イチイガシ
イチイガシ | ||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
イチイガシ
| ||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||
学名 | ||||||||||||||||||||||||
Quercus gilva Blume (1850)[1] | ||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
イチイガシ(一位樫) |
イチイガシ(一位樫[3]、学名: Quercus gilva)はブナ科コナラ属アカガシ亜属の常緑高木。山地に生える。中国名は、赤皮[1]。
分布と生育環境[編集]
日本では本州(関東地方南部以西の太平洋側)・四国・九州に分布し[3]、日本国外では済州島・台湾・中国に分布する。神社に植栽されることが多く、特に奈良公園で多く見られる。
形態・生態[編集]
常緑広葉樹の高木で、大きいものは高さ30メートル (m) に達する。樹皮が剥がれ落ちる特徴がある[4]。樹皮は暗灰色で、鱗片状に不規則に剥がれる[3]。一年枝は淡褐色で、毛が密生し縦の溝がある[3]。
葉は倒披針形で葉先が尖り、葉縁は半ばから先端にかけて鋸歯になっている[4][3]。葉はやや硬く、若いうちはその表面に細かい毛を密生、後に無毛となり深緑になる。また、裏面は一面に黄褐色の星状毛を密布する[3]。
花期は4 - 5月[3]。雌雄同株。果実は堅果(どんぐり)で、その年の秋に熟す[3]。
冬芽は長楕円形で褐色の鱗芽で、互生する葉のつけ根と枝先につき、多数の芽鱗に包まれている[3]。葉痕は半円形で、維管束痕は不明瞭[3]。
利用[編集]
カシ類では例外的に果実をあく抜きせずに食べることができる。そのため、縄文時代から食用とされ、東名遺跡の貯蔵穴からのイチイガシの発掘例がある。また木材は、建築材、器具材として使われる。和歌山県ではごく限られた地点に点在するのみであるが、遺跡からは木材がよく出土することから、かつてはもっと広く分布していたものと考えられ、人為的な利用によって減少したと見られる[要出典]。
天然記念物[編集]
国指定
都道府県指定
- 宮崎県 : 綾のイチイガシ - 宮崎県東諸県郡綾町
- 福岡県 : 木井神社のイチイガシ - 福岡県京都郡みやこ町犀川木井馬場1313番地 木井神社境内
- 山口県 : 神功皇后神社のイチイガシ - 山口県美祢市西厚保町本郷字本郷203 神功皇后神社境内
- 熊本県 : 菅原神社のイチイガシ - 熊本県熊本市植木町宮原 菅原神社境内
- 山口県 : 滝部八幡宮のイチイガシ - 山口県下関市豊北町大字滝部3157番地 滝部八幡宮境内
- 愛媛県 : 三嶋神社のイチイガシ - 愛媛県大洲市肱川町宇和川2911三嶋神社境内
- 大分県 : 山蔵のイチイガシ - 大分県宇佐市安心院町佐田
市町村指定
- 岡崎市 : 才栗のイチイガシ - 愛知県岡崎市才栗町上屋敷66 白髪神社境内
- 奈良市 :春日大社境内のイチイガシ巨樹群 - 奈良県奈良市春日野町160
- 京都市 : 鹿苑寺(金閣寺)のイチイガシ - 京都府京都市北区金閣寺町1
- 太宰府市 : 地禄神社のイチイガシ - 福岡県太宰府市大佐野3丁目213 地禄神社境内
- 広島市 : 新宮神社のイチイガシ及びイヌマキ - 広島県広島市安佐南区長楽寺三丁目1-70 新宮神社境内
- 鳩山町 : 八幡神社のイチイガシ - 埼玉県比企郡鳩山町 八幡神社境内
- 朝倉市 : 妙見の大イチイガシ - 福岡県朝倉市上秋月 白木神社境内
出典[編集]
- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Quercus gilva Blume イチイガシ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年3月28日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cyclobalanopsis gilva (Blume) Oerst. イチイガシ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年3月28日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 145
- ^ a b “春日山原始林ガイド”. 奈良県. 2021年3月1日閲覧。
参考文献[編集]
- 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、145頁。ISBN 978-4-416-61438-9。