コンプリシティ/優しい共犯

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コンプリシティ/優しい共犯
COMPLICITY
監督 近浦啓
脚本 近浦啓
出演者 藤竜也
ルー・ユーライ
赤坂沙世
松本紀保
主題歌 我只在乎ニィ「時の流れに身をまかせ
撮影 山崎裕
製作会社 CREATPS / Mystigri Pictures
配給 クロックワークス
公開 2020年1月17日
上映時間 116分
製作国 日本の旗 日本 中華人民共和国の旗 中国
言語 日本語中国語
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コンプリシティ/優しい共犯(こんぷりしてぃ やさしいきょうはん)は、2020年1月17日公開の日中合作映画である。

概要[編集]

短編「SIGNATURE」が第70回ロカルノ国際映画祭などで高い評価[1]を受けた近浦啓監督の長編デビュー作。

中国人青年チェン・リャンは技能実習生として日本にやって来た。中国の家族たちの期待を背負って来日したものの、劣悪な職場環境から逃げ出してしまい、チェン・リャンは不法滞在者となってしまう。そんな彼は他人になりすまし、そば屋で働き口を見つける。そば屋の主人・弘は良好でない息子との関係もあり、心に孤独を抱えていた。口数が少なく不器用で、厳しくも温かい弘の人柄に父を重ねるチェン・リャン。彼の嘘に気づくことなく、次第に情を深めていく弘。2人はまるで親子のような関係を築いていくが、チェン・リャンに警察の手が迫っていた。チェン・リャン役を「孔雀 我が家の風景」の中国人俳優ルー・ユーライ、弘役を藤竜也がそれぞれ演じる。

2018年・第19回東京フィルメックスのコンペティション部門で観客賞を受賞。[2]

あらすじ[編集]

中国から技能実習生として来日したチェン・リャンは、劣悪な環境の研修企業から逃げ出し、不法滞在の身となる。金と偽在留カード欲しさから窃盗団の仕事を手伝い、リュウ・ウェイという偽名で手に入れる。 地方の小さな蕎麦屋に住み込みの仕事が決まる。店主の井上弘が蕎麦を打ち、娘の香織と店員の小春が切り盛りしていて、チェンの仕事は店の補助と出前配達だった。 ある日、出前先で中国語を学ぶ画家の卵、葉月に出会い、北京留学を夢見ている彼女とは、中国という共通話題を通して親しくなる。チェンと葉月が街に出てデート中、チェンが財布を紛失し、彼が止めるのも聞かず葉月は交番に届け出るが、チェンは自分の身元がばれるのを恐れて逃げる。 そして葉月から北京留学が決まったと連絡が入る。一方、弘の教えでチェンは蕎麦打ちを始める。 葉月が北京に発つ日、駅に見送り「北京で待ってるね」と言われる。 ある日弘の元に、チェンのことで電話が入り、ファックスで登録証が送られてくる。弘に「君は誰だ?」と問われたチェンは、荷物を持って外に飛び出して泣くが、行く当てもなく店に戻ると、弘は何もなかったかのように迎えた。 店を休みにして弘はチェンに蕎麦打ちを指導し、二人の仲は一層深まる。弘は幼い頃に北京で撮った写真をチェンに見せ、チェンから北京で一緒に蕎麦屋をやろうと言われて喜ぶ。 ある日、警察署からチェンに、財布が見つかったので来るよう連絡が入り、程なくして店に刑事が現れる。弘は、チェンを配膳に生かせるから客席で待つよう刑事に話し、作業場で蕎麦を茹でるチェンに金を渡して、「これから先は自分で決めろ」と裏から逃がす。 チェンは自転車で近くの浜まで行き、そこで葉月から映画『君の名は』を観たというメールが入る。チェンは「僕の名はチェン・リャン」とメールを返した。

キャスト[編集]

  • チェン・リャン/リュウ・ウェイ:ルー・ユーライ
  • 井上弘:藤竜也
  • 中西葉月:赤坂沙世
  • 井上香織:松本紀保
  • 松村:塚原大助
  • 井上弘毅:浜谷康幸
  • 刑事:石田佳央
  • 小春:堺小春
  • 井上恭子:占部房子
  • グゥイ・シュン:バオ・リンユ
  • シュ・ヂェン:シェ・リ
  • ヨン・ジョン:ヨン・ジョン

スタッフ[編集]

  • 監督:近浦啓
  • 脚本:近浦啓
  • エグゼクティブプロデューサー:近浦啓・ルアン・ジンシン・ディン・ジェ
  • プロデューサー:フー・ウェイ
  • 共同プロデューサー:ナイ・アン
  • アソシエイトプロデューサー:三浦仁・堀池みほ
  • 撮影:山崎裕
  • 照明:山本浩資
  • 録音:弦巻裕・リ・ラン
  • 美術:部谷京子
  • 装飾:柳澤武
  • スタイリスト:宮本茉莉
  • ヘアメイク:酒井夢月
  • 音響効果:伊東晃
  • 編集:近浦啓
  • 主題歌:テレサ・テン
  • 助監督:熊野桂太
  • スクリプター:保坂栞
  • 制作担当:越智喜明
  • 製作:クレイテプス・Mystigri Pictures
  • 配給:クロックワークス

受賞・映画祭公式選出[編集]

  • 第43回 トロント国際映画祭・ディスカバリー部門 選出[3]
  • 第23回 釡山国際映画祭・アジアの窓部門 選出 [4]
  • 第69回 ベルリン国際映画祭・キュリナリーシネマ部門 選出[5]
  • 2019 グラスゴー映画祭 選出[6]
  • 第19回 東京フィルメックス 観客賞 受賞[7]
  • 第45回 日本カトリック映画賞 受賞[8]
  • 2020 アムステルダム アジア映画祭 若手批評家賞 受賞[9]

脚注[編集]

外部リンク[編集]