バーチ・ディ・ダーマ

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バーチ・ディ・ダーマ
ヘーゼルナッツのクッキー生地とチョコレートクリームのバーチ・ディ・ダーマ
種類 クッキー
発祥地 イタリアの旗 イタリア
地域 ピエモンテ州トリノ
主な材料 小麦粉ヘーゼルナッツ砂糖バターチョコレート
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バーチ・ディ・ダーマ (イタリア語: baci di dama) は、ピエモンテ州トリノ発祥のチョコレートクッキー生地でサンドしたイタリアの焼き菓子。「貴婦人のキス」を意味し、クッキー生地をになぞらえ名付けられている[1][2]

歴史[編集]

チョコレート生地のバーチ・ディ・ダーマ
バーチ・ディ・ダーマの調理風景

バーチ・ディ・ダーマは19世紀トリノ発祥であり、当時はアーモンドよりも安価であり、ピエモンテ州の特産品であったヘーゼルナッツを用いて作られていた[3]。1800年代の終わりに、ステファノ・ベルチェッシがアーモンドを用いてレシピを改良し、これはバーチ・ドラーティ (イタリア語: baci dorati、「金色のキス」) と呼ばれた[3]1906年にはミラノ万国博覧会で披露され、金賞を受賞している[4]

種類[編集]

現代では、バーチ・ディ・ダーマには様々なバリエーションが存在する。よく知られているものとしてはアラッシオ版のバーチ・ディ・アラッシオ (イタリア語: baci di Allasio) が挙げられ、クッキー生地にチョコレートと蜂蜜を混ぜたものである。バーチ・ディ・アラッシオは、考案者のパスクアーレ・バルツォラにより1919年に特許が取得されている[5]。今日においても、パスクアーレと、その息子であるリナルド (1932年-1938年ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世の専属パティシエ) のレシピは広く用いられている。

他にも、チョコレートクリームを使ったトリノのウンベルティーニ (イタリア語: umbertini) や[6]リンゴラズベリージャムを用いたベーネ・ヴァジエンナ版のベイズィン・ディ・マダマ・ラッキア (イタリア語: basin di Madama Racchia)[7]ラメーツィア・テルメ版のチョコレートコーティングを施したものなどがある[8]

起源に関する説[編集]

バーチ・ディ・ダーマの起源には様々な説が存在し、一説では、 ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世が新しいデザートを要求した際に、サヴォイア家の料理人が1852年の秋に考案し[4]、この時期からイタリアヨーロッパの王族に嗜まれ始めたとされる。

別の説では、パティシエのアウグスト・マネリにより、ノーヴィ・リーグレ地方で考案され、その後トリノに入ったとも言われている[9]

脚注[編集]

  1. ^ Baci di dama”. cibo360.it. 2017年7月6日閲覧。
  2. ^ Rosalba Gioffrè (2005). Giunti Editore. ed. Cioccolato. Nuove armonie. pp. 82. ISBN 88-09-04283-2. https://books.google.it/books?id=ecmYQbB8hOoC&pg=PA82 
  3. ^ a b Baci dorati”. pasticceriavercesitortona.it. 2017年7月6日閲覧。
  4. ^ a b I Baci di Dama”. AlessandriaNews. 2017年7月6日閲覧。
  5. ^ Balzola : Il brevetto”. balzola1902.com. 2017年7月6日閲覧。
  6. ^ Il pasticcino squisitamente piemontese che tanto piaceva a re Umberto I”. 2021年12月27日閲覧。
  7. ^ Baci di dama, i dolci nati a Tortona che hanno conquistato il palato degli italiani”. 2021年12月27日閲覧。
  8. ^ Giulia Cosenza (2019年1月14日). “Baci di dama alla calabrese, una specialità della pasticceria lametina” (イタリア語). Il calice di Ebe. 2021年1月13日閲覧。
  9. ^ Libro del 1933 assegna la paternità dei baci di dama a Novi Ligure”. lastampa.it (2012年12月21日). 2020年1月9日閲覧。