パラス級防護巡洋艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
パラス級防護巡洋艦
竣工当時の「フィービ(HMS Phoebe)」
竣工当時の「フィービ(HMS Phoebe)」
基本情報
艦種 三等防護巡洋艦
前級 ミディア級
次級 アラガント級
要目
排水量 常備:2,575トン
全長 84.73m
垂線間長 80.77m
最大幅 12.5m
吃水 4.72m
機関方式 形式不明石炭専焼円缶4基
+直立型三段膨張式三気筒レシプロ機関ギヤード・タービン2基2軸推進
出力 自然通風
前期型:4,000hp、後期型:4,500hp
強制通風:7,500hp
最大速力 自然通風
前期型:17.0ノット、後期型:17.5ノット
強制通風:19.0ノット
航続距離 10ノット/7,000海里
燃料 石炭:440トン
乗員 217名
兵装 アームストロング 12cm(40口径)連装速射砲8基
アームストロング 7.62cm(40口径)単装速射砲8基
オチキス 4.7cm(43口径)単装機砲4基
35.6cm水中魚雷発射管単装4門
装甲 甲板:25mm(平坦部)、51mm(傾斜部)
主砲:51mm(前盾・側盾・天蓋)
司令塔:76mm(最厚部)
テンプレートを表示

パラス級防護巡洋艦 (Pallas class protected cruiser) は、イギリス海軍防護巡洋艦。9隻が建造された。パール級(Pearl class)とも呼ばれる。

概要[編集]

本級は、イギリス海軍により、自国のシーレーン保護と植民地警備を主任務とする三等巡洋艦として、1887年度海軍計画において5隻、1889年度計画において4隻が設計・建造されたクラスである。設計は「ミディア級」をタイプシップとし、小形化された。主な変更点は主砲を12cm速射砲で統一し、強制通風型のボイラーを採用して出力と速力をアップしたことだったが、強制通風を使用するとボイラーの消費が激しくて出力性能が落ちるのが早かった。なお、艦名の頭文字をPで統一したが、前期型5隻はオーストラリア艦隊en:Australia Station)で使用するために艦名をオーストラリアの地名に改名して就役した。

艦形[編集]

本級の武装・装甲配置を示した図。

船体は平甲板型船体である。艦首水面下に衝角(ラム)が付いている。艦首甲板はタートルバック型になっている。

上部構造物は、前部主砲の後方に置かれた司令塔の上に、両脇に船橋を持つ操舵艦橋と単脚式の前部マストが立つ。船体中央部に2本煙突が立ち、その周囲は煙管型の通風筒が立ち並んでいる。さらに外周は艦載艇置き場となっており、2本1組のボート・ダビッドが片舷2組ずつ計4組で運用された。2番煙突の後方に後部マストと後部艦橋が立っている。

武装配置は、主砲の「12cm(40口径)速射砲」(4.7ポンド砲)は全て防盾付の単装砲架で、艦首甲板の波切り板上にを並列で2基、舷側甲板上に片舷2基ずつ、後部甲板上に並列で2基を搭載した。舷側主砲はスポンソン(張り出し)の上に設置されており、首尾線方向への攻撃が可能だった。副武装としては7.62cm速射砲(3ポンド砲)を、舷側甲板上に片舷2基ずつ、艦首と艦尾の舷側に片舷1基ずつの計8基を搭載した。この武装配置により艦首尾方向に最大で12cm砲4門・7.62cm砲2門、舷側方向に最大で12cm砲4門・7.62cm砲4門が指向できた。

同型艦[編集]

艦名 改名前 就役 その後
ミルデューラ
(Mildura)
ピローラス
(Pelorus)
前期型 1891年
3月18日
カトゥーンバ
(Katoomba)
パンドーラ
(Pandora)
1891年
3月24日
リンガルーマ
(Ringarooma)
サイキ
(Psyche)
1891年
2月3日
タウランガ
(Tauranga)
フィーニクス
(Phoenix)
1891年
11月27日
ワラルー
(Wallaroo)
パーシアン
(Persian)
1891年
3月31日
パラス
(Pallas)
後期型 1891年
6月30日
パール
(Pearl)
1892年
9月21日
フィービ
(Phoebe)
1892年
12月1日
フィラメル
(Philomel)
1891年
11月10日
後にニュージーランド海軍に移管。

関連項目[編集]

参考図書[編集]

  • 世界の艦船 1996年11月増刊 イギリス巡洋艦史」(海人社
  • 「Conway All The World's Fightingships 1860-1905」(Conway)
  • 「Conway All The World's Fightingships 1906–1921」(Conway)

外部リンク[編集]