アルテュール・グー

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Arthur Good
アルテュール・グー
撮影者、年代不明
生誕 1853年8月16日[1]または26日
フランスの旗 フランス帝国
モンテヴィリエ
死没 (1928-03-30) 1928年3月30日(74歳没)
フランスの旗 フランス共和国
市民権 フランスの旗 フランス
国籍 フランスの旗 フランス
研究分野 工学
出身校 エコール・サントラル・パリ
主な業績 著書『楽しい科学』『紙のおもちゃ』
影響を
与えた人物
マックス・エルンスト
ジョゼフ・コーネル
署名
プロジェクト:人物伝
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ルイ・ポイエによる肖像画(1913年)

アルテュール・グー (Arthur Good1853年8月16日または8月26日 - 1928年3月30日)はフランス工学者サイエンスライターイラストレーター。19世紀末から『イリュストラシオン』にDIY通俗科学コラムを発表した。

彼が描いた科学装置のイラストは、のちにシュルレアリスムコラージュ作品としても受け入れられ、マックス・エルンスト[2]ジョゼフ・コーネル[3]などの芸術家にも影響を与えた[4]

人物[編集]

グーはセーヌ=マリティーム県モンテヴィリエフランス語版プロテスタントの牧師 ギュスターヴ・フレデリック・グー(Gustave Frédéric Good、1823–1896) と母 ルイーズ・ステファニー・モノー (Louise Stéphanie Monod、1827–1909)との間に生まれた。 グーはパリのエコール・サントラル・パリ工学を学んだ。彼は1881年に結婚し、4人の子供を授かった[1]

楽しい科学[編集]

『楽しい科学』第1巻

グーはトム・ティ(TOM TIT)というペンネームで新聞の『イリュストラシオン』に「ラ・スィヤーンス・アミュゾント」(La Science amusante、楽しい科学) と題する通俗科学のコラムを週間連載した[4]。グーはここで一般家庭を愉しませることを目的とした簡単なゲームから高度な科学実験まで、さまざまな物理的な実験を紹介した[5]。その中には磁性表面張力[6]を含む、さまざまな物理的、科学的原理が採り入れられている[4]

グーは、La Récréation En Famille などの著書で科学の教育が家族全員にとって共栄であり娯楽となりうることを主張した。彼はこの記事をひとりの子供に捧げ、「今日、この本を捧げるにあたって、わたしたちが一緒に実験を試みたり、装置を組み立てたりして過ごした幸せなひとときを皆さんへのおみやげにしたいと思います。」と書いた[5]

グーは、瓶、卵、コルク、ロウソク、石鹸などの身の周りのものを使用して、「シャボン玉のシャンデリア」のような即席の科学装置を作成した[4]。彼が作る作品には想像力に富んだ魅力があり、シュルレアリスムのコラージュ作品と比較されることもある[4]。これらのイラストはサイエンティフィック・イラストレーターのルイ・ポイエとその助手たちによって精細に描かれたものである[4][7]

「ラ・スィヤーンス・アミュゾント」のコラムは3巻シリーズの書籍にまとめられ、1889年から順次出版された。各巻にはそれぞれ100種類の実験が含まれており[5]、130もの版を重ね[6]、英語、イタリア語、スペイン語版も出版された[4]。今日、グーの著書はキッチン・サイエンスの紹介や子供向けの実践的な実験など、科学教育の現代的な実践方法の基礎を築いたと考えられている[8]

その他の出版物[編集]

『紙のおもちゃ』

グーは Pour Amuser Les Petits ou les joujoux qu’on peut faire soi-même (小さな子供たちを愉しませるための、または自分で作る小さなおもちゃ)、La Récréation En Famille (家族のリクレーション)、Les Bons Jeudis (楽しい木曜日[注 1]) 、Joujoux en Papier (紙のおもちゃ)[4]などの著書でDIYの愉しみを説き、1885年から1888年にかけては新発明を特集する定期刊行物 Le Chercheur の編集者を務め、科学雑誌ラ・ナテュールフランス語版[10]にも寄稿した。

グーは科学教育の出版物のほか、1913年に著名な英国人のカリカチュアを出版した[11]。彼は全米国家親善開発協会 (Société nationale d'encouragement au bien) からメダルを授与された[12]

シュルレアリスム[編集]

1920年代から1930年代にかけて、マックス・エルンストジョゼフ・コーネルなどのシュルレアリスムの芸術家たちは、グーのイラストに触発され、自分たちの作品に採り入れている。

著書リスト[編集]

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ フランスでは木曜日が学校休暇である[9]

出典[編集]

  1. ^ a b Arthur Good”. Geneanet. 2016年11月8日閲覧。
  2. ^ Colombino, Laura (2008). Ford Madox Ford : vision, visuality and writing. Bern: Peter Lang. pp. 138–139. ISBN 978-3-03911-396-5. https://books.google.com/books?id=Vm1iq3h1a7QC&pg=PA138 
  3. ^ Edwards, Jason; Taylor, Stephanie L. (2007). Joseph Cornell : opening the box. Oxford: Lang. p. 169. ISBN 978-3-03911-058-2. https://books.google.com/books?id=beSQjePY4CAC&pg=PA169 2016年11月8日閲覧。 
  4. ^ a b c d e f g h The Collaged World of Tom Tit”. RetroCollage. 2012年12月11日閲覧。
  5. ^ a b c Lachapelle, Sofie (2015). Conjuring Science: A History of Scientific Entertainment and Stage Magic in Modern France. Springer. ISBN 978-1-137-49768-0. https://books.google.com/books?id=HB7eCgAAQBAJ&pg=PT62 2016年11月8日閲覧。 
  6. ^ a b Elder, R. Bruce (2013). Dada, surrealism, and the cinematic effect. Waterloo, Ont.: Wilfrid Laurier University Press. pp. 494–495. ISBN 978-1-55458-625-7. https://books.google.com/books?id=mhXaAgAAQBAJ&pg=PA494 2016年11月8日閲覧。 
  7. ^ Le graveur du dimanche * Louis Poyet”. Gone Fishing (2010年4月18日). 2016年11月8日閲覧。
  8. ^ Buxton, Cory A.; Provenzo, Jr., Eugene F. (2007). Teaching Science in Elementary and Middle School: A Cognitive and Cultural Approach. Sage. p. 44. ISBN 978-1-4129-2497-9. OCLC 72353389. https://books.google.com/books?id=3aqDhzUdLS4C&pg=PA44 
  9. ^ “France: Weird about Wednesday”. The Economist. (2013年9月21日). https://www.economist.com/news/europe/21586572-state-primary-schools-are-abandoning-their-four-day-week-weird-about-wednesday 
  10. ^ Chemineau, Manuel (2012). Fortunes de "La Nature" 1873–1914. Wien: Lit. p. 123. ISBN 978-3-643-50426-5. https://books.google.com/books?id=EzLsnv5TmkwC&pg=PA123 2016年11月8日閲覧。 
  11. ^ Good, Arthur (1913). Caricatures. London: The New Age Press, Limited. https://archive.org/stream/caricaturesbytom00gooduoft#page/n15/mode/2up 2016年11月8日閲覧。 
  12. ^ Livre La science amusante (première série) : 100 expériences”. Gallica. 2016年11月8日閲覧。
  13. ^ Série Expériences Kréma
  14. ^ Série Ombromanie Kréma

外部リンク[編集]