エレーナ・リバキナ

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エレーナ・リバキナ
Elena Rybakina
エレーナ・リバキナ(2019年)
基本情報
フルネーム Elena Andreyevna Rybakina
国籍 ロシアの旗 ロシア (2013–2018)
カザフスタンの旗 カザフスタン (2018–現在)
出身地 ロシア・モスクワ
生年月日 (1999-06-17) 1999年6月17日(24歳)
身長 184cm
利き手
バックハンド 両手打ち
ツアー経歴
デビュー年 2016年
ツアー通算 8勝
シングルス 8勝
ダブルス 0勝
生涯獲得賞金 13,449,410 アメリカ合衆国ドル
4大大会最高成績・シングルス
全豪 準優勝(2023)
全仏 ベスト8(2021)
全英 優勝(2022)
全米 3回戦(2021)
優勝回数 1(英1)
4大大会最高成績・ダブルス
全豪 3回戦(2023)
全仏 ベスト8(2021)
全英 1回戦(2021)
全米 1回戦(2019)
キャリア自己最高ランキング
シングルス 3位(2023年6月12日)
ダブルス 48位(2021年10月18日)
2024年4月21日現在

エレーナ・アンドレーエヴナ・リバキナElena Rybakina, : Еле́на Андре́евна Рыба́кина, 1999年6月17日 - )は、カザフスタンの女子テニス選手。ロシアモスクワ出身。2022年ウィンブルドン女子シングルス優勝者。これまでにWTAツアーでシングルス8勝を挙げている。WTAランキング最高位はシングルス3位。

来歴[編集]

幼少期、元々は体操とフィギュアスケートを習っていたが、背が高すぎて向いていなかったため、6歳でテニスを始める。テニスクラブでは、元トップ10選手のアンドレイ・チェスノコフら著名な引退アスリートに指導を受けたが、集団レッスンで、練習時間も1日3時間と短かった[1][2]

14歳の2013年にジュニアサーキットデビュー。2015年に全米オープンでジュニアグランドスラム初出場。2016年から結果が出始め、プロに転向。2017年に唯一となるグレードAタイトル獲得時には、イガ・シフィオンテクを破っている[2]。ジュニアでの最高順位は3位だった。

ジュニア時代の2014年からITFツアーに参加。ジュニア期間中に計5回決勝に進み、ダブルスで2回優勝している。また、2017年のクレムリン・カップでWTAツアー本戦デビューを果たした。2018年のサンクトペテルブルク・レディース・トロフィーで初勝利をあげた。同年6月、国籍をロシアからカザフスタンに変更。カザフスタンテニス連盟が財政的支援をしてくれることが決め手となった[3][4]。ただし、住居はモスクワのままとした。

4大大会では2019年全仏オープンで予選を勝ち上がり初出場した。同年7月のブカレスト大会でWTAツアー初の決勝に進出しパトリシア・マリア・ティグを6–2, 6–0で破りツアー初優勝を果たした[5]。これにより、トップ100入りを達成。また、江西省オープンで準優勝するなど、最終的に37位まで上昇するブレークスルーを見せた。

2020年は、年始の深圳オープンで準優勝になると、翌週のホバート国際では決勝で張帥を7–6(7), 6–3で破り、ツアー2勝目を挙げた。2020年全豪オープンでは3回戦まで進出。さらに、続くサンクトペテルブルク・レディース・トロフィードバイ・テニス選手権で準優勝。その後、COVID-19の世界的流行によりツアーは中断となったが、順位は17位まで上がり、トップ20入りした初のカザフスタン人選手となった[6]。ツアー再開後は勢いが落ちたが、ストラスブール国際で準優勝している。

2021年全仏オープンで単複ともにベスト8。BNPパリバ・オープンのダブルスではベロニカ・クデルメトバと出場し、ダブルス初の決勝進出を見せた。東京オリンピックではシングルスに出場し、ベスト4入り。しかし、準決勝でベリンダ・ベンチッチに、3位決定戦でエリナ・スビトリナに敗れ、メダル獲得はならなかった。

2022年ウィンブルドン選手権で優勝。順当にベスト8まで駒を進めると、準々決勝でアイラ・トムリャノビッチに逆転勝ちし、自身初のGSベスト4入り。シモナ・ハレプをストレートで破り決勝に進出すると、決勝ではオンス・ジャバーに3-6, 2-6, 2-6で勝利し、カザフスタン人選手初となる栄冠を手にした[7][8]。なお、この大会はウクライナ侵攻を受けてロシア人・ベラルーシ人選手を排除していたため、ロシア出身であるリバキナにはロシア関連の質問を繰り返し受けるはめになった[9]。また、本来であればこの結果により2位になるはずだったが、大会の国籍差別への制裁としてWTAポイントは付与されず、順位は上がらなかった[10]

2022年ウィンブルドン選手権で優勝トロフィーを掲げるリバキナ

2023年全豪オープン、4回戦で世界1位のイガ・シフィオンテクを、準決勝でビクトリア・アザレンカを破る強さを見せ2度目のGS決勝に到達した。決勝ではアリーナ・サバレンカ相手に第1セットを取るも、2時間28分の末に6-4, 3-6, 4-6で逆転負け[11]。それでも、大会後にはトップ10入りを果たした。

WTAツアー決勝進出結果[編集]

シングルス: 19回 (8勝11敗)[編集]

大会グレード
グランドスラム (1–1)
WTAファイナルズ (0–0)
WTA1000トーナメント (2–3)
WTAエリート・トロフィー (0–0)
WTA500トーナメント (3–3)
WTA250トーナメント (2–4)
結果 No. 決勝日 大会 サーフェス 対戦相手 スコア
優勝 1. 2019年7月21日 ルーマニアの旗 ブカレスト クレー ルーマニアの旗 パトリシア・マリア・ティグ 6-2, 6-0
準優勝 1. 2019年9月15日 中華人民共和国の旗 南昌 ハード スウェーデンの旗 レベッカ・ペテルソン 2-6, 0-6
準優勝 2. 2020年1月11日 中華人民共和国の旗 深圳 ハード ロシアの旗 エカテリーナ・アレクサンドロワ 2-6, 4-6
優勝 2. 2020年1月18日 オーストラリアの旗 ホバート ハード 中華人民共和国の旗 張帥 7-6(9-7), 6-3
準優勝 3. 2020年2月16日 ロシアの旗 サンクトペテルブルク ハード (室内) オランダの旗 キキ・ベルテンス 1-6, 3-6
準優勝 4. 2020年2月22日 アラブ首長国連邦の旗 ドバイ ハード ルーマニアの旗 シモナ・ハレプ 6-3, 3-6, 6-7(5-7)
準優勝 5. 2020年9月26日 フランスの旗 ストラスブール クレー ウクライナの旗 エリナ・スビトリナ 4-6, 6-1, 2-6
準優勝 6. 2022年1月9日 オーストラリアの旗 アデレード ハード オーストラリアの旗 アシュリー・バーティ 3-6, 2-6
優勝 3. 2022年7月9日 イギリスの旗 ウィンブルドン トルコの旗 オンス・ジャバー 3-6, 6-2, 6-2
準優勝 7. 2022年9月18日 スロベニアの旗 ポルトロス ハード チェコの旗 カテリナ・シニャコバ 7-6(7-4), 6-7(5-7), 4-6
準優勝 8. 2023年1月28日 オーストラリアの旗 全豪オープン ハード ベラルーシの旗 アリーナ・サバレンカ 6-4, 3-6, 4-6
優勝 4. 2023年3月19日 アメリカ合衆国の旗 インディアンウェルズ ハード ベラルーシの旗 アリーナ・サバレンカ 7-6(13-11), 6-4
準優勝 9. 2023年4月1日 アメリカ合衆国の旗 マイアミ ハード チェコの旗 ペトラ・クビトバ 6-7(14-16), 2-6
優勝 5. 2023年5月20日 イタリアの旗 ローマ クレー ウクライナの旗 アンヘリーナ・カリニーナ 6-4, 1-0 途中棄権
優勝 6. 2024年1月7日 オーストラリアの旗 ブリスベン ハード ベラルーシの旗 アリーナ・サバレンカ 6-0, 6-3
優勝 7. 2024年2月11日 アラブ首長国連邦の旗 アブダビ ハード ロシアの旗 ダリア・カサトキナ 6-1, 6-4
準優勝 10. 2024年2月17日 カタールの旗 ドーハ ハード ポーランドの旗 イガ・シフィオンテク 6-7(8-10), 2-6
準優勝 11. 2024年3月31日 アメリカ合衆国の旗 マイアミ ハード アメリカ合衆国の旗 ダニエル・コリンズ 5-7, 3-6
優勝 8. 2024年4月20日 ドイツの旗 シュトゥットガルト クレー (室内) ウクライナの旗 マルタ・コスチュク 6-2, 6-2

4大大会シングルス成績[編集]

略語の説明
 W   F  SF QF #R RR Q# LQ  A  Z# PO  G   S   B  NMS  P  NH

W=優勝, F=準優勝, SF=ベスト4, QF=ベスト8, #R=#回戦敗退, RR=ラウンドロビン敗退, Q#=予選#回戦敗退, LQ=予選敗退, A=大会不参加, Z#=デビスカップ/BJKカップ地域ゾーン, PO=デビスカップ/BJKカッププレーオフ, G=オリンピック金メダル, S=オリンピック銀メダル, B=オリンピック銅メダル, NMS=マスターズシリーズから降格, P=開催延期, NH=開催なし.

大会 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 通算成績
全豪オープン A LQ 3R 2R 2R F 2R 11–5
全仏オープン A 1R 2R QF 3R 3R 9–4
ウィンブルドン選手権 A LQ NH 4R W QF 14–2
全米オープン LQ 1R 2R 3R 1R 3R 4–5

脚注[編集]

  1. ^ Elena Rybakina Is Really Special”. UBITENNIS. 2023年1月29日閲覧。
  2. ^ a b Fagan: From Russia, With Topspin”. ESPN.com (2013年1月9日). 2023年1月29日閲覧。
  3. ^ ロ出身選手がウィンブルドン決勝王手 除外の母国勢には「同情」”. www.afpbb.com. 2023年1月29日閲覧。
  4. ^ Former Russian junior No. 3 changes her nationality to represent Kazakhstan”. Tennis World USA. 2023年1月29日閲覧。
  5. ^ “リバキナがツアー初優勝 ブカレストOP/テニス”. SANSPO.COM. (2019年7月22日). https://www.sanspo.com/sports/news/20190722/ten19072210310002-n1.html 
  6. ^ "Ее цель - стать первой в мире". Тренер казахстанки Рыбакиной рассказал о характере, семье и мотивации теннисистки” (ロシア語). Vesti.kz. 2023年1月29日閲覧。
  7. ^ 23歳リバキナがグランドスラム初制覇「信じられないほどうれしい。ここまで勝ち残れるとは思っていなかった」とスピーチ[ウィンブルドン]”. tennisclassic.jp. 2023年1月29日閲覧。
  8. ^ 【ウィンブルドン】ルバキナがカザフスタン選手として初4大大会制覇 ジャブール寄せ付けず”. nikkansports.com. 2023年1月29日閲覧。
  9. ^ ロシアテニス連盟、ウィンブルドン新女王はロシアで育成されたと主張”. WOWOWテニスワールド. 2023年1月29日閲覧。
  10. ^ リバキナ WB優勝も「残念」”. テニス365. 2023年1月29日閲覧。
  11. ^ ルバキナ、サバレンカの「プレッシャー」に苦戦 惜敗で全豪Vならず”. www.afpbb.com. 2023年1月30日閲覧。

外部リンク[編集]