アナザー・カントリー

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Another Country
脚本ジュリアン・ミッチェル英語版
登場人物Guy Bennett
Tommy Judd
Barclay
Delahay
Donald Devenish
Fowler
James Harcourt
初演日1981年11月5日
初演場所Greenwich Theatre
London, England
オリジナル言語英語
ジャンルDrama
舞台設定an English public school in the early 1930s
アナザー・カントリー
Another Country
イギリスの旗 イギリス
ポータル 文学 ポータル 舞台芸術
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アナザー・カントリー』(Another Country[注釈 1]は、1981年初演のジュリアン・ミッチェル英語版舞台劇およびそれを原作とする1984年イギリスのドラマ映画。

1930年代イングランドの全寮制のパブリックスクールを舞台に、同性愛共産主義に傾倒していくエリート学生たちを描いている。主人公ガイ・ベネットは、実在のスパイ「ケンブリッジ・ファイヴ」のメンバーの1人だったガイ・バージェス英語版をモデルにしている[1]

ストーリー[編集]

1983年モスクワアメリカジャーナリストがガイ・ベネットの自宅に訪れ、祖国イギリスを裏切り、スパイになり、ロシアに亡命した理由についてインタビューする。ガイはパブリックスクールの頃の話を語り始める。

1932年、夏。第一次世界大戦で戦死した卒業生を讃えるミサで、ガイは美少年ハーコートに一目惚れする。自由主義者のガイは最終学年が始まれば自治会エリート「ゴッド」に選ばれるはずであり、ゆくゆくは外交官となってパリ駐在大使になるという輝かしい未来が約束されていた。ガイにはトミーという共産主義者の親友がおり、厳格な規則の下で寮生活を共にしていた。

ある日、同寮の学生が同性愛の現場を舎監に目撃され、自殺するという事件が起きる。寮の責任者バークレイは自責の念にかられるが、デラヘイは特権を活かして尊大に振る舞う。やがてガイが同性と恋仲にあることも白日の下に晒され、メンジーズはガイの性的指向を理由に「ゴッド」への指名を拒否、明るかったはずのガイの未来は閉ざされる。絶望の淵に追い込まれたガイはトミーの思想に感化され、特権社会の打破のために二重スパイの道を選ぶ。トミーは後にスペイン内戦の志願兵となって戦死する。

舞台[編集]

初演[編集]

1981年11月5日ロンドングリニッジ劇場英語版で開幕した初演では、スチュアート・バージ英語版が演出を務め、ガイ・ベネット役にはルパート・エヴェレット、トミー・ジャッド役にはジョシュア・ル・トゥーゼル英語版が起用された[2]

グリニッジ劇場での公演を1981年12月12日に閉幕すると、1982年2月24日からのプレビュー公演を経て、3月2日からはウエスト・エンドクイーンズ劇場英語版に場所を移して公演を再開した。エヴェレットがガイ・ベネット役を続投し、トミー・ジャッド役には新たにケネス・ブラナーが起用された。エヴェレットの降板に伴い、9月13日からはダニエル・デイ=ルイスがガイ・ベネット役を務め、1983年3月30日にはコリン・ファースが役を引き継いだ[2]

1982年、ウエスト・エンド劇場協会賞(現:ローレンス・オリヴィエ賞)最優秀演劇賞を受賞[3]オリジナルキャストを務めたエヴェレットやブラナー、デイ=ルイスらにとって本作は出世作となった[4]

日本版[編集]

1994年TBSの主催とジェントル・アーツの企画・製作、ブリティッシュ・カウンシルの後援により、9月5日から18日にかけてアートスフィアにて改編版が上演された。日本語訳は松田直行、演出は釜紹人が務めた。ガイ・ベネット役は黒田アーサー大沢健がWキャストで務め、トミー・ジャッド役には松田洋治が起用された。

2022年ニッポン放送ミックスゾーンポニーキャニオン・クオーレ・サンライズプロモーション東京の共同製作により、6月24日から7月3日までよみうり大手町ホールにて、7月7日から10日までCOOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて、7月12日13日キャナルシティ劇場にて日本語版が上演された。日本語訳は北丸雄二、上演台本と演出は鈴木勝秀が務めた[5]

配役
  2022年
ガイ・ベネット 和田優希
Jr.SP / ジャニーズJr.
トミー・ジャッド 鈴木大河
IMPACTors / ジャニーズJr.)
ジム・メンジース 多和田任益
デラヘイ 嘉島陸
ウォートン 山時聡真
バークレイ 岡田翔大郎
ファウラー 中山咲月
ドナルド・デヴェニッシュ 近藤廉
サンダーソン 浦上晟周
ヴォーン・カニンガム おかやまはじめ

映画[編集]

アナザー・カントリー
Another Country
監督 マレク・カニエフスカ英語版
脚本 ジュリアン・ミッチェル英語版
原作 ジュリアン・ミッチェル
製作 アラン・マーシャル
製作総指揮 ロバート・フォックス
ジュリアン・シーモア
出演者 ルパート・エヴェレット
コリン・ファース
音楽 マイケル・ストーレイ
撮影 ピーター・ビジウ
編集 ジェリー・ハンブリング
製作会社 ゴールドクレスト
ナショナル・フィルム・ファーナンス
配給 イギリスの旗 Virgin Films
日本の旗 ヘラルド・エース
公開 フランスの旗 1984年5月12日CIFF
イギリスの旗 1984年6月
日本の旗 1985年8月1日
上映時間 90分
製作国 イギリスの旗 イギリス
言語 英語
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アナザー・カントリー』(Another Country)は、同名の舞台劇を映画化した1984年イギリス映画

原作舞台と同じくジュリアン・ミッチェル英語版が脚本を務め、ルパート・エヴェレットコリン・ファースが本作で映画初主演を飾った。

第37回カンヌ国際映画祭芸術貢献賞受賞。

キャスト[編集]

製作[編集]

ロケーション撮影への協力をイートン・カレッジに拒否されたため[6]オックスフォード大学ボドリアン図書館ブレーズノーズ・カレッジオックスフォード中心部のブロード・ストリート英語版などで主な撮影が行われた。屋内の撮影はスペンサー伯爵家の本邸であるオールソープの敷地内でも行われた[6]

監督を担当する予定だったアラン・パーカーのスケジュールが合わなくなったため、製作を務めるアラン・マーシャルの抜擢により、それまでテレビドラマの演出を手掛けていたマレク・カニエフスカ英語版が本作で長編映画監督デビューを果たすことになった[7]

舞台版の初演でガイ・ベネット役を演じたルパート・エヴェレットが本作でも同じ役を演じた一方、舞台版でエヴェレットの降板後にガイ・ベネット役を演じていたコリン・ファースが本作ではトミー・ジャッド役に転じている。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ タイトルはイギリスの外交官セシル・スプリング・ライス英語版の詩「我は汝に誓う、我が祖国よ」の第3連「I Vow to Thee, My Country」から採られている。グスターヴ・ホルストの「「惑星」の「木星」」に合せて、この詩が歌われるイギリスの愛国歌の一つ。

出典[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]