ぱらのい屋劇場

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ぱらのい屋劇場』(ぱらのいやげきじょう)は、あろひろしによる日本漫画作品。『スーパージャンプ』(集英社)誌上にて1988年6号、7号、および11月号から1991年2月号まで連載された。全30話。

単行本はジャンプコミックスデラックス全2巻。後年、ラポートから「あろひろし作品集(4) ぱらのい屋劇場[壱]」「あろひろし作品集(5) ぱらのい屋劇場[弐]」のタイトルで復刻版が発売された。

概要[編集]

ストーリーが一切存在しない、純粋な意味でのギャグ漫画。毎回2色カラー(たまに4色の回も)8ページの中で、各回ごとに決められた「お題」に沿ったネタを数個披露する形式を取っている。連載中は誌上で「今月のお題」のハガキ投稿を常時募集しており、毎月採用されたハガキの送り主の名前をハシラで発表していた。タイトルの由来は連載当時あろが経営していた事務所名「スタヂオぱらのい屋」から。

不条理ネタ、ブラックジョーク、考えオチなど、あろひろしという作家のギャグパターンのほぼ全てを詰め込んだ集大成ともいえる作品(ただし『MORUMO 1/10』に代表される「理屈が通っているからこそ笑える」タイプのマッドサイエンティストネタは登場しない)。また、「限られたページ数の中でアイディアの持つインパクトを最大限に引き出す」という点において、(ジャンルは違えど)星新一ショートショート作品群に通じるものがある、と作者は自己分析している。

キャラクター[編集]

出演者の大半は特別な個性を持たない1度限りのエキストラだが、一部のキャラクターには強烈な個性が与えられ、複数回出演している。以下にその例を挙げる。

ジョギング大仏
その名の通り、ジョギングする大仏。「HOTOKE」の鉢巻と「仏」のランニングシャツを身につけ、あらゆる場所を走り回る。シュールさをそのまま具現化したような謎の生物。
元は『とっても少年探検隊』のキャラクターだったが、本作中では走らない回もいくつか存在する。
フラッシャー・サンタ
その名の通り、露出狂サンタクロースのような老人。全裸に赤いコートを羽織り、人々の前で開いて見せつけようとする。最終回でその意外な正体が明かされた。連載初期から末期まで、本作中では最も長く活躍し続けたキャラクター。
青春軍団
往年のスポ根ドラマのラグビーチームのような集団。突然現れては、周囲の時間帯や気候を無理矢理変化させて走り去ってゆく。とある理由によりわずか数回出演しただけで出番を削られた。
ラッキー・ストライク
謎の傭兵。37歳。世界中の戦場を幾つも潜り抜け、その強さと不死身さから「鋼の男」の異名をつけられた。アーノルド・シュワルツェネッガーに似た厳つい外見と、そこからは想像もつかない意外な一面をいくつも持つ。
ふたば君チェンジ♡』にも、元傭兵の経歴を持つ体育教師として登場する。

単行本[編集]

  • ジャンプコミックスデラックス版(集英社
    • 第1巻
      • 1989年11月15日発行(ISBN 4-08-858243-8
      • スーパージャンプ』1989年10月号までに掲載された分を収録。
      • 巻末のおまけとして、連載中に読者から送られて来た「今月のお題」のハガキが一部紹介されている。
      • 2巻共々、雑誌掲載時のカラーページをそのまま再現している。
    • 第2巻
      • 1991年3月15日発行(ISBN 4-08-858244-6
      • 『スーパージャンプ』1989年10月30日増刊、同年11月号以降に掲載された分を収録。
      • 巻末には、あろひろしの同人誌「有芸太F」で発表された短編「わるあ描き」が、単行本のカラーにあわせて着色された上で収録された。
  • ラポートコミックス版(ラポート
    • あろひろし作品集(4) ぱらのい屋劇場[壱]
      • 1998年8月25日発行(ISBN 4-89799-306-7
      • 『スーパージャンプ』1989年10月号までに掲載された分を収録。
      • リイドコミック』(リイド社)1996年10月7日号~1997年6月5日号に連載された「ようこそP.E.Tへ!」全18話+描き下ろし特別編をあわせて収録。
      • 「今月のお題」ハガキの紹介ページが削られている。
      • [弐]共々、一部の4色カラーページを除き白黒印刷で収録されている。
    • あろひろし作品集(5) ぱらのい屋劇場[弐]
      • 1998年10月10日発行(ISBN 4-89799-310-5
      • 『スーパージャンプ』1989年10月30日増刊、同年11月号以降に掲載された分を収録。
      • 前述の「わるあ描き」を含め、同人誌や『スーパージャンプ』誌上で発表された短編数点と、『サイバーコミックス』(バンダイ)3号に発表された読み切り「整備しちゃうぞ!」、そして描き下ろしコミックエッセイ「ワニが翔ぶ」を収録。