リモート空港

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リモート空港(リモートくうこう)とは、日本空港のうち、交通量が少ないため航空管制官ならびに航空管制運航情報官が配置されていない空港のうち、対空センター、飛行援助センターによる他飛行場援助業務が提供される空港のことである[1]。リモート対空通信施設(Remote Air-Ground Communication、リモート・エア・グランドとも称される)を介して情報が提供されるため、その英語頭文字からRAG空港(アールエージーくうこう)とも表記される。また、一部管制空港・レディオ空港の管制運用時間外においても、同様の運用を行う。

概要[編集]

東京・関西の各空港事務所に置かれた運航拠点(FAIB)[2]、全国5か所の空港事務所に置かれた対空センター・飛行援助センター(FSC;Flight Service Center)に勤務する航空管制運航情報官が無線で交通情報や気象情報などを提供する対空援助業務を行い[1]、緊急時には警急業務を実施する。このうち、対空センター・飛行援助センターに所属する航空管制運航情報官がレディオ空港における飛行場援助業務を行う(AFIS; Aerodrome Flight Infirmation Service)[3]。また、航行中の航空機への情報提供、航空機から運航者への連絡中継についても実施している(AEIS; Area En-route Infirmation Service)[3]

今後、レディオ空港のリモート化によって管制空港とリモート空港の2つに区分されることとなるため、2021年10月1日より、リモート空港のコールサインが"Remote"から、レディオ空港と同一の"Radio"に統一され、用語も統一が行われている[4][5]。また、2022年よりFSCを集約し、2024年までに新千歳、大阪、福岡の対空センターに集約される予定である[3][4][6]

対空センター等設置空港[編集]

かつては仙台空港中部国際空港にもFSCが設置されていた。2024年度末までに福岡・鹿児島・那覇のFSCが統合され、福岡対空センターに移行予定。また、東京FSCから改組した東京FAIBのリモート管制を新千歳対空センターに移行している。

空港一覧[編集]

2022年10月時点の日本のリモート空港とそれを管轄する対空センター・FSCは以下のとおり。英字はIATA/ICAO空港コード(3レターコード/4レターコード)である。また、レディオ空港を含めた非常時のバックアップについても論じる[3]

リモート空港の一覧と対空センター機能喪失時のバックアップ先(2023年4月現在) 脚注 昼:現地管制運用時間内のみ 夜:現地管制運用時間外のみ R:リモートRADIO、ー:指定なし
空港 空港コード 対空センター バックアップ 備考 空港 空港コード 対空センター バックアップ 備考
奥尻空港 OIR/RJEO 新千歳 大阪 種子島空港 TNE/RJFG 鹿児島 福岡
紋別空港 MBE/RJEB 屋久島空港 KUM/RJFC
利尻空港 RIS/RJER 鹿児島 喜界空港 KKX/RJKI 大阪
中標津空港 SHB/RJCN 徳之島空港 TKN/RJKN
大館能代空港 ONJ/RJSR 沖永良部空港 OKE/RJKB 那覇
庄内空港 SYO/RJSY 大阪 与論空港 RNJ/RORY
八丈島空港 HAC/RJTH 福岡 北大東空港 KTD/RORK 那覇 鹿児島
三宅島空港 MYE/RJTQ 南大東空港 MMD/ROMD
神津島空港 RJAZ 鹿児島 慶良間空港 KJP/ROKR
新島空港 RJAN 久米島空港 UEO/ROKJ 福岡
松本空港 MMJ/RJAF 大阪 粟国空港 AGJ/RORA
大島空港 OIM/RJTO 多良間空港 TRA/RORT 大阪
仙台空港 SDJ/RJSS 福岡 与那国空港 OGN/ROYN
能登空港 NTQ/RJNW 大阪 新千歳 波照間空港 HTR/RORH
但馬空港 TJH/RJBT 鹿児島 下地島空港 SHI/RORS 福岡
鳥取空港 TTJ/RJOR 福岡 奄美空港 ASJ/RJKA R
福井空港 FKJ/RJNF レディオ空港の現地機能喪失時のリモートバックアップの一覧
石見空港 IWJ/RJOW 那覇 稚内空港 WKJ/RJCW 新千歳
隠岐空港 OKI/RJNO 鹿児島 花巻空港 HNA/RJSI
壱岐空港 IKI/RJDB 福岡 那覇 山形空港 GAJ/RJSC
小値賀空港 RJDO 福島空港 FKS/RJSF
上五島空港 RJDK 静岡空港 FSZ/RJNS
対馬空港 TSJ/RJDT 鹿児島 南紀白浜空港 SHM/RJBD 大阪
福江空港 FUJ/RJFE 大阪 出雲空港 IZO/RJOC
北九州空港 KKJ/RJFR 山口宇部空港 UBJ/RJDC
佐賀空港 HSG/RJFS 那覇 佐賀空港 HSG/RJFS 福岡
長崎空港 NGS/RJFU 新千歳
大村飛行場 OMJ/RJDU

脚注[編集]

  1. ^ a b 航空機の航法と管制(18)管制官不在の飛行場を支えるリモート管制塔”. マイナビニュース (2018年5月29日). 2019年7月5日閲覧。
  2. ^ Flight and Airport Information BASE ~欲しい情報、いつでもここに~ - 国土交通省東京航空局、大阪航空局(2023年6月7日閲覧)
  3. ^ a b c d 対空センター AFIS&AEIS - 国土交通省航空局(2022年10月版、2023年6月7日閲覧)
  4. ^ a b 国土交通省航空局交通管制部運用課. “運航拠点・対空集約実施計画(案)”. 日本航空機操縦士協会. 2022年1月16日閲覧。
  5. ^ 国土交通省航空局交通管制部運用課. “運航拠点・対空集約実施計画 FAQ”. 日本航空機操縦士協会. 2022年1月16日閲覧。
  6. ^ 福岡対空センター構築に係る基本設計 - NJSS (2023年4月18日登録、2024年2月26日閲覧)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]