ドイトンコーヒー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
公式ロゴ

ドイトンコーヒー(タイ語:กาแฟดอยตุง)は、タイ王国北部のメーファールワン郡ドーイトゥン英語版産のコーヒー。豊かな香りとほのかな苦味を有する[1][2]

概要[編集]

ドイトンは東南アジアミャンマー、タイ、ラオスベトナムが含まれる黄金の三角地帯内に位置し、ケシ等の麻薬栽培が盛んな地域で、麻薬中毒や武器の密輸、人身売買が横行していた[2]。1988年、荒廃した地域を再生すべく、ラーマ8世ラーマ9世の母シーナカリン王太后(メーファールワン)が設立したメーファールワン財団英語版が「ドイトン計画」を立ち上げ、ケシ畑をコーヒー農園やマカダミア農園に転作する支援を開始した[3]。プロジェクトは順調に推移し、ケシ栽培の99.9%を撲滅するに至った[3]

プロジェクトは安定した販路の確保という目的で喫茶店「ドイトンコーヒーショップ」を立ち上げ、タイ国内に25店舗を構える[4]

日本での展開[編集]

日本では「カルディコーヒーファーム」を展開するキャメル珈琲が、タイへの進出を契機に社会貢献活動の一環として2009年プロジェクトに参画した[5]。生産活動の支援や、産物であるコーヒー豆の輸入・販売を行っており、プロジェクトにとっても貴重な安定売先となっている。

長らく寒候期の「季節のコーヒー」として焙煎豆またはこれを挽いた粉、1杯飲み切り用のドリップパックを限定で扱っていたが、2022年以降は暖候期でも“マイボトル”用棒状水出しドリップパックや缶入りカフェラテの取扱いを始め、通年で販売できる体制を整えるようになった[6]

キャメル珈琲が日本での販路を整えたこともあって、それ以前からメーファールワン財団と協力関係にあった茨城県結城市社会医療法人・達生堂グループに属する財団法人、日本国際親善厚生財団(現:公益財団法人茨城国際親善厚生財団)が、同グループ内の城西病院に2012年7月14日「ドイトンコーヒーショップ」の日本1号店を開店させた[2][7]。財団ではJR東日本結城駅前の「結城市民情報センター」にも日本2号店を展開している。

参考文献[編集]

  • 読売新聞社、2012、「コーヒー飲んで麻薬撲滅」『読売新聞』2012年7月4日。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 金森定博、2012、「麻薬撲滅支えるコーヒー店」『朝日新聞』2012年7月13日。
  2. ^ a b c 松田拓朗、2012、「麻薬撲滅へ 希望の一杯」『茨城新聞』2012年7月13日。
  3. ^ a b 宮本寛治、2012、「麻薬撲滅支援コーヒー店」『毎日新聞』2012年7月18日。
  4. ^ 原田拓哉、2012、「麻薬撲滅この一杯が支えに」『東京新聞』2012年7月14日。
  5. ^ 取り組み”. キャメル珈琲グループ. 2023年9月30日閲覧。
  6. ^ カルディコーヒーファーム通販サイトのドイトンコーヒー特集”. キャメル珈琲グループ. 2023年9月30日閲覧。
  7. ^ The Post Publishing、2012、「THE WEEK AHEAD - TUESDAY」『Bangkok Post』2012年7月15日。