アウディ・Q3

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Q3 (キュースリー)は、ドイツの自動車メーカー、アウディが製造・販売している自動車である。

初代(2011 - 2020年)[編集]

Q3
8U
2014年改良型 フロント
2014年改良型 リア
2014年改良型 インテリア
概要
製造国 スペインの旗 スペイン
販売期間 2011年 - 2020年
ボディ
ボディタイプ 5ドアSUV
駆動方式 4WD
FF
パワートレイン
エンジン 2.0 TFSI(170馬力、28.6kgf·m)
2.0 TFSI (211馬力、 30.6kgf·m)
2.0 TDI (日本未導入 140馬力)
変速機 6速/7速Sトロニック
車両寸法
ホイールベース 2,605mm
全長 4,385mm
全幅 1,830mm
全高 1,615mm
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2011年4月の上海モーターショーで世界初公開され[1][2]、その後、同年7月に欧州市場を皮切りに順次発売を開始した[3]アウディ最小のSUVである。プラットフォームはアウディ・A3をベースとして作られているが、シャシはキャラクター特性を活かすべく大幅に補強されている。 Q7Q5の次に開発されたSUVであり、フォルクスワーゲン・ティグアンとは姉妹車関係にあたる。

エクステリアは流麗なルーフラインを採用するなどしてエアロダイナミクスを追求した結果、空気抵抗係数(Cd値)0.32というスポーツカーに匹敵する数値を実現。同時に、軽量化も推し進められ、ボディにはアルミニウムを多用することで車両重量を1.610㎏に収めている。

エンジンは3種で、ガソリンエンジンは2.0L直噴ターボの「TFSI」となり、出力特性に応じて170PSと211PSの2種を用意。アイドリングストップとブレーキエネルギー回生システムが標準となる。一方、ディーゼルの「TDI」はターボを採用して140PSを発生する。

生産はドイツではなく、スペインにあるフォルクスワーゲン傘下・セアト社のマルトレル工場である[4]。なお、Q3の生産に当たり、同工場は3億3000万ユーロ(約385億円)をかけて改修、約700人の追加雇用を行った。

2012年4月23日北京モーターショーにて「Q3 jinlong yufeng」を初公開[5]

2012年5月11日、「Wortherseeツアー」にてコンセプトカーの「Q3レッドトラック」を初公開[6]。最高出力が340psに強化されている。

2014年1月9日、北米市場に「Q3」を導入すると発表[7]。これまで北米市場には導入されていなかったが、SUVの需要増加に伴って投入を決断した。導入は2014年秋頃の予定。

2014年11月10日、欧州にて改良モデルを発表[8]。フロントグリルのデザインを改めたほか、ヘッドライトは「キセノンプラス」を標準化し、LEDデイタイムランニングライトを組み込んでいる。また、テールランプはLEDを使用した。欧州仕様のパワートレインは1.4Lから2.0Lのガソリンとディーゼルである。

2015年5月13日、「GTIミーティング・アット・ヴェルターゼー」にて「オフロードスタイルパッケージ」を初公開[9]。欧州仕様の純正アクセサリーとして設定される。

2016年9月15日、欧州にて2度目の改良モデルを発表[10]。フロントバンパーの開口部を拡大し、その下にボディ同色のブレードを配置。グリルはストーングレーで塗装された。また、「S line エクステリアパッケージ」を設定した。

日本での販売[編集]

日本市場へは2011年の東京モーターショーでの参考出品を経て[3][11]2012年5月8日に211PS仕様のTFSI「Q3 2.0 TFSI quattro 211PS」が、追って170PS仕様のTFSI「Q3 2.0 TFSI quattro 170PS」が発表された[12]。ディーゼルエンジンは日本未導入。

2013年8月20日、仕様変更[13]。アドバンストキーと、以前までオプション扱いだったハイグロスデザインパッケージを標準装備した。

2014年2月18日、200台限定モデル「Q3 S-line Competition」を発売[14]。「2.0 TFSI quattro 170PS」をベースにS-lineパッケージ、ブラックスタイリングパッケージ、19インチアルミホイールを装備した。

2014年8月20日、「Q3 1.4 TFSI」を設定[15]。駆動方式はQシリーズで初の前輪駆動。150ps/250Nmを発揮する直噴1.4Lターボエンジンに6速Sトロニックを組み合わせ燃費性能17.4km/L(JC08モード)を達成する。

2015年2月12日、120台限定モデル「Q3 color selection – Misano Red」を発売[16]。「1.4 TFSI」をベースにボディーカラーにMisano Redを採用した。

2015年5月12日、改良モデルを同月21日より発売すると発表[17]。パワートレインは1.4L直列4気筒直噴ターボと6段Sトロニックを組み合わせるFFモデルとして「Q3 1.4 TFSI」と「Q3 1.4 TFSI Sport」、2.0L直列4気筒直噴ターボと7段Sトロニックを組み合わせるクワトロ(四輪駆動)モデルとして「Q3 2.0 TFSI 180PS」と「Q3 2.0 TFSI 220PS」が用意される。

2016年8月23日、「Q3 1.4 TFSI」、「Q3 1.4 TFSI Sport」、「Q3 2.0 TFSI 180PS」の3モデルの価格を10万円値下げした[18]

2017年3月6日、一部仕様を変更[19]。「1.4 TFSI sport」と「2.0 TFSI quattro」のフロントバンパーを大型化。また、「S line」に新たなデザインのフロントバンパーを採用した。

2017年9月20日、一部仕様を変更[20]。「Q3 2.0 TFSI 180ps」、「Q3 1.4 TFSI sport」の標準装備とS lineの内容を充実させた。また、「Q3 2.0 TFSI 220ps」を廃止した。

2018年5月7日、125台限定モデル「Q3 S line competition」を発売[21]。「2.0 TFSI quattro」をベースにS lineパッケージをはじめ専用19インチアルミホイールなどを装備している。

2代目(2018 - )[編集]

Q3
F3
フロント
リア
インテリア
概要
製造国  ハンガリー
販売期間 2018年 -
ボディ
ボディタイプ 5ドアSUV
駆動方式 FF
4WD
パワートレイン
エンジン 1.5L直4ガソリンターボ
2.0L直4ディーゼルターボ
変速機 7速S-tronic
6速MT(海外仕様)
前:ストラット
後:ウィッシュボーン
前:ストラット
後:ウィッシュボーン
車両寸法
ホイールベース 2,680 mm
全長 Q3
4,490-4,495 mm
Q3 Sportback
4,500-4,520 mm
全幅 Q3
1,840 mm
Q3 Sportback
1,840-1,855 mm
全高 Q3
1,610 mm
Q3 Sportback
1,565 mm
車両重量 1,530-1,710 kg
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2018年7月25日、欧州で2代目を発表[22]。アウディのフラッグシップSUVであるQ8と共通のデザインを採用。8角形のシングルフレームグリルと、大型のサイドエアインテークが特徴で、ヘッドライトには最新のLEDテクノロジーが採用されている。ボディサイズは初代より全長が97mm長く、全幅が25mm幅広く、ホイールベースが77mm伸びた。その結果、室内空間が拡大している。欧州仕様のパワートレインは4気筒ガソリンターボエンジン3種と4気筒ディーゼルターボエンジン1種[23]。駆動方式はFFと「quattro」(四輪駆動)。トランスミッションは6速MTか7速Sトロニックが組み合わされる。先進運転支援システム(ADAS)の装備も充実しており、「プレセンスフロントセーフティシステム」などを標準装備している[24]。自動駐車が可能な「パークアシスト」や縦列駐車の際にドライバーを支援する「クロストラフィックアシスト」なども装備される。車載コネクティビティでは「バーチャルコクピット」、「MMIタッチレスポンス」、8.8インチの「MMIタッチディスプレイ」を設定[25]。上級のグレードでは10.1インチで音声認識コントロールを採用する「MMIナビゲーション」も追加で標準装備される。さらにオプションで最大12.3インチのモニターも選択可能となっている。生産はハンガリーのジェール工場で行われる[23]。欧州へのデリバリー開始は2018年11月頃の予定。2018年10月2日パリモーターショーにて公開[26]

2022年10月11日、 RS Q3の 誕生10周年を記念し、RS Q3 エディション 10 yearsをヨーロッパで発表[27]。世界限定555台を生産する。

Q3 Sportback[編集]

2019年7月24日、欧州にて「Q3 Sportback」を発表[28]。2代目Q3をベースにクーペスタイルを纏ったモデルで、全高は2代目Q3よりも約30mm低くなっている。エクステリアは、フロントグリルがブラック仕上げになっており、リアバンパーはQ3 Sportback専用のデザインである[29]

Q3、Q3 Sportbackの日本での販売[編集]

2020年7月7日、「Q3」「Q3 Sportback」を同年8月19日より発売すると発表[30]。グレードは「Q3」では1.5L直4ガソリンターボエンジンを搭載した「35 TFSI」、「35 TFSI advanced」、「35 TFSI S line」と2.0L直4ディーゼルターボエンジンを搭載した「35 TDI quattro advanced」、「35 TDI quattro S line」の5種類。「Q3 Sportback」では1.5L直4ガソリンターボエンジンを搭載した「35 TFSI」、「35 TFSI S line」と2.0L直4ディーゼルターボエンジンを搭載した「35 TDI quattro S line」の3種類。ともにガソリン車はFF、ディーゼル車は「quattro」(4WD)のみの設定となる。また、トランスミッションはすべて7速Sトロニックとなっている。

脚注[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ アウディ、コンパクトSUV「Q3」を出展【上海ショー2011】”. web CG (2011年4月14日). 2020年8月16日閲覧。
  2. ^ Shanghai 2011: Audi Q3 gibt sein Debüt” (ドイツ語). MOTORSPORT TOTAL.com (2011年4月20日). 2020年8月16日閲覧。
  3. ^ a b アウディ Q3【東京モーターショー2011】”. カーセンサー (2011年12月2日). 2020年8月16日閲覧。
  4. ^ セアト のスペイン工場、期間工を採用へ…アウディ Q3 の需要増に対応”. Response. (2014年11月25日). 2020年8月16日閲覧。
  5. ^ 【北京モーターショー12】アウディ Q3 「黄金の龍」仕様…詳細画像”. Response. (2012年5月11日). 2020年8月16日閲覧。
  6. ^ アウディ Q3 にレッドトラックコンセプト…340psターボ搭載”. Response. (2012年5月14日). 2020年8月16日閲覧。
  7. ^ 【デトロイトモーターショー14】アウディ Q3 、米国市場導入が決定…2014年秋”. Response. (2014年1月12日). 2020年8月16日閲覧。
  8. ^ アウディ Q3、欧州で改良新型を発表…表情変化”. Response. (2014年11月10日). 2020年8月16日閲覧。
  9. ^ アウディ Q3、欧州でオフロードスタイルパッケージ”. Response. (2015年5月20日). 2020年8月16日閲覧。
  10. ^ アウディ Q3、欧州で大幅改良…表情変化”. Response. (2016年9月21日). 2020年8月16日閲覧。
  11. ^ アウディ、東京モーターショー2011に2台のハイブリッドカーなど出展”. MoTA (2011年11月11日). 2020年8月16日閲覧。
  12. ^ アウディのコンパクトSUV「Q3」デビュー”. web CG (2012年5月8日). 2020年8月16日閲覧。
  13. ^ Audi Q3 の装備、仕様を一部変更』(プレスリリース)Audi Japan、2013年8月20日https://www.audi-press.jp/press-releases/2013/crt6ds000000134s.html2020年8月16日閲覧 
  14. ^ Audi TTにultimate series 3モデル、Audi TTS Coupe Competition、Audi Q3 S-line Competition計5種の限定車を同時に発売』(プレスリリース)Audi Japan、2014年2月18日https://www.audi-press.jp/press-releases/2014/crt6ds000000182u.html2020年8月16日閲覧 
  15. ^ Audi Q3 に1.4 TFSIモデルを新たにラインナップ設定』(プレスリリース)Audi Japan、2014年8月19日https://www.audi-press.jp/press-releases/2014/crt6ds00000016e6.html2020年8月16日閲覧 
  16. ^ Audi Q3 color selection - Misano Redを発売』(プレスリリース)Audi Japan、2015年2月12日https://www.audi-press.jp/press-releases/2015/crt6ds0000001aiz.html2020年8月16日閲覧 
  17. ^ 新型 Audi Q3 / RS Q3 を発売』(プレスリリース)Audi Japan、2015年5月12日https://www.audi-press.jp/press-releases/2015/crt6ds0000001a1n.html2020年8月16日閲覧 
  18. ^ 「アウディQ3」価格変更 3モデルが10万円ダウン”. web CG (2016年8月23日). 2020年8月16日閲覧。
  19. ^ アウディ Q3、一部グレードのフロントデザインを変更”. Response. (2017年3月6日). 2020年8月16日閲覧。
  20. ^ Audi Q3、Audi TTS、TTRSの仕様を一部変更』(プレスリリース)Audi Japan、2017年9月19日https://www.audi-press.jp/press-releases/2017/b7rqqm000000exjk.html2020年8月16日閲覧 
  21. ^ アウディ、プレミアムコンパクト3車種のS line限定モデルを発売』(プレスリリース)Audi Japan、2018年5月7日https://www.audi-press.jp/press-releases/2018/b7rqqm000000ltdc.html2020年8月16日閲覧 
  22. ^ アウディ Q3 新型を本国で発表…Q8 のデザインモチーフ、先代より大型化”. Response. (2018年7月26日). 2020年8月16日閲覧。
  23. ^ a b アウディが2代目「Q3」の概要を発表”. web CG (2018年7月26日). 2020年8月16日閲覧。
  24. ^ アウディ Q3 新型、歩行者や自転車を検知…自動駐車も可能”. Response. (2018年7月27日). 2020年8月16日閲覧。
  25. ^ アウディ Q3 新型、最新バーチャルコクピット設定…モニターは最大12.3インチ”. Response. (2018年7月28日). 2020年8月16日閲覧。
  26. ^ アウディ Q3 新型、2代目はハイテク装備の小型SUV…パリモーターショー2018”. Response. (2018年10月6日). 2020年8月16日閲覧。
  27. ^ アウディ『RS Q3』、デビュー10周年祝う555台の限定車登場…400馬力ターボ搭載(レスポンス)”. LINE NEWS. 2022年10月21日閲覧。
  28. ^ アウディ Q3 新型に「スポーツバック」、新SUVクーペを欧州発表”. Response. (2019年7月25日). 2020年8月16日閲覧。
  29. ^ 独アウディが新型SUV「Q3スポーツバック」を発表 クーペライクなエクステリアを採用した「Q3」の派生モデル”. web CG (2019年7月24日). 2020年8月16日閲覧。
  30. ^ 新型Audi Q3 / Q3 Sportbackを発売』(プレスリリース)Audi Japan、2020年7月7日https://www.audi-press.jp/press-releases/2020/b7rqqm000000wcur.html2020年8月16日閲覧 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]