ラドラム鉄鉱

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ラドラム鉄鉱
Ludlamite
分類 リン酸塩鉱物
シュツルンツ分類 8.CD.20
化学式 (Fe,Mn,Mg)
3
(PO
4
)
2
 · 4H2O
結晶系 単斜晶系
対称 P21/a
単位格子 a = 10.541(5), b = 4.646(4)
c = 9.324(5) [Å]; β = 100.52°; Z = 2
晶癖 平板状、塊状、顆粒状
へき開 {001}に完全、{100}に不明瞭
モース硬度 3.5
光沢 ガラス光沢、真珠光沢
アップルグリーンから鮮やかな緑
条痕 淡い緑みを帯びた白
透明度 半透明
比重 3.12–3.19
光学性 二軸性 (+)
屈折率 nα = 1.650 - 1.653 nβ = 1.669 - 1.675 nγ = 1.688 - 1.697
複屈折 δ = 0.038 - 0.044
光軸角 2V 82°
文献 [1][2][3]
プロジェクト:鉱物Portal:地球科学
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ラドラム鉄鉱(ラドラムてっこう、英語: Ludlamite化学式:(Fe,Mn,Mg)
3
(PO
4
)
2
 · 4H2O)は、希少なリン酸塩鉱物の一種。最初に記載されたのは、1877年イギリスイングランドコーンウォールにあるホイールジェーン英語版で発見されたものである[4]。鉱物の名は、イギリスの鉱物収集家で発見者の友人である[4]、ヘンリー・ラドラム(Henry Ludlam、1824–1880)にちなむ[4][5]

生成[編集]

花崗岩ペグマタイトの中で、酸化還元反応により、初期のリン酸塩鉱物の熱水変質生成物として生じる[3]。共存鉱物はウィットロッカイト英語版藍鉄鉱トリプロイド石英語版トリプル石トリフィライト菱鉄鉱、ホスホフェライト(phosphoferrite)、フェアフィールダイト(fairfieldite)、燐灰石である[1]

産地[編集]

最初の発見地であるコーンウォールの鉱山は1992年を最後に休止しており、市場に出回るラドラム鉄鉱は、ほとんどがアメリカボリビアで産出したものである[6]。欧米の鉱物収集家に人気の鉱物であるが、モース硬度が3.5のため、宝石としては利用されない[7]

日本では栃木県日光市足尾鉱山が唯一の産地である[8]

脚注[編集]

  1. ^ a b Mindat.org
  2. ^ Webmineral.com
  3. ^ a b Handbook of Mineralogy
  4. ^ a b c NariNari@鉱物データベース. “ラドラム鉄鉱”. 鉱物データベース. TREKGEO. 2022年2月5日閲覧。
  5. ^ 加藤昭. “ラドラム鉄鉱 とは”. 日本大百科全書. コトバンク. 2022年2月5日閲覧。
  6. ^ ラドラム鉄鉱 Ludlamite”. 鉱物たちの庭. 2022年2月5日閲覧。
  7. ^ Ludlamite/ラドラム鉄鉱”. oso's Mineral Collection. 2022年2月5日閲覧。
  8. ^ こんなにあったよ!とちぎの鉱物レポート(その2)”. 栃木県立博物館 (2014年7月29日). 2022年2月5日閲覧。

外部リンク[編集]

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