ラッキーピエロ

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有限会社ラッキーピエログループ
ベイエリア本店の外装
ベイエリア本店の外装
種類 特例有限会社
本社所在地 日本の旗 日本
041-0812
北海道函館市昭和二丁目35-12
設立 1987年
業種 小売業
法人番号 4440002005932 ウィキデータを編集
事業内容 ファストフード「ラッキーピエロ」の運営
代表者 代表取締役 王一郎
資本金 300万円
従業員数 266人
外部リンク https://luckypierrot.jp/
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ラッキーピエロは、有限会社ラッキーピエログループが北海道函館市を中心とした道南地区で展開するハンバーガーショップチェーン[1][2]。愛称は「ラッピ」[2]1987年昭和62年)6月創業[2]

概要[編集]

道南地方ではハセガワストアと共に名物チェーン店の1つに位置付けられている。ハンバーガーチェーンであるが、作り置きをせずに注文を受けてから揚げたり焼いたりして提供する方式を採用しているため、ファストフードではないと謳っている[2]。店名は創業者の王一郎の少年時代に見たサーカスをイメージしており[3]、サーカスのようなわくわくする店作りを目指すとともに主役ではないもののサーカスでパワーな存在であるピエロを冠し物悲しいイメージを打ち消すために「ラッキー」を付け足す形とした[4]

「地産地食」という言葉を用いて地産地消を進めている。肉や米は北海道産を用い、野菜類は店舗のある函館近隣で栽培されたものを極力採用するなど、地元の食材を使用するようにしている[2]

店舗も道南地区以外への出店依頼を断って地元に集中し、2013年度職業別電話帳『タウンページ 函館市・渡島・檜山地方版』掲載の店舗数ではマクドナルドモスバーガーといった国内大手4社合計の店舗数を上回り、道南地区では最大のハンバーガーチェーンとなっている[2]

こうした地元に密着した展開により、函館を中心とする道南地区の人々の「故郷の味」となることを目指している[2]

主力のハンバーガーでは、大手チェーンとの差別化を図るべく中華風バーガーとして開発した甘辛いタレを絡めたから揚げレタスマヨネーズなどを挟んだ「チャイニーズチキンバーガー」が[3]、一番人気となっている。このほか、酢豚エビチリを挟んだハンバーガーといった独自性の強いメニューを展開しており、ハンバーガーのパティの重量がマクドナルドなど大手の3倍以上にあたる120g前後もあるなどボリュームも多いことで知られている[2]

また、「おいしいだけでは記憶に残らない。お客様に驚きと感動を与えて信頼されなくては、口コミで広がらない」として、顧客のアンケート用紙を創業者の王一郎自身が目を通して、その要望やアイデアを取り入れようとしている[2]

そのため、顧客の要望があったとして、ハンバーガーショップながら、カレーライスオムライスカツ丼などのメニューも提供するようになった[2]

さらに、ラーメンやあんかけ焼きそばピザなどを一部の店舗で販売しているほか、店舗ごとに装飾のテーマを変えて一店一店異なる店のつくりにするなど、店にも個性を持たせている[2]

主なメニュー[編集]

ハンバーガー[編集]

ハンバーガー
チャイニーズチキンバーガー
  • チャイニーズチキンバーガー - 人気No.1のハンバーガーで、甘辛いタレを絡めた鶏から揚げ3個をレタスとマヨネーズと一緒にパンで挟んでいる[2]。全国ご当地バーガーNo.1[5]
  • ラッキーエッグバーガー - 人気No.2[6]
  • トンカツバーガー - 人気No.3[6]
  • テリヤキバーガー - 人気No.4[6]
  • 酢豚バーガー - 酢豚を挟んだハンバーガー[2]
THEフトッチョバーガー
  • THEフトッチョバーガー - 一日20食限定の巨大ハンバーガー。
  • 函館山バーガー - THEフトッチョバーガーを越える最大のハンバーガー(1100円)。
  • 土方歳三ホタテバーガー
  • くじら味噌カツバーガー

ハンバーガー以外[編集]

サイドメニュー

アイデアコンテストなど[編集]

毎年「MYバーガーアイデアコンテスト」を開催しており、食肉会社などの法人を含めたメニュー提案の中から、ファン投票で商品化するものを選んでいる[7]

頻繁に新しいメニューや数量限定メニューが登場する。

店舗[編集]

「大切なのは異体験で驚きと感動を与えること」という思いから、店舗の内装はテーマパーク調を意識し各店ごとに独自のテーマを掲げている[3]

ラッキーピエロ各店舗
1
マリーナ末広店
2
ベイエリア本店
3
十字街銀座店
4
函館駅前店
5
五稜郭公園前店
6
美原店
7
港北大前店
8
松陰店
9
本町店
10
人見店
11
本通店
12
戸倉店
13
昭和店
14
北斗飯生店
15
峠下総本店
16
森町赤井川店
17
江差入口前店
五稜郭公園前店
函館市
  • マリーナ末広店(末広町) - 「ベイサイド海上レストランピア館」をテーマに、函館港の海上の景色を楽しませるとともにオールドアメリカン調の内装とした。
  • ベイエリア本店(末広町)- 「森の中のメリーゴーランド」をテーマにブランコや木馬などを設置。
  • 十字街銀座店(末広町) - 「サンタが函館にやってきた」をテーマに創業者のサンタクロースグッズコレクション約5000体を展示。全店舗で唯一2階席を擁する。
  • 函館駅前店(若松町) - 「マティスの赤が好き」をテーマにアンリ・マティスの赤を内装に取り入れた。当初は棒二森屋内で営業していたが同店の閉店取壊により2019年10月15日に一時閉店し、函館朝市の目の前にあるホテルニューオーテ内に移転し同年10月29日に再開業。
  • 五稜郭公園前店(五稜郭町) - 「エンジェルたちのおしゃべり」をテーマに創業者のコレクションした天使の絵画や人形を展示。
  • 美原店(美原二丁目) - 「僕らは皆んな映画青年だった」をテーマに創業者のコレクションした1920年代から1990年代までの映画ポスター600枚以上を展示。
  • 港北大前店(港町) - 「プレスリーが青春だった」をテーマにエルヴィス・プレスリーの像やブロマイド・レコード・ポスターなどを展示。
  • 松陰店(松陰町) - 「アンリ・ルソーの熱帯楽園」をテーマに創業者が学生時代に通った緑豊かなイギリスのサマースクールのような大自然の空間をルソーの絵画で演出した。
  • 本町店(本町) - 「クリムトハウス」をテーマにグスタフ・クリムトの絵画を設置しシックな雰囲気の内装とした。
  • 人見店(人見町) - 「グリーンハウス花花花」をテーマに季節の花々を描いた絵画を展示。創業者が本チェーン開店前に経営していた中華料理店「シルクロード」で提供していたラーメンをはじめ焼きそば・餃子といった中華料理をチェーン内で唯一取り扱う。
  • 本通店(本通四丁目) - 「ボッティチェリ館」をテーマにサンドロ・ボッティチェリヴィーナスの誕生」「」を壁面に大きく描き、天井は壁画との一体感を持たせつべく金色とした。
  • 戸倉店(戸倉町) - 「ハンバーガー歴史館」をテーマに創業者がコレクションした1920年代から1960年代までのアメリカのハンバーガーショップのポスターなどの資料やレストランメニュー等を展示。
  • 昭和店(昭和二丁目) - 「テニスレディ館」をテーマに創業者が1980年代に大門地区に経営したDJパブ「テニスレディ」をイメージし創業者が趣味で用いていたテニスラケットやコレクションしたテニスプレイヤーの絵や写真を展示。
函館市外
峠下総本店
その他
  • 大谷高校内店(函館大谷高等学校学生食堂)
  • みつわ台店(千葉県千葉市若葉区)
    • 社長の親族による経営で同じ看板を掲げて営業していたが、店長の体調不良により2005年(平成17年)8月31日をもって閉店。函館の本社とは別組織で運営していた。

特徴[編集]

  • 作り置きはしていないが、テレフォンオーダーシステムがあり、電話で注文すれば指定の時間に合わせて調理され、待つことなく商品を手に入れることができる。
  • 店舗毎にテーマを決めた装飾を施している。メニューのラインナップが店によって異なっているのも特徴で[8]、特定店舗でしか扱っていないメニューがある(人見店のみ扱いのラーメン、餃子など)。
  • ハンバーガーのミートパテなど、食材は冷凍や作りおきを行わず道内産にこだわっており[3]、野菜も無農薬とのこと。
  • 長年、食材を冷凍輸送して味を落としたくないなどの理由から函館地区以外へのデパート等の催事への参加も一切行っていなかったが、2010年平成22年)5月22日23日JR札幌駅での「みなみ北海道グルメパーク」にて札幌に初出店し千個のバーガーが完売となった[3]2019年(平成31年)4月11日には「北海道の春 うまいもの祭り阪急梅田店」にて大阪に初進出。
  • 長年函館地区以外の出店を行わなかったこと、特定店舗でしか扱わないメニュー、作り置きをしない方針などから経営学における「集中化戦略」の典型として大学授業などでしばしば取り扱われる。

口コミやメディアの活用[編集]

お客様に驚きと感動を与えて信頼され、口コミで広げることを目指している[2]

1号店開店後に道内をツーリングするライダーの口コミで評判が広がり[3]、その後GLAYを始めとした芸能人や[3]、メディアによる製品の紹介により一躍有名となった。また、各メディアの取材を積極的に受けることで宣伝の代わりとしており、CMなどマスメディアでの自社宣伝はほとんど無い。

ラッキーピエロに来店した有名人(ラッキーピエロ公式サイト)も参照。
GLAY
  • ロックバンドのGLAYのメンバーがインディーズ時代(函館在住時)に通いつめていたことが全国放送の音楽番組で紹介され、一躍店舗が有名となった[9]。また、メニューのスプリングロール「春巻」は、JIROが高校時代に好んで注文していたメニューでもある。
  • 函館大谷高等学校の校長が、学生食堂の施設を設営するにあたり、同校の卒業生JIROが愛していたラッキーピエロに出店協力を要請し、2007年8月21日にオープンとなった[9]
SKE48
チャイニーズチキンバーガー
  • 2007年2月、紀宮(現在の黒田清子)が野鳥観察の際に来店。人気No.1のメニュー「チャイニーズチキンバーガー」などを食された[9]
土方歳三ホタテバーガー
THEフトッチョバーガー
  • 元祖でぶやテレビ東京)の番組ロケでパパイヤ鈴木石塚英彦らが来店し好評価を得て、パパイヤ・石塚によりTHEフトッチョバーガーの原型が考案され、製品が開発された。その後、人気バーガーとしてメディアにも紹介された。
くじら味噌カツバーガー
  • 発売当時は動物愛護団体からの抗議が相次いたが、鯨肉を味わえる数少ない機会であることから、今や人気商品の一つとなっている。
その他

受賞[編集]

  • ハンバーガー愛好会金賞受賞」を謳っているが、店によると大学生のグループで、1987年頃の受賞とのこと。他に受賞を謳うハンバーガー店は存在せず、現在[いつ?]この団体が実在するのかは不明である。味噌研究家の新井由己が、この謳い文句をきっかけに「新・ハンバーガー愛好会」を立ち上げ参加者を募っているほか、「ハンバーガー愛好会」関係者からの情報提供を求めている。
  • 2009年(平成21年)、『日本経済新聞』日経プラス1 何でもランキング「ご当地バーガーならこの店」でご当地バーガーのNo.1に選出。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 函館支部会員検索 > 業種 > 飲食店 > (有)ラッキーピエログループ一般社団法人 北海道中小企業家同友会 函館支部(2019年6月7日閲覧)。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 鈴木勝一(2014年2月27日). “北海道・発:函館市 ラッキーピエログループ 「道南一」バーガーチェーン”. 『毎日新聞』(毎日新聞社)
  3. ^ a b c d e f g 観光・外食9ラッキーピエログループ社長王一郎さん - トップの決断北の経営者たち(北海道新聞 2012年)
  4. ^ 会社案内(ラッキーピエロとは?) - ラッキーピエロ
  5. ^ 日本経済新聞2009年6月13日 日経プラス1 何でもランキング「ご当地バーガーならこの店」
  6. ^ a b c d ラッキーピエロ ホームページ内のメニュー一覧より
  7. ^ “街角ワイド:函館 トンテキバーガー発売へ”. 『毎日新聞』(毎日新聞社).(2014年6月13日)
  8. ^ 同社社長のホームページでの発言
  9. ^ a b c 函館電子新聞 抜群の支持を受けるラッキーピエロが、大谷高校内食堂をオープンへ!よく来てくれたGLAYのJIROの母校に一役買う
  10. ^ 『函館市公式観光情報サイト』ニュース・お知らせ 2012年9月12日掲載
  11. ^ 来店された有名人 森崎博之様l
  12. ^ 来店された有名人 タモリ様 - ラッキーピエロ
  13. ^ ラッキーピエロ「土方歳三ホタテバーガー」 14日から2店舗で販売 - 『函館新聞』2004年3月9日
  14. ^ 函館のラッキーピエロ、王一郎社長退任へ 日本経済新聞2018年5月1日閲覧。

参考文献[編集]

  • 王一郎『B級グルメ地域No.1 : パワーブランド戦略』商業界、2012年6月。ISBN 9784785504281 

外部リンク[編集]