ローズ・シアター

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ローズ・シアター
劇場の様子(2008年)
ローズ・シアターの位置(キングストン・アポン・テムズ区内)
ローズ・シアター
ローズ・シアター
Location within キングストン・アポン・テムズ区
概要
住所 24-26 High Street
所在地 キングストン・アポン・テムズ
座標 北緯51度24分31秒 西経0度18分27秒 / 北緯51.4086度 西経0.3075度 / 51.4086; -0.3075座標: 北緯51度24分31秒 西経0度18分27秒 / 北緯51.4086度 西経0.3075度 / 51.4086; -0.3075
交通アクセス キングストン駅
所有者 キングストン・シアター・トラスト
種類 劇場
座席数 899
開業 2008年1月16日 (2008-01-16)
ウェブサイト
www.rosetheatrekingston.org
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ローズ・シアター(英語: Rose Theatre, Kingston)はグレーター・ロンドンキングストン・アポン・テムズ区のキングストン・ハイ・ストリートにある劇場である。広い張り出し舞台の周りに899名を収容できる客席を有する[1]

2008年1月16日、サー・ピーター・ホールの演出によるアントン・チェーホフの『ワーニャ伯父さん』でこけら落としした[2]。ホールは2004年12月にまだ外側しか完成していない劇場ドームの中で「剥き出しの」『お気に召すまま』 公演も演出している[3][4]

設計[編集]

ローズ・シアターの設計はクリストファー・マーロウの戯曲やウィリアム・シェイクスピアの初期作が上演されていたエリザベス朝の劇場、ローズ座の設計に基づいている。浅い張り出し舞台が特徴である。もともとのローズ座とは異なり、ローズ・シアターはどちらかというとストラトフォード=アポン=エイヴォンスワン・シアターに近いところがあり、エリザベス朝風の建築様式をより快適にすべく、屋根や現代的な客席がついている。1階席前方の列には椅子がなく、観客はかわりにクッションを使う[5]

来歴[編集]

ローズ・シアターはピーター・ホールと、キングストン・シアター・トラスト議長をつとめるデイヴィッド・ジェイコブズ(CBE)の支援によるプロジェクトであった[6]。建造には千百万ポンドがかかったが、このうち五百万ポンドほどは地元の議会によって提供されており、キングストン大学、ピーター・ホール、キングストン劇場友の会も資金提供に関わっていた[7]。建物のドーム外側部分はテムズ川岸の開発であるチャーター・キーの建造計画の一部としてセント・ジョージ公開有限会社によりトラストのため無料で建造された。

2008年1月、劇場がオープンした一週間後にホールは辞職し、2008年4月からイングリッシュ・ツアーリング・シアターのディレクターを辞したスティーヴン・アンウィンが「芸術監督」の職に就くことになり、一方でホールは「名誉監督」として残ることになった[8]

2010年11月25日、ローズ・シアターはキングストン・ビジネス賞で「コミュニティへの貢献」賞を獲得した[9]。同じ週にサー・ピーター・ホールはイブニング・スタンダード賞にて、世界の演劇への貢献によりモスクワ芸術座「金のかもめ」賞を受賞した[10][11]

ローズ座はキングストン・アポン・テムズ王立区から毎年50万ポンド、キングストン大学から毎年38万ポンド程度の支援を受けている。しかしながらアーツ・カウンシル・イングランドからは補助を受けていない。赤字が続き、2013年度には損失が20万ポンド以上にのぼったため、議論の的となった[12]チャールズ・スペンサーは、ナショナル・シアターウエスト・エンドの劇場外がキングストン・アポン・テムズからすぐ行ける距離にあり、競争相手が多いことを客足の鈍さの原因として指摘している[13]

上演[編集]

ローズ・シアターは主催公演を増やそうとつとめている。2004年に完成前の劇場でサー・ピーター・ホール演出『お気に召すまま』が上演された[7]。2010年には同じホールの演出により、ジュディ・デンチティターニア役に迎えて『夏の夜の夢』が上演された[14]

卒業式[編集]

キングストン大学では2010年(2009年学位取得者)からローズ・シアターで卒業式を行っている。それ以前は長年、ロイヤル・アルバート・ホールで、2009年にはロイヤル・フェスティバル・ホールで卒業式が行われていた。

脚注[編集]

  1. ^ Pearman, Hugh (2007年12月30日). “The Rose in full bloom”. The Sunday Times (Times Newspapers Ltd). http://entertainment.timesonline.co.uk/tol/arts_and_entertainment/visual_arts/architecture_and_design/article3099781.ece 2012年1月3日閲覧。 
  2. ^ Thaxter, John (2008年2月4日). Uncle Vanya (review)”. The Stage (The Stage Newspaper Ltd). http://www.thestage.co.uk/reviews/review.php/19733/uncle-vanya 2012年1月3日閲覧。 
  3. ^ Thaxter, John (2004年12月6日). As You Like It (review)”. The Stage (The Stage Newspaper Ltd). http://www.thestage.co.uk/reviews/review.php/5453/as-you-like-it 2012年1月3日閲覧。 
  4. ^ Billington, Michael (2004年12月6日). “Rosy Future”. The Guardian (Guardian Media Group). https://www.theguardian.com/stage/2004/dec/06/theatre1 2012年1月3日閲覧。 
  5. ^ Seating Plan”. Rose Theatre, Kingston. 2017年4月10日閲覧。
  6. ^ Frank Whately (2013年9月5日). “Letter: David Jacobs played a central role at the Rose theatre, Kingston”. The Guardian. 2017年4月10日閲覧。
  7. ^ a b Michael Billington (2004年12月6日). “Rosy future”. The Guardian. 2017年4月10日閲覧。
  8. ^ Smith, Alistair (2008年1月21日). “Unwin to replace Hall at Rose of Kingston”. The Stage (The Stage Newspaper Ltd). http://www.thestage.co.uk/news/newsstory.php/19597/unwin-to-replace-hall-at-rose-of-kingston 2012年1月3日閲覧。 
  9. ^ List of 2010 winners at Kingston Business Awards website
  10. ^ Spencer, Charles (2010年11月29日). “Evening Standard Theatre Awards: a year to be proud of”. Daily Telegraph (Telegraph Media Group). http://www.telegraph.co.uk/culture/theatre/theatre-features/8168356/Evening-Standard-Theatre-Awards-a-year-to-be-proud-of.html 2012年1月3日閲覧。 
  11. ^ Photograph of Sir Peter Hall with his award from the Evening Standard website
  12. ^ Logan, Ross (2014年1月8日). “Kingston's Rose Theatre reports £204,000 annual loss as key productions flop”. Surrey Comet. http://www.surreycomet.co.uk/news/10923008.Kingston_s_Rose_Theatre_reports___204_000_annual_loss_as_productions_flop/ 
  13. ^ Charles Spencer (2011年3月8日). “As You Like It, Rose Theatre, Kingston, review”. The Telegraph. 2017年4月10日閲覧。
  14. ^ Paul Taylor (2010年2月16日). “A Midsummer Night's Dream, Rose Theatre, Kingston”. The Independent. 2017年4月10日閲覧。

外部リンク[編集]