フィタン

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フィタン
識別情報
CAS登録番号 638-36-8 ×
PubChem 1252354081983 6R,10R42627075 6R,10S,14S446564 6S,10S,14R
ChemSpider 12006 ×
393886 6S,10S,14R ×
EC番号 211-332-2
MeSH phytane
ChEBI
バイルシュタイン 1744639
特性
化学式 C20H42
モル質量 282.55 g mol−1
外観 無色液体
匂い 無臭
密度 791 mg mL-1 (at 20 °C)
沸点

69 - 71 °C, 271 K, -27 °F (at 100 mPa)

危険性
Sフレーズ S24/25
関連する物質
関連するアルカン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

フィタン(Phytane)は、ジテルペノイドアルカンである。フィトールの脱ヒドロキシル化物であるプリスタンと比べ、炭素が1つ余分に付いている。葉緑素の分解物の1つで、古代の二酸化炭素濃度レベルを示すのに用いられている[2]

フィタンは、連続した二酸化炭素濃度の記録を与えるが、5億年以上前の二酸化炭素濃度記録の断絶とも重なっている可能性がある[2]

この代理二酸化炭素を用いると、現在の410ppmに対して、1000ppmに達した[2]。また、これらの変化の速度は上昇しており、数百万年かかって起こった変化が現在は1世紀で起きる[2]

フィタニル(Phytanyl)は、対応する置換基である。フィタニル基はしばしば好熱古細菌細胞膜リン脂質に見られる[3]。この中には、2つの融合したフィタニル鎖を持つカルドアーキオールも含まれる。

石油の研究における生体マーカーとしても用いられる[4]

不飽和フィタニル[編集]

フィテン(Phytene)は、フィタンの一不飽和物である。置換基型のフィチル(Phytyl)は、クロロフィルトコフェロールビタミンE)、フィロキノンビタミンK1)等の生物学的に重要な多くの有機分子が持つ官能基である。フィテンの対応するアルコールは、フィトールである。

ゲラニルゲラネン(Geranylgeranene)は、完全に不飽和化したフィタンである。対応する置換基は、ゲラニルゲラニル(Geranylgeranyl)である。これがリン酸と結合したゲラニルゲラニル二リン酸は、カロテノイドジベレリントコトリエノール(ビタミンE)、クロロフィルなどの生合成前駆物質である。

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ phytane - Compound Summary”. PubChem Compound. USA: National Center for Biotechnology Information (2005年3月27日). 2012年3月14日閲覧。
  2. ^ a b c d Witkowski, Caitlyn (28 Nov 2018). “Molecular fossils from phytoplankton reveal secular Pco2 trend over the Phanerozoic”. Science Advances 2 (11). http://advances.sciencemag.org/content/4/11/eaat4556 2018年11月29日閲覧。. 
  3. ^ Edited by Ricardo Cavicchioli (2007), Archaea, Washington, DC: ASM Press, ISBN 1-55581-391-7, OCLC 172964654, https://books.google.com/books?id=BBfXbf6z1MEC&pg=RA1-PA16-IA1&lpg=RA1-PA16-IA1 
  4. ^ Hunt, J. (2002). “Early developments in petroleum geochemistry”. Organic Geochemistry 33: 1025-1052. doi:10.1016/S0146-6380(02)00056-6.