ナカガワニシン

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ナカガワニシン
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: クロッソグナスス目 Crossognathiformes
: クロッソグナスス科 Crossognathidae
: アプソペリックス属 Apsopelix
: ナカガワニシン A. miyazakii
学名
Apsopelix miyazakii Yabumoto, Hikida & Nishino, 2012[1]
和名
ナカガワニシン[2]

ナカガワニシン学名Apsopelix miyazakii)は、白亜紀に生息したクロッソグナスス科に分類される海水魚[2][3]

概要[編集]

クロッソグナスス科にはCrossognathus属とApsopelix属の二つがあり、形質(Apsopelix属とは5つの形質、Crossognathus属とは3つの形質を共有)と年代から、Apsopelix属に属するものと考えられている[2]

ナカガワニシンの化石は北海道で発見されている。Apsopelix属の魚類は北アメリカやヨーロッパのA. anglicusが知られているが、前頭骨後部の突出部が前頭骨後端から少し離れていること、左の外肩甲骨(extrascapula)が右のそれを正中線上で覆っていること、頭頂骨は長さが幅より短いこと、下顎の関節が眼窩の中央より後ろにあることなど異なる特徴を有する[2]

化石[編集]

本種の化石はアプソペリックス属魚類化石として東アジアで初めて発見された[3]。化石は2例知られている[4]

中川町エコミュージアムセンター
2004年の地質調査で北海道中川郡 (天塩国)中川町の天塩川の支流で宮崎明朗が発見[5]。発見者にちなみアプソペリックス・ミヤザキイ(Apsopelix miyazakii)と命名された[5]。中川町が所有しており中川町エコミュージアムセンターに保管されている[3]。2020年(令和2年)5月19日に北海道天然記念物(地質鉱物)に指定[3]
東京大学総合研究博物館
1955年に北海道空知郡三笠町奔別川沿い(現・三笠市)で松本達郎が発見[4]東京大学総合研究博物館の収蔵庫に保管されていたが、発掘後に収蔵庫で埋もれて正体不明の化石となっており、2012年からの再調査で松本が1965年に発表した論文とラベル番号が一致し、ナカガワニシンの化石であることが判明した[4][6]

出典[編集]

  1. ^ Yoshitaka Yabumoto, Yoshinori Hikida, and Takanobu Nishino, “Apsopelix miyazakii, a New Species of Crossognathid Fish (Teleostei) from the Upper Cretaceous of Hokkaido, Japan,” Palentological Research, Volume 16, No. 1, Palaeontological Society of Japan, 2012, Pages 37-46.
  2. ^ a b c d 籔本美孝「日本の中生代・新生代硬骨魚類化石――日本の博物館所蔵の主な魚類化石と研究の可能性について――」『化石』第105巻、日本古生物学会、2019年、21-32頁。 
  3. ^ a b c d 北海道教育委員会公報第6242号”. 北海道教育委員会. 2022年8月18日閲覧。
  4. ^ a b c 発掘から67年、正体不明の化石は9千万年前の魚だった。発見の突破口は1枚の紙片 各地の博物館に埋もれる大量の標本、まだ見ぬ「宝物」も”. 共同通信. 2022年8月18日閲覧。
  5. ^ a b ナカガワニシン”. 中川町エコミュージアムセンター. 2022年8月18日閲覧。
  6. ^ Shinya Miyata, Yoshitaka Yabumoto, Yasuhisa Nakajima, Yasuhiro Ito, and Takenori Sasaki, “A Second Specimen of the Crossognathiform Fish Apsopelix miyazakii from the Cretaceous Yezo Group of Mikasa Area, Central Hokkaido, Japan,” Paleontological Research, Volume 26, No. 2, Palaeontological Society of Japan, 2022, Pages 213-223.