アーロン・ノラ

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アーロン・ノラ
Aaron Nola
フィラデルフィア・フィリーズ #27
フィラデルフィア・フィリーズ時代
(2022年8月13日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 ルイジアナ州バトンルージュ
生年月日 (1993-06-04) 1993年6月4日(30歳)
身長
体重
6' 2" =約188 cm
200 lb =約90.7 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 投手
プロ入り 2014年 MLBドラフト1巡目
初出場 2015年7月21日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
国際大会
代表チーム アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国

アーロン・マイケル・ノラAaron Michael Nola, 1993年6月4日 - )は、アメリカ合衆国ルイジアナ州バトンルージュ出身のプロ野球選手投手)。右投右打。MLBのフィラデルフィア・フィリーズ所属。愛称は"ノルス"("Nols")。

兄のオースティン・ノラもメジャーリーガーである。

MLBタイ記録及びギネス世界記録である10者連続奪三振達成者[1]

経歴[編集]

プロ入り前[編集]

ルイジアナ州バトンルージュで会社経営者の家に末っ子として生まれた。父親は野球のコーチもしていた[2]。高校時代は1年生の頃から活躍し、3年生では7勝1敗、防御率1.00の素晴らしい成績を残している。また、ルイジアナ州の「ミスター・ベイスボール」に選出された。2011年MLBドラフト22巡目(全体679位)でトロント・ブルージェイズから指名されたが、契約せずにルイジアナ州立大学へ進学した。

大学時代は1年生時に89.2回を7勝4敗、防御率3.61、89奪三振の成績で全米大学体育協会の選抜チームや、大学野球アメリカ合衆国代表に選ばれた。2年生でも好成績を残し、NCBWAやベースボール・アメリカなどが選ぶ全米選抜に選出された[3]。3年生では116.1回を11勝1敗、防御率1.47、134奪三振、被打率.172の圧巻の投球で、全米最優秀投手賞を獲得[4]ゴールデンスパイク賞やディック・ハウザー・トロフィーにノミネートされた。また、この年は後に同じくMLB選手になるアレックス・ブレグマンとルームシェアをしていた[5]。大学時代の通算成績は30勝6敗、防御率2.09、345奪三振だった。

プロ入りとフィリーズ時代[編集]

2014年MLBドラフト1巡目(全体7位)でフィラデルフィア・フィリーズから指名され[6]、6月12日に契約。契約後、傘下のA+級クリアウォーター・スレッシャーズでプロデビュー。AA級レディング・ファイティン・フィルズでもプレーし、この年は2球団合計で12試合に登板して4勝3敗・防御率2.93の成績を残した。

2015年9月2日

2015年は開幕をAA級レディングで迎えた。6月14日にはAAA級リーハイバレー・アイアンピッグスへ昇格。マイナー2球団合計では18試合に登板して10勝4敗、防御率2.39の成績を残し、同年のオールスター・フューチャーズゲームにも選出された。そして7月21日にメジャー初昇格を果たし[7]、同日のタンパベイ・レイズ戦で先発してメジャー初登板。6回を1失点に抑えるも、打線の援護が無く敗戦投手となった(最終スコアは0 - 1)[8]。次の登板の7月26日のシカゴ・カブス戦でメジャー初勝利を挙げた[9]。この年メジャーでは13試合に登板し、6勝2敗、防御率3.59の成績を残した。

2016年は一定のレベルで先発ローテーションに入り、20試合に先発登板した。6勝9敗、防御率4.78、WHIP1.31という成績に終わったが、FIPは4.04から3.08に改善し、投球内容が良くなったとも言える。また、高い三振奪取能力を発揮し、111.0イニングで121奪三振を記録・奪三振率9.8という好数値を記録した。

2017年は序盤こそ良くなかったものの、その後は復調し、6月22日から8月12日の間は毎回6投球回以上、2失点以下の好投ぶりを見せた。最終成績は12勝11敗、防御率3.54で、奪三振率9.857、3.755奪三振/四球など指標面でも優秀な数字を残した。また、守備面では守備率1.000を記録。

2018年は自身初めて開幕投手を務めた。前半戦を12勝3敗、防御率2.30の好成績で折り返し、初めてオールスターゲームに選出された。後半戦も勢いは衰えず、最終的に33先発で212.1回(リーグ3位)を投げ、17勝6敗、防御率2.37(同2位)、WHIP0.97(同3位)、224奪三振を記録。ゴロ率(50.6%)と対左打者被打率(.187)はリーグ2位だった。サイ・ヤング賞投票で3位に入った。

2019年2月13日に球団と4年4500万ドルの契約延長で合意した[10]。5年目はクラブ側が選択権を持っている。シーズンでは2年連続2度目の開幕投手を務め、勝利した。

2020年は3年連続3度目の開幕投手を務めた。

2021年4月1日のブレーブスとの開幕戦で4年連続4度目の開幕投手を務めた[11]。6月25日にMLBタイ記録(史上3人目)の10者連続奪三振を達成し、ギネス世界記録に認定されている[1]

2022年10月19日、NLCSの対サンディエゴ・パドレス第2戦において、兄で捕手であるオースティン・ノラとの直接対決の機会が訪れた。過去のポストシーズンで兄弟が敵味方に分かれ対戦した試合は全て「野手同士」であったため、兄弟が「投手と野手」で直接対決するのはMLBのポストシーズン史上初となった(結果は2打数1安打、1打点、1得点)[12]。オフの11月16日、ナ・リーグのサイ・ヤング賞投票結果が発表され第4位に選出された[13][14]。12月5日にはセカンドチームの先発投手の1人として自身初となるオールMLBチームに選出された[15]

2023年オフの11月3日にフリーエージェント(FA)となった[16]。フィリーズからはクオリファイング・オファーを受けていたが、同月14日の期日までに契約は行わなかった[17]。同オフの11月19日に7年総額1億7200万ドルで契約合意し、フィリーズに残留することに至った。

選手としての特徴[編集]

平均90mph(約145km/h)・最速96.4mph[18](約155.1km/h)の速球ツーシームフォーシーム)を中心に、平均76.4mph(約123km/h)のカーブ、平均82.0mph(約132km/h)のチェンジアップを使用する。

球威こそ平均レベルだが、鋭い変化球と優れたコマンド力を有しており、投球術に対する評価が高い。投球フォームはやや独特な低めのスリークォーター[19]

詳細情報[編集]

年度別投手成績[編集]





















































W
H
I
P
2015 PHI 13 13 0 0 0 6 2 0 0 .750 318 77.2 74 11 19 1 2 68 0 0 31 31 3.59 1.20
2016 20 20 0 0 0 6 9 0 0 .400 483 111.0 116 10 29 3 6 121 2 0 68 59 4.78 1.31
2017 27 27 0 0 0 12 11 0 0 .522 693 168.0 154 18 49 2 2 184 1 0 67 66 3.54 1.21
2018 33 33 0 0 0 17 6 0 0 .739 831 212.1 149 17 58 3 7 224 4 1 57 56 2.37 0.97
2019 34 34 0 0 0 12 7 0 0 .632 852 202.1 176 27 80 3 11 229 3 0 91 87 3.87 1.27
2020 12 12 2 1 0 5 5 0 0 .500 289 71.1 54 9 23 2 2 96 1 0 31 26 3.28 1.08
2021 32 32 1 1 1 9 9 0 0 .500 749 180.2 165 26 39 1 9 223 0 1 95 93 4.63 1.13
2022 32 32 2 1 0 11 13 0 0 .458 807 205.0 168 19 29 1 9 235 2 0 75 74 3.25 0.96
2023 32 32 0 0 0 12 9 0 0 .571 793 193.2 178 32 45 0 1 202 2 0 105 96 4.46 1.15
MLB:9年 235 235 5 3 1 90 71 0 0 .559 5815 1422.0 1234 169 371 16 49 1582 15 2 620 588 3.72 1.13
  • 2023年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高

年度別守備成績[編集]



投手(P)












2015 PHI 13 5 10 0 0 1.000
2016 20 7 21 1 0 .966
2017 27 9 21 0 1 1.000
2018 33 9 26 1 3 .972
2019 34 9 27 0 3 1.000
2020 12 5 4 0 0 1.000
2021 32 16 8 2 0 .923
2022 32 9 14 2 0 .920
2023 32 11 16 1 2 .964
MLB 235 80 147 7 9 .970
  • 2023年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高

表彰[編集]

記録[編集]

MiLB
MLB

背番号[編集]

  • 27(2015年 - )

脚注[編集]

  1. ^ a b c Most consecutive strikeouts by a Major League Baseball pitcher” (英語). Guinness World Records. 2023年8月3日閲覧。
  2. ^ Montemurro, Meghan. “How to explain Aaron Nola's success? Start with a trip to...”. The Athletic. 2019年9月24日閲覧。
  3. ^ Aaron Nola Bio”. LSUsports.net. 2019年9月24日閲覧。
  4. ^ LSU's Aaron Nola is named the 2014 national Pitcher of the Year”. NOLA.com. 2019年9月24日閲覧。
  5. ^ Faucheux Has Unique Perspective On MLB All-Stars”. LSUsports.net. 2019年9月24日閲覧。
  6. ^ 2014 DRAFT TRACKER” (英語). MLB.com. 2023年8月3日閲覧。
  7. ^ Aaron Nola to make major-league debut Tuesday”. Philly.com (2015年7月17日). 2015年12月1日閲覧。
  8. ^ Nathan Karns 1st AL pitcher since 2011 to hit HR as Rays blank Phillies
  9. ^ Nola follows Hamels with first career victory: Rookie tosses 7 2/3 sharp innings a day after Phillies' ace's no-hitter”. phillies.com: News. MLB Advanced Media (2015年7月26日). 2015年12月1日閲覧。
  10. ^ フィリーズ、ノラと4年総額50億円で契約延長へ 昨季17勝のエース右腕”. Full-count. 2019年9月24日閲覧。
  11. ^ Todd Zolecki (2021年4月2日). “Revamped bullpen keys Phillies' walk-off win” (英語). MLB.com. 2021年4月11日閲覧。
  12. ^ Nola brothers to make MLB history in Game 2 of NLCS” (英語). ESPN.com. 2022年12月9日閲覧。
  13. ^ 全米野球記者協会(BBWAA)から2位票が5、3位票が6、4位票が4、5位票が2の計48ポイントを獲得。
  14. ^ Marlins’ Sandy Alcantara rolls to unanimous victory in Cy Young race” (英語). BBWAA – Baseball Writers' Association of America (2022年11月16日). 2022年11月17日閲覧。
  15. ^ Paul Casella (2022年12月5日). “Here is the star-studded 2022 All-MLB Team” (英語). MLB.com. 2022年12月6日閲覧。
  16. ^ 130 Players Become XX(B) Free Agents” (英語). Home (2023年11月3日). 2023年11月10日閲覧。
  17. ^ Seven Players Decline Qualifying Offer” (英語). Home (2023年11月14日). 2023年11月16日閲覧。
  18. ^ 2018年 レッドソックス戦で計測
  19. ^ 「プロスペクト名鑑100」『月刊スラッガー』2015年5月号 日本スポーツ企画出版社 55頁
  20. ^ All-MLB Team” (英語). MLB.com. 2022年12月7日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]