まずい棒

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まずい棒(まずいぼう)は、銚子電気鉄道が販売している状のスナック菓子

概要[編集]

リスカが製造しやおきんが販売するうまい棒パロディ商品。製造元は商品パッケージに記載されていないが、千葉県鎌ケ谷市ニッポーが製造し、銚電に供給するOEM商品となっている[1]。 発売前に、やおきんと銚電とで協議した結果、相互に関知しないことで合意した[2]

価格はスタンダードな「コーンポタージュ味」が10本入り378消費税込み)[3]2018年、「破産は嫌、嫌」の語呂合わせで「8月3日18時18分」に竹本勝紀社長の「まずい…もう1本!」の掛け声で犬吠駅にて発売開始[4]仲ノ町駅外川駅、ぬれ煎餅駅のほかインターネットで販売されている[5]千葉のイメージアップに貢献した個人や団体に贈られる「千葉イメージアップ大賞」の特別賞を受賞[6]2022年ぬれ煎餅や「まずい棒」の販売など副業部門が好調で2015年度以来6期ぶりに黒字転換を達成した[7]

起源・由来[編集]

銚子電気鉄道の収入の約7割が「ぬれ煎餅」によるものだが、人気が一段落して売れ行きが不振となり[8]、車両の維持や線路の補修などの費用をぬれ煎餅の売り上げだけでは賄えない状況となったため、「ぬれ煎餅」に続く商品として発売を開始。「お化け屋敷電車」の企画・演出を担当する怪談蒐集家の寺井広樹が考案し、ネーミングの由来は「経営状況がまずい」にちなんでいる[9]。販売開始から約4年で400万本を売り上げ「ぬれ煎餅」と並ぶヒット商品となった[10]

キャラクター[編集]

パッケージのイラストはホラー漫画家の日野日出志による描き下ろしで、キャラクターの名前は「まずえもん(魔図衛門)」。「安銚18年9月31日生まれ。『まずい…』という言葉に反応して魔界からやって来る異星人で銚電ファン」という設定[11]。まずえもんの誕生日(9月31日=10月1日)を「まずい棒の日」として日本記念日協会に申請し、受理された [12]。2018年10月に銚子電鉄が販売を開始した駅弁「鯖威張(サバいば)る弁当」の包装紙に「まずえもん」が起用されている[13]。銚子電鉄の経営を支えるヒット商品となったその金運にあやかろうと2019年1月、まずえもんを祀る「まずえもん神社」が犬吠駅に誕生[14]

サブキャラクターとして、妹の「魔図華(まずか)ちゃん」、姉の「マズエ」、祖母の「まずゑおばあちゃん」、父の「マズングルズ」がいる。魔図華ちゃんは九州出身で「まずか〜」が口癖という設定であり[15]、日野の事務所によると平手友梨奈がモデルになっている[16]

種類(味)[編集]

レギュラー[編集]

  • コーンポタージュ味
    • 2018年8月発売。パッケージには「マズいです!経営状況が…」というコピーが印刷されている[17]
  • チーズ
    • 2019年3月発売。パッケージには「まずえもん」の妹の「まずかちゃん(魔図華ちゃん)」が登場[18]
  • ぬれ煎餅味
    • 2019年8月発売。パッケージには「まずえもん」の祖母の「まずゑおばあちゃん」が煎餅を焼く姿が描かれている[19]
  • か〜るいチーズ味
    • 2020年9月発売。日野日出志のギャグ漫画「大戦争時代」(1975年)に登場する「ずるチン坊や」がパッケージを飾っている[20]
  • チキンカレー
    • 2021年12月発売。同時にご当地レトルトカレー「銚電チキンカレー」を発売。「チキンカレー」は「資金枯れ~」の語呂合わせから。
  • めんたい
    • 2022年5月発売。

限定味[編集]

スーパーまずい棒[編集]

  • 炭火地鶏味
    • 2019年12月発売。台風や大雨の直撃を受け、工場の建物の一部が破損して、ぬれ煎餅の生産数量が減少したことや鉄道収入にも影響を及ぼしたことにより「本当にまずい状況」になったことから、カビ色の「スーパーまずい棒」の発売に踏み切った[23]BARBEE BOYSの代表曲「目を閉じておいでよ」にちなんで「目を閉じて食べなよ」というコピーが印刷されている[24]

きまずい棒[編集]

  • あしたば青汁味
    • 2022年12月23日、限定3000袋販売。原材料・包装資材・物流費等の生産コスト上昇に伴い、商品価格を値上げしたことで、商品名も「きまずい棒」になった。八丈島アシタバを配合している[25]

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ 銚子電鉄「まずい棒」製造元が非公表だったワケ - 産経新聞(2022年8月9日)
  2. ^ パクりと言われても「真剣にふざけている」銚子電鉄、気になる“本家”との関係は週刊女性プライム2019年6月21日
  3. ^ “銚子電鉄「きまずい棒」誕生 物価高騰にあらがえず値上げ 社長のジョークが商品名に”. 千葉日報 (千葉日報社). (2022年12月21日). https://www.chibanippo.co.jp/news/economics/1011238 
  4. ^ “銚子電鉄の「まずい棒」、自虐と同情を引力に”. 日経ビジネス (日経BP). (2019年3月18日). https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00022/031400006/ 
  5. ^ “銚子電鉄が「まずい棒」を売り出すワケ ぬれ煎餅に続くヒット商品になる?”. Excite Bit (Excite Japan Co.,Ltd.). (2018年7月16日). https://www.excite.co.jp/news/article/E1531453035404/?p=2 
  6. ^ “地元一筋2000安打 千葉イメージアップ大賞に福浦選手 特別賞は銚子電鉄「まずい棒」販売/千葉”. 毎日jp (毎日新聞社). (2019年1月24日). https://mainichi.jp/articles/20190124/ddl/k12/040/013000c 
  7. ^ “銚子電鉄6年ぶり黒字 ぬれ煎、「まずい棒」販売など副業好調 21年度決算”. 千葉日報 (千葉日報社). (2022年6月30日). https://www.chibanippo.co.jp/news/economics/951511 
  8. ^ “まずい経営の銚子電鉄が売り出す「まずい棒」のお味は?”. AERA dot. (株式会社 朝日新聞出版). (2018年8月4日). https://dot.asahi.com/articles/-/115181 
  9. ^ “自虐ネタでスナック菓子「まずい棒」千葉・銚子電鉄「正直おいしい」”. 東京新聞 (中日新聞社). (2018年8月12日). http://www.tokyo-np.co.jp/article/metropolitan/list/201808/CK2018081202000192.html 
  10. ^ “銚子電鉄が開業100年へ 元鉄道マン迎え、「存続で地域に恩返し」”. 朝日新聞 (株式会社朝日新聞社). (2022年10月6日). https://www.asahi.com/articles/ASQB57DGZQB3UDCB01J.html 
  11. ^ “「まずい棒」銚子電鉄が発売 何が、どう「まずい」のか”. 乗りものニュース (株式会社メディア・ヴァーグ). (2018年7月26日). https://trafficnews.jp/post/81060 
  12. ^ “銚子電鉄 10月1日を「まずい棒」の日に”. 毎日新聞 (毎日新聞社). (2018年9月28日). https://mainichi.jp/articles/20180929/k00/00e/040/239000c 
  13. ^ “鯖威張(サバいば)る駅弁で“生き残り”銚子電鉄、特産サバ使い新商品「まずい棒」に続くヒット狙う”. 千葉日報 (千葉日報社). (2018年9月27日). https://www.chibanippo.co.jp/news/local/606738 
  14. ^ “「まずいこと解決します」駅構内に「まずい棒」神社”. 産経新聞 (産経新聞). (2019年2月8日). https://www.sankei.com/article/20190208-YVUGN6TWBNKZTPH6EDOOQHQKSM/ 
  15. ^ キャラクター”. 銚子電気鉄道. 2020年4月15日閲覧。
  16. ^ 【公式】日野プロダクション(@hino_pro) 2019年12月31日23:46のツイート
  17. ^ “スナック菓子「まずい棒」で経営改善へ 銚子電鉄”. 毎日新聞 (毎日新聞社). (2018年8月3日). https://mainichi.jp/articles/20180804/k00/00m/040/029000c 
  18. ^ “FRIDAYデジタルが選んだ2018年ヒット商品大賞はこれだ!”. FRIDAYデジタル (講談社). (2018年12月21日). https://friday.kodansha.co.jp/article/24024 
  19. ^ “まずい!もう一本!銚子電鉄が電車運行存続のためスナック菓子「まずい棒 ぬれ煎餅味」を発売”. Excite Bit (Excite Japan Co.,Ltd.). (2019年8月3日). https://www.excite.co.jp/news/article/Japaaan_102771/ 
  20. ^ 【公式】日野プロダクション(@hino_pro) 2020年9月7日18:15のツイート
  21. ^ “ヒット商品「まずい棒」、救世主になって…経営厳しい銚子鉄道”. 読売新聞 (読売新聞社). (2021年4月22日). https://www.yomiuri.co.jp/economy/20210421-OYT1T50295/ 
  22. ^ 【公式】日野プロダクション(@hino_pro) 2021年3月27日15:32のツイート
  23. ^ “逆境逆手に新商品「スーパーまずい棒」食欲をそそらないカビ色、12月18日販売へ 銚子電鉄”. 千葉日報 (千葉日報社). (2019年10月3日). https://www.chibanippo.co.jp/news/local/632597 
  24. ^ “バービーボーイズ「♪目を閉じて、食べにおいでよ」…スーパーまずい棒!そこには銚子電鉄の目を閉じられない現実も…”. まいどなニュース (株式会社神戸新聞社). (2019年12月26日). https://maidonanews.jp/article/12990591 
  25. ^ “銚子電鉄「きまずい棒」誕生 物価高騰にあらがえず値上げ 社長のジョークが商品名に”. 千葉日報オンライン (株式会社千葉日報社). (2022年12月21日). https://www.chibanippo.co.jp/news/economics/1011238 2022年12月23日閲覧。 

参考文献[編集]

  • 「崖っぷち銚子電鉄 なんでもありの生存戦略」(イカロス出版、2019年6月)
  • 「廃線寸前!銚子電鉄 ”超極貧”赤字鉄道の底力」(交通新聞社、2021年4月)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]