ミドルセックス・ギルドホール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ミドルセックス・ギルドホール
Middlesex Guildhall
ブロード・サンクチュアリから見たミドルセックス・ギルドホールの外観
地図
概要
現状 完成
用途 裁判所
建築様式 ゴシック・リヴァイヴァル建築アール・ヌーヴォーの要素を含む)
住所 シティ・オブ・ウェストミンスター パーラメント・スクエア
自治体 ロンドン
イングランド
座標 北緯51度30分01.3秒 西経0度07分41.3秒 / 北緯51.500361度 西経0.128139度 / 51.500361; -0.128139座標: 北緯51度30分01.3秒 西経0度07分41.3秒 / 北緯51.500361度 西経0.128139度 / 51.500361; -0.128139
入居者
着工 1906年
開業 1913年 (111年前) (1913)
所有者 司法省
技術的詳細
資材 ポートランド石
スレート
設計・建設
建築家 ジェームズ・グレン・シーヴライト・ギブソン英語版
他関係者 ヘンリー・チャールズ・フェール英語版(彫刻)
改築関係者
建築家 フェイルデン+モウソン英語版
フォスター・アンド・パートナーズ
その他の情報
交通アクセス ロンドン地下鉄 ウェストミンスター駅
ウェブサイト
公式ウェブサイト
指定建築物 – 等級 II*
登録名Middlesex Guildhall
登録日1970年2月5日
登録コード1226369
テンプレートを表示

ミドルセックス・ギルドホール(Middlesex Guildhall)は、イギリスロンドンパーラメント・スクエアの南西の角に建っている建造物であり、現在は連合王国最高裁判所枢密院司法委員会英語版が入居している。第二*級指定建造物となっている。[1]

1906年に「アールヌーヴォーゴシック」と呼ばれるスタイルで建設され、当初はミドルセックス・カウンティの行政と裁判所の中心地として機能していた。その後、刑事法院として使用された後、21世紀初頭に最高裁判所が置かれた。

歴史[編集]

ファサード

パーラメント・スクエアの南西の角にあるこの敷地には、元はウェストミンスター寺院の鐘楼があった。ウェストミンスターのリバティの司法官のために、最初のギルドホールがこの地に建設された。サミュエル・ピープス・コッカレル英語版によってドーリア式の入り口を持つ八角形の建物として設計され、1805年に「ウェストミンスター・セッションズ・ハウス」または「ウェストミンスター・ギルドホール」として開場した[2]

1889年、ウェストミンスターはミドルセックスの管轄から外れロンドン・カウンティ英語版の一部となった。ミドルセックス議会とロンドン議会の間の財産分与で、ウェストミンスターのギルドホールはミドルセックスに与えられ、代わりにクラークンウェルのセッションズハウス英語版がロンドンに移った。1888年地方自治法英語版が施行され、各カウンティに議会が設置されると、ギルドホールは司法の場としてだけでなく、ミドルセックス・カウンティ議会の行政本部や会議場としても使われるようになった[3]

ミドルセックス・カウンティの指導者たちは、最初のギルドホールでは目的を達成できないと判断し、1893年にF・H・パウナル英語版の設計によるネオチューダー様式の2代目のギルドホールが同じ敷地内に建設された[4][5]

その後、2代目のギルドホールでも手狭となったため、現在の3代目のギルドホールが建設された。J・S・ギブソン英語版が設計し、ニコラウス・ペヴズナーが「アールヌーボー・ゴシック」と呼ぶスタイルで、1906年から1913年にかけて建設された[1]。1階と2階にまたがるセグメント・アーチの窓が付いた装飾的なアーチ型の扉と、その上の塔が特徴的である[1]。建物の地下には、かつてトットヒル・フィールズ・ブライデュエル刑務所英語版で使われていた17世紀のドアが設置されていた[1]。建物は、ヘンリー・チャールズ・フェール英語版による中世風のガーゴイルなどの建築彫刻で飾られていた[6]

1963年ロンドン政府法の施行に伴い、ミドルセックス・カウンティ議会とミドルセックス・セッションは1965年に廃止され、その後は四季裁判所が使用していた。1972年に四季裁判所が廃止された後は、刑事法院が使用していた[7]

ミドルセックス・ギルドホールは、2005年憲法改革法によって新設された連合王国最高裁判所枢密院司法委員会英語版が使用することとなり、2007年に改装のために閉鎖された。最高裁判所は2009年10月1日に業務を開始した[8]

改装を巡る論争[編集]

最高裁判所の建物内にある判事の書庫

政府がミドルセックス・ギルドホールを新しい最高裁判所の所在地に選んだ後、新しい用途のために建物を改修するのに多大な作業が必要であることがわかった。改修計画は、建築会社のフェイルデン+モウソンLLC英語版が策定し、フォスター・アンド・パートナーズが協力した[9]

史跡保全団体は、この改築計画がミドルセックス・ギルドホールという重要な歴史的建造物に見合わないものになることを懸念していた。ミドルセックス・ギルドホールは第二*級指定建造物となっている。2004年8月26日にイングリッシュ・ヘリテッジは、3つのメインコートの内装が「付属品の品質と完全性の点で、当時の他の法廷にはないもの」であると、その重要性を声明した。改装工事では、オリジナルの備品の多くが撤去された。SAVEブリテンズ・ヘリテッジ英語版は改装工事を差し止めようとしたが、不成功に終わった[10][11]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d Historic England. "Middlesex Guildhall (1226369)". National Heritage List for England (英語). 2009年9月17日閲覧
  2. ^ Sessions House”. Sir John Soane's Museum. 2019年8月19日閲覧。
  3. ^ Local Government Act 1888”. Legislation.gov.uk. 2019年8月17日閲覧。
  4. ^ Robbins, Michael (1953). Middlesex. A New Survey of England. Collins 
  5. ^ 1892 – Guildhall, Westminster, London”. Archiseek (2009年7月23日). 2019年8月19日閲覧。
  6. ^ Architectural Sculpture at the Middlesex Guildhall”. Victorian Web. 2019年8月19日閲覧。
  7. ^ A visit to Britain's newest and highest court – the Supreme Court”. The Kensington Society (2019年5月9日). 2019年8月19日閲覧。
  8. ^ From House of Lords to Supreme Court”. UK Parliament (2009年7月23日). 2010年10月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年8月19日閲覧。
  9. ^ Constitutional Reform”. Department for Constitutional Affairs. 2010年10月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月19日閲覧。
  10. ^ The Supreme Court and the Middlesex Guildhall – the real story”. Save Britain's Heritage. 2018年5月27日閲覧。
  11. ^ Grand designs”. BBC (2007年3月7日). 2019年8月19日閲覧。

参考文献[編集]

  • The Supreme Court of the United Kingdom: History, Art, Architecture Chris Miele ed. (Merrell) ISBN 978-1-85894-508-8

外部リンク[編集]