ヴァイオリンソナタ第10番 (ベートーヴェン)

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ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンヴァイオリンソナタ第10番(ヴァイオリンソナタだいじゅうばん)ト長調作品96は最終作のヴァイオリンソナタであり、後のシューマンブラームスの作品に通じる自由な構成の作品。ベートーヴェンは壮年期までにヴァイオリンソナタ全10曲のうち9曲までを完成させており、本作は前作から9年たって作曲された創作後期の唯一のヴァイオリン曲である。

作曲年代:1812年2〜11月(ベートーヴェン41歳) 初演:1812年12月29日 出版:1816年

曲の構成[編集]

4楽章構成。自由なソナタ形式。全体に穏やかな曲想である。献呈はルドルフ大公

第1楽章 Allegro moderato
冒頭からヴァイオリンのトリルで伸びやかな展開。下属調和音をゆったりと歌い上げる。
第2楽章 Adagio espressivo
変ホ長調。歌謡風の落ち着いた主題。アタッカで第3楽章とつなげて演奏される。
第3楽章 Scherzo. Allegro
ト短調タイを使って強調しているが、壮年期の作品(第9番など)とは違い、激しさは影をひそめている。
第4楽章 Poco Allegretto
ト長調。主題と8つの変奏による変奏曲。随所に休符を入れ、柔和な演出をしている。第7変奏では後期の作品の特徴であるフーガが規模が小さいながらも使われている。

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