルデラーメ
錆び
Ruggine
カルミネ イタリア映画祭2012にて上映[10]
2012 フォンターナ広場 イタリアの陰謀
Romanzo di una strage
ルイジ・カラブレージ警視 イタリア映画祭2013にて上映[11]
ダヴィッド・ディ・ドナテッロ主演男優賞ノミネート
家の主たち
Padroni di casa
コジモ イタリア映画祭2013にて上映[11]
幸せのバランス
Gli equilibristi
ジュリオ イタリア映画祭2013上映時タイトル『綱渡り』[11]
ダヴィッド・ディ・ドナテッロ主演男優賞受賞
司令官とコウノトリ
Il comandante e la cicogna
レオ イタリア映画祭2013にて上映[11]
2013 ローマに消えた男
Viva la libertà
アンドレア・ボッティーニ ダヴィッド・ディ・ドナテッロ助演男優賞受賞
チャック・ドーロ助演男優賞受賞
La mia classe
2014 幸せの椅子
La sedia della felicità
ディーノ イタリア映画祭2015にて上映[12]
天使が消えた街
The Face of an Angel
エドアルド
Pasolini ドメニコ・ナルディーニ
Caserta palace dream 短編
Ogni maledetto Natale
2015 La felicità è un sistema complesso エンリコ・ジュスティ
Non essere cattivo 製作のみ
ダヴィッド・ディ・ドナテッロ プロデューサー賞ノミネート
2016 おとなの事情
Perfetti sconosciuti
レレ ダヴィッド・ディ・ドナテッロ主演男優賞ノミネート
ナストロ・ダルジェント特別賞受賞
花咲く恋
Fiore
アスカニオ イタリア映画祭2017にて上映[13]
ダヴィッド・ディ・ドナテッロ助演男優賞受賞
甘き人生
Fai bei sogni
マッシモ イタリア映画祭2017上映時タイトル『スイート・ドリームス』[13]
ダヴィッド・ディ・ドナテッロ主演男優賞ノミネート
2017 ザ・プレイス 運命の交差点
The Place
謎の男 イタリア映画祭2018上映時タイトル『ザ・プレイス』[14]
ダヴィッド・ディ・ドナテッロ主演男優賞ノミネート
2018 ティートとエイリアン
Tito e gli alieni
教授 イタリア映画祭2018にて上映[14]
幸せな感じ
Euforia
エットレ イタリア映画祭2019にて上映[15]
ダヴィッド・ディ・ドナテッロ助演男優賞ノミネート
彼女は笑う
Ride
監督のみ
イタリア映画祭2019にて上映[15]
ダヴィッド・ディ・ドナテッロ新人監督賞ノミネート
アルマジロの予言
La profezia dell'armadillo
脚本のみ
イタリア映画祭2019にて上映[15]
ダヴィッド・ディ・ドナテッロ脚色賞ノミネート
Moschettieri del re - La penultima missione ポルトス
2019 Domani è un altro giorno トンマーゾ
Detective per caso
Il grande salto
2020 こどもたち
Figli
ニコラ イタリア映画祭2021にて上映[16]
プレイヤー ~浮気男のラプソディ~
Gli infedeli
Netflixにて配信
2021 La terra dei figli
Zeros and Ones
Anni da cane
ディアボリック
Diabolik
ジンコ イタリア映画祭2022にて上映[17]
2022 Il pataffio
乾いたローマ
Siccità
ロリス イタリア映画祭2023にて上映[18]
Diabolik - Ginko all'attacco! ジンコ
人生の最初の日

Il primo giorno della mia vita

ナポレオーネ イタリア映画祭2024にて上映[19]

テレビ[編集]

放映年 邦題

原題

役名 備考
1996 Infiltrato マッテオ
1997 Da cosa nasce cosa ミッキー
2003 Gli insoliti ignoti
2004 Ladri ma non troppo
2005 Cefalonia モレーノ
2006 Buttafuori
2007 Boris ゲスト出演(シーズン1 第12話「Una giornata particolare」)
2009 Non pensarci - La serie ステファノ・ナルディーニ 映画『考えてもムダさ』(2007年)のテレビシリーズ化
2018 La linea verticale ルイジ

その他[編集]

  • Daniele Silvestri「A bocca chiusa」(2013年) - ミュージックビデオ

舞台[編集]

  • Rugantino
  • Migliore
  • Qui e ora

オーディオブック[編集]

  • ピーノ・カクッチ(Pino Cacucci)『San Isidro Futból』(2006年)
  • ジャン=クロード・イッツォ(Jean-Claude Izzo)『Casino totale』(2011)

ミュージッククリップ[編集]

  • Daniele Silvestri「Banalità」(1997年)
  • Piotta「Supercafone」(1999年)
  • Tiromancino「La descrizione di un attimo」(2000年)
  • Tiromancino「Due destini」(2000年)
  • Flaminio Maphia「Bada」 (2002年)
  • Riccardo Sinigallia「Solo per te」(2003年)
  • Daniele Silvestri「Gino e l'alfetta」(2007年)
  • バンダ・バソッティGuantanamera」(2003年)
  • Riccardo Sinigallia「Ciao cuore」(2018年)

主な受賞[編集]

ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞

チャック・ドーロ賞

  • 助演男優賞(2013年) 『ローマに消えた男』

脚注[編集]

  1. ^ a b c Valerio Mastandrea”. AlloCiné. 2019年4月10日閲覧。
  2. ^ I personaggi lanciati dal «Costanzo Show»da Sgarbi a Mughini, da Covatta a Iacchetti” (イタリア語). Corriere della Sera (2015年2月26日). 2019年3月3日閲覧。
  3. ^ Saverio Mastrofranco, info e libri dell'autore. Giulio Einaudi editore.” (イタリア語). Einaudi. 2023年5月29日閲覧。
  4. ^ La Scuola” (イタリア語). Scuola d'Arte Cinematografica Gian Maria Volonté. 2023年5月29日閲覧。
  5. ^ Talenti, A. S. R.. “L'antiromanismo spiegato a mio figlio” (イタリア語). www.asrtalenti.altervista.org. 2019年3月3日閲覧。
  6. ^ イタリア映画祭2006 公式ホームページ”. www.asahi.com. 2019年4月12日閲覧。
  7. ^ asahi.com : 朝日新聞社 - イタリア映画祭2008 ― 作品紹介”. www.asahi.com. 2019年4月12日閲覧。
  8. ^ asahi.com : 朝日新聞社 - 「イタリア映画祭2010」 - 作品情報”. www.asahi.com. 2019年4月12日閲覧。
  9. ^ asahi.com : 朝日新聞社 - 「イタリア映画祭2011」 - 作品情報”. www.asahi.com. 2019年4月12日閲覧。
  10. ^ 朝日新聞社 -「イタリア映画祭2012」- 作品情報”. www.asahi.com. 2019年4月12日閲覧。
  11. ^ a b c d イタリア映画祭2013”. 朝日新聞社. 2019年4月12日閲覧。
  12. ^ 「イタリア映画祭2015」作品情報”. 朝日新聞社. 2019年4月12日閲覧。
  13. ^ a b イタリア映画祭2017 作品情報”. 朝日新聞社. 2019年4月12日閲覧。
  14. ^ a b 作品情報 | イタリア映画祭2018”. 朝日新聞社. 2019年4月12日閲覧。
  15. ^ a b c イタリア映画祭2019”. 朝日新聞デジタル. 2019年4月12日閲覧。
  16. ^ イタリア映画祭2021”. 朝日新聞デジタル. 2021年4月23日閲覧。
  17. ^ イタリア映画祭2022”. 朝日新聞デジタル. 2022年4月15日閲覧。
  18. ^ イタリア映画祭2023”. 朝日新聞デジタル. 2023年5月8日閲覧。
  19. ^ イタリア映画祭2024”. 朝日新聞デジタル. 2024年5月3日閲覧。

外部リンク[編集]