フォート・ヴィクトリア級補給艦

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フォート・ヴィクトリア級補給艦
基本情報
種別 補給艦 (AOR)
運用者  イギリス海軍補助艦隊
建造期間 1988年 - 1996年
就役期間 1993年 - 就役中
建造数 2隻
前級 フォート・ロザリー級(AFS)
オル型(AO)
要目
満載排水量 36,580 t
総トン数 28,821 t
全長 203.93 m
最大幅 30.36 m
吃水 9.77 m
主機 クロッシー-ピルスティク16PC2-6 V400ディーゼルエンジン×2基
推進器 スクリュープロペラ×2軸
出力 25,083 bhp
電力 カミンズKTA 386Iディーゼル発電機×6基
(総出力3,900 kW)
最大速力 20ノット
乗員
  • RFA要員: 士官24名+その他71名
  • 海軍要員: 士官1名+曹士27名
便乗者 艦隊航空隊: 士官28名+曹士126名
兵装
搭載機 シーキングヘリコプター×3機 (最大5機)
C4ISTAR SCOT-1D衛星通信装置
レーダー
  • 1007型 航法用
  • 1008型 航法用
電子戦
対抗手段
  • UAT電波探知装置
  • シーナット6連装デコイ発射機×4基
  • 182型対魚雷デコイ装置
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    フォート・ヴィクトリア級補給艦(フォート・ヴィクトリアきゅうほきゅうかん 英語: Fort Victoria-class replenishment oiler)は、イギリス海軍補助艦隊が運用する補給艦の艦級である。2隻が建造された[1][2]

    来歴[編集]

    当初の計画では同級艦6隻の建造が予定されていたが、計画は大幅に修正された[1]。結果4隻の建造計画が中止され、「フォート・ヴィクトリア」と「フォート・ジョージ」の2隻のみが建造された。

    発注は1986年5月8日になされたが、「フォート・ヴィクトリア」は艤装中にIRA暫定派爆弾テロ英語版にあって大破したために建造が遅延し、2番艦の「フォート・ジョージ」の方が先に就役することになったという経緯がある[2]

    設計[編集]

    前部に艦橋、後部に機関部と航空艤装を置き、補給装備を中央に配した設計は、アメリカ海軍の高速戦闘支援艦(サクラメント級サプライ級)とも類似している[1]。また艦の安定化のため、2組のフィンスタビライザーを備えている[2]

    洋上移送
    艦中部に門型ポスト2基を備えて、スライディング・ステイに対応したドライカーゴ/液体貨物兼用のクラーク・チャップマン型補給ステーションを両舷に2ヶ所ずつ設定している。これらの補給ステーションは、艦中央の荷扱所から遠隔操作することができる。また給油は艦尾からも行うことができる[2]
    この他、物資移送のため、力量25トンのもの1基、10トンのもの2基、5トンのもの2基の計5基の電動クレーンを有するほか、更に給油リグを支援するため力量10トンのクレーンを1基備えている[2]
    物資格納
    標準的な搭載内容は下記の通りである[2]
    • ディーゼル油12,000トン
    • 航空燃料1,000トン
    • ドライ・カーゴ(糧食、弾薬、予備部品など)6,000トン(6,234 m3

    本級は、極めて強力な航空運用能力を備えている。ハンガーシーキングマーリンヘリコプター5機を収容可能な大きさを確保しており、補修設備も充実している。ただし平時の搭載数は3機である。これらのヘリコプターは基本的にはVERTREPなど補給用であったが、対潜戦も想定して兵器庫も設置されている。またヘリコプター甲板には2個の発着スポットが設定されており、緊急時にはBAe ハリアー IIの発着も可能であった[2]

    なお、個艦防空用として、当初は垂直発射型シーウルフ個艦防空ミサイル・システムが予定されていたが、これはキャンセルされた[1]。その後、1999年の改修で、ファランクスCIWSやUAT電波探知装置が搭載された[2]

    同型艦[編集]

    # 艦名 造船所 起工 進水 就役 退役
    A 387 フォート・ヴィクトリア
    RFA Fort Victoria
    ハーランド・アンド・ウルフ 1988年
    9月15日
    1990年
    5月4日
    1996年
    6月24日
    A 388 フォート・ジョージ
    RFA Fort George
    スワン・ハンター英語版 1989年
    3月9日
    1991年
    3月1日
    1993年
    7月16日
    2011年
    6月

    参考文献[編集]

    1. ^ a b c d 岡部いさく「世界の新鋭補給艦 (特集 新型AOE「ましゅう」のすべて)」『世界の艦船』第629号、海人社、2004年8月、92-99頁、NAID 40006310092 
    2. ^ a b c d e f g h Eric Wertheim (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. pp. 810-811. ISBN 978-1591149545 

    関連項目[編集]

    同時期の諸外国海軍の補給艦