セレナード変ホ長調 (サン=サーンス)

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セレナードフランス語: Sérénade変ホ長調 作品15 は、カミーユ・サン=サーンスが1865年にピアノオルガンヴァイオリンヴィオラ(またはチェロ)のために作曲した室内楽曲。本作はサン=サーンスが室内楽のためにオルガン(またはハーモニウム)を用いた最初期の曲で、これ以前にはハーモニウムとピアノのための6つの二重奏曲 作品8があるのみである[1]。この作品には原曲の他に管弦楽版、ピアノ独奏版、ピアノ4手版、そしてオルガンパートをチェロが受け持つピアノ四重奏版が作られている[2][3]

概要[編集]

サン=サーンスが本作の作曲に着手したのは1865年のことで、同年5月に完成、出版されてマチルド・ボナパルトへ献呈された。彼女は1860年にサン=サーンスが従軍すると間もなく、彼の兵役を免除する取り計らいをしていた[2][4]。初演は翌1866年1月7日のことで、ホーエンツォレルン家の夜会の場であった。このときにはオルガンを作曲者自身、ジュリアン・ソーゼーがピアノを受け持った[4]。本作は同年中にあと2回演奏されていて、3度目の演奏にはエクトル・ベルリオーズシャルル・グノーフランツ・リストが訪れた[2]

楽曲構成[編集]

アレグレットトランクィロクアジアンダンティーノの単一楽章で構成される[2]。演奏時間は約6-7分。


\relative c'' { \set Score.tempoHideNote = ##t \tempo "Allegretto tranquillo, quasi andantino." 4=70 \key es \major \time 6/8
 R2. r4 r8 r4 bes8_\markup { \dynamic mf \italic { legato cantabile } }
 es4 g8 bes4 aes8 \acciaccatura bes aes_-( g4~ g8 f g
 bes4 f8 aes4 g8 \acciaccatura g f_-( es4~ es4.~ es8
}

出典[編集]

  1. ^ (Smith 1992, p. 62)
  2. ^ a b c d (Smith 1992, p. 309)
  3. ^ (Payne 1964, p. 446)
  4. ^ a b (Smith 1992, p. 81)

参考文献[編集]

  • Payne, Donald Ian (1964). The major chamber works of Camille Saint-Saëns (D.M.A.). University of Rochester. hdl:1802/27360
  • Smith, Rollin (1992). Saint-Saëns and the Organ. Pendragon Press. ISBN 978-0-945193-14-2. https://books.google.com/books?id=9rZzGPqNcXcC 

外部リンク[編集]