たかが世界の終わり

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たかが世界の終わり
Juste la fin du monde
監督 グザヴィエ・ドラン
脚本 グザヴィエ・ドラン
原作 ジャン＝リュック・ラガルス（英語版）
『まさに世界の終わり（フランス語版）』
製作
  • ナンシー・グラント（英語版）
  • グザヴィエ・ドラン
  • シルヴァン・コルベイユ
  • ナタナエル・カルミッツ
  • エリーシャ・カルミッツ
  • ミヒェル・メルクト
製作総指揮 パトリック・ロイ
出演者
音楽 ガブリエル・ヤレド
撮影 アンドレ・トュルパン（英語版）
編集 グザヴィエ・ドラン
製作会社
  • Sons of Manual
  • MK2 Productions
配給
公開
  • フランスの旗 2016年5月19日 (CIFF)
  • カナダの旗 2016年9月21日
  • 日本の旗 2017年2月11日
上映時間 99分[1]
製作国
言語 フランス語
製作費
興行収入 $8,800,000[3]
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『たかが世界の終わり』（たかがせかいのおわり、仏: Juste la fin du monde、英: It's Only the End of World）は、グザヴィエ・ドラン監督・脚本・編集による2016年のカナダ・フランスのドラマ映画である。ジャン＝リュック・ラガルス（英語版）の戯曲『まさに世界の終り（フランス語版）』を原作としており、ギャスパー・ウリエル、ナタリー・バイ、マリオン・コティヤール、レア・セドゥ、ヴァンサン・カッセルらが出演している。

第69回カンヌ国際映画祭ではコンペティション部門でパルム・ドールを争い[4][5]、グランプリとエキュメニカル審査員賞を獲得した[6]。第89回アカデミー賞外国語映画賞にはカナダ代表作として出品され[7]、2016年12月に発表された最終選考9作品に選ばれたが[8]、本選ノミネートには至らなかった[9]。カナダ・スクリーン・アワードには9部門[10]、フランスのセザール賞には6部門にノミネートされた[11]。ケベックとフランスでは2016年9月21日に封切られた[12]。

あらすじ[編集]

「どこか」とだけ特定された場所で、34歳のゲイの劇作家で末期症状に対処しているルイは、12年ぶりに家族と再会するため故郷への短いフライトに乗る。妹シュザンヌには彼の思い出がほとんどない。家に到着すると、母マルティーヌは、ルイが兄アントワーヌの妻であるカトリーヌに一度も会ったことがないことに気づき驚く。ルイが彼らの結婚式に出席しなかったためである。カトリーヌはルイに、彼女とアントワーヌの子供について話し始めるが、なぜ息子の一人をルイとアントワーヌの父にちなみルイと命名したかの説明で、落ち着かない様子になり言葉に詰まってしまう。アントワーヌは、ルイは子供の話になど興味がないと言い放ち、緊張感を生む。ルイは以前の家を見に行きたいと懐かしがるが、廃屋とみなしている他の家族は戸惑う。その後彼は電話で会話し、どう反応されるかはわからないが、死が差し迫っていることを家族に伝えたら出発する予定だと話す。

ルイとカトリーヌは廊下でぎこちなく出会い、緊張した会話についてお互いに謝罪する。ルイは、アントワーヌはルイに関するネガティブな意見を彼女に与えたかったのだろうと述べる。カトリーヌは、アントワーヌは実際ほとんどルイのことを話さず、そしてルイが彼らの人生にほぼ全く興味がないと感じていると答える。彼女は公然とこの考えに一理あるのではと思っている。彼女はルイにアントワーヌの仕事を知っているか質問し、近所で工具を作っていることを説明する。マルティーヌもまた、ルイに家族の責任を負うよう諭し、彼の地位、成功や勇気がその権威にふさわしいのだと言う。彼女は、手紙を送っていた住所から彼が引っ越したこと、彼が現在どこに住んでいるか知らされていなかったことを知る。

食事の間、ルイはもっと頻繁に帰省すると約束し、シュザンヌにいつでも彼に会いに来て良いと伝える。しかし、ルイが出発しようとしていることがすぐに明らかになる。これに乗じ、アントワーヌは無理やり彼を家から追い出そうとする。家族はアントワーヌの蛮行に怒鳴り返す。アントワーヌは応酬し、家族の変わり者として扱われることにはうんざりだと言う。しばらくの後、ルイは家族に彼の予後について話すことなく出発する。

キャスト[編集]

製作[編集]

ドランが『たかが世界の終わり』を監督し、ギャスパー・ウリエル、ナタリー・バイ、マリオン・コティヤール、レア・セドゥ、ヴァンサン・カッセルが出演する企画は2015年4月に発表された。映画はテレフィルム・カナダ（英語版）の支援を通し、サンズ・オブ・マニュアルのナンシー・グラント（英語版）、ドラン、MK2プロダクションズのナタナエル・カルミッツ、シルヴァン・コルベイユにより製作される。国際セールスはセヴィル・インターナショナル（英語版）が指揮した[13][14]。主要撮影は2015年5月26日にモントリオールで始まった[15][16]。

公開[編集]

ワールドプレミアは2016年5月にカンヌ国際映画祭で行われた[4][5]。また2016年6月にシドニー映画祭（英語版）[17]、9月にトロント国際映画祭で上映された[18]。ケベック州及びフランスでは2016年9月21日に封切られた[19]。

評価[編集]

批評家の反応[編集]

第69回カンヌ国際映画祭での監督と出演者たち。

カンヌ国際映画祭でのプレミア上映の際は観客及び批評家の反応は芳しくなく、『ヴァニティ・フェア』誌からは「カンヌで最も期待外れの映画」と評された[20][21][22]。『ハリウッド・リポーター』からは「寒く、不満足」[23]、『バラエティ』からは「しばしば耐え難いほど劇的な経験」と書かれた[24]。映画祭の期間中、ドランはメディアからの酷評に反論した[25][26]。一方で『ガーディアン』誌など高評価する批評媒体も存在した[27]。最終的にカンヌではグランプリとエキュメニカル審査員賞を獲得した[28]。

フランスの映画ウェブサイトのAlloCinéでは44件のレビューで平均点は3.3/5となった[29]。またRotten Tomatoesでは44件のレビューで支持率は43%、平均点は5.8/10となった[30]。Metacriticは11件のレビューで加重平均値を48/100とした[31]。

興行収入[編集]

フランスでは391スクリーンで封切られ、103万4477枚のチケットを売り上げて初登場1位となった[32]。

受賞とノミネート[編集]

映画祭・賞 部門 候補 結果
カナダ・スクリーン・アワード（英語版）[10] 作品賞 『たかが世界の終わり』 受賞
監督賞 グザヴィエ・ドラン 受賞
脚色賞 グザヴィエ・ドラン 受賞
助演男優賞 ヴァンサン・カッセル 受賞
助演女優賞 ナタリー・バイ ノミネート
撮影賞 アンドレ・トュルパン（英語版） 受賞
メイクアップ賞 Maïna Militza
Denis Vidal 		受賞
音響賞 François Grenon ノミネート
音響編集賞 Sylvain Brassard
Guy Francoeur
Benoît Dame
Guy Pelletier 		ノミネート
カンヌ国際映画祭 グランプリ 『たかが世界の終わり』 受賞
エキュメニカル審査員賞 『たかが世界の終わり』 受賞
セザール賞（英語版）[11] 監督賞 グザヴィエ・ドラン 受賞
主演男優賞 ギャスパー・ウリエル 受賞
助演男優賞 ヴァンサン・カッセル ノミネート
助演女優賞 ナタリー・バイ ノミネート
編集賞 グザヴィエ・ドラン 受賞
外国語映画賞 『たかが世界の終わり』 ノミネート
ハンブルク国際映画祭（英語版） 芸術映画賞 『たかが世界の終わり』 受賞
グローブス・デ・クリスタル賞（英語版）[33] 映画賞 『たかが世界の終わり』 ノミネート
男優賞 ヴァンサン・カッセル ノミネート
ギャスパー・ウリエル ノミネート
女優賞 マリオン・コティヤール ノミネート
リュミエール賞（英語版）[34] 男優賞 ギャスパー・ウリエル ノミネート
音楽賞 ガブリエル・ヤレド ノミネート
フランス語作品賞 『たかが世界の終わり』 ノミネート

出典[編集]

  1. ^ “It's Only the End of the World”. British Board of Film Classification. 2017年1月27日閲覧。
  2. ^ “Juste La Fin Du Monde”. JP's Box-Office. 2017年2月7日閲覧。
  3. ^ “It's Only the End of the World (Juste la fin du monde)”. Box Office Mojo. 2016年9月29日閲覧。
  4. ^ a b “2016 Cannes Film Festival Announces Lineup”. IndieWire. 2016年4月14日閲覧。
  5. ^ a b “Cannes 2016: Film Festival Unveils Official Selection Lineup”. Variety. 2016年4月14日閲覧。
  6. ^ “Cannes Film Festival Winners: Palme d'Or To Ken Loach's 'I, Daniel Blake'”. Deadline. 2016年5月22日閲覧。
  7. ^ Vlessing, Etan (2016年9月23日). “Oscars: Canada Selects 'It's Only the End of the World' for Foreign-Language Category”. The Hollywood Reporter. 2016年9月23日閲覧。
  8. ^ “Oscars: Nine Films Advance in Foreign-Language Race”. Variety (2016年12月15日). 2016年12月15日閲覧。
  9. ^ “Oscar nominations 2017: Denis Villeneuve in the running for Arrival, Dolan out of race” (英語). Montreal Gazette. (2017年1月24日). http://montrealgazette.com/entertainment/movies/oscar-nominations-2017-denis-villeneuve-in-the-running-for-arrival-dolan-out-of-race 2017年1月25日閲覧。 
  10. ^ a b “Xavier Dolan's 'It's Only the End of the World' Leads Canadian Screen Award Film Nominations 2017”. The Hollywood Reporter (2017年1月17日). 2017年1月27日閲覧。
  11. ^ a b “2017 César Awards Nominations”. The Hollywood Reporter (2017年1月26日). 2017年1月27日閲覧。
  12. ^ Jaugernauth, Kevin (2016年4月5日). “Xavier Dolan's 'It's Only The End Of The World' Will Open In Quebec On September 21st”. Indiewire.com. 2016年4月5日閲覧。
  13. ^ “Cannes: Marion Cotillard, Lea Seydoux Join Xavier Dolan's Next Drama”. The Hollywood Reporter (2015年4月28日). 2017年2月7日閲覧。
  14. ^ “Seville International Posts Strong Sales On Xavier Dolan's 'It's Only The End Of The World' – Cannes”. Deadline.com (2015年5月12日). 2017年2月7日閲覧。
  15. ^ “Dolan se sent "comme une meilleure personne"” (フランス語). La Presse (2015年5月25日). 2017年2月7日閲覧。
  16. ^ “Xavier Dolan dévoile une photo du tournage de son film "Juste la fin du monde" sur Instagram” (フランス語). Le Huffington Post (2015年5月29日). 2017年2月7日閲覧。
  17. ^ “Here are the 2016 Sydney Film Festival competition films”. SBS. (2016年5月11日). http://www.sbs.com.au/movies/article/2016/05/06/here-are-2016-sydney-film-festival-competition-films 2016年5月12日閲覧。 
  18. ^ “It's Only the End of the World”. Toronto International Film Festival. 2016年8月3日閲覧。
  19. ^ “IT’S ONLY THE END OF THE WORLD directed by Xavier Dolan in Official Competition at the 69th Cannes Film Festival”. Entertainment One (2016年4月14日). 2016年7月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年4月27日閲覧。
  20. ^ “'I was screaming inside': Xavier Dolan reacts to his latest film's damning reviews at Cannes”. 2016年9月20日閲覧。
  21. ^ “Brendan Kelly: English-speaking critics don't get Xavier Dolan” (英語) (2016年5月24日). 2016年9月20日閲覧。
  22. ^ Lawson, Richard. “Xavier Dolan’s It’s Only the End of the World Is the Most Disappointing Film at Cannes”. 2016年9月20日閲覧。
  23. ^ “'It's Only the End of the World': Cannes Review”. 2016年9月20日閲覧。
  24. ^ Debruge, Peter (2016年5月18日). “Cannes Film Review: ‘It’s Only the End of the World’” (英語). 2016年9月20日閲覧。
  25. ^ Smith, Nigel M.; Barnes, Henry; Swaby, Jonross; theguardian.com (2016年5月25日). “Director Xavier Dolan: 'Cannes is sinking into a culture of hatred' – video interview” (英語). The Guardian. ISSN 0261-3077. https://www.theguardian.com/film/video/2016/may/25/only-the-end-of-the-world-xavier-dolan-cannes-video-interview 2016年9月20日閲覧。 
  26. ^ “Montreal filmmaker Xavier Dolan faces Cannes criticism calmly ｜ Toronto Star”. thestar.com. 2016年9月20日閲覧。
  27. ^ Bradshaw, Peter (2016年5月19日). “It’s Only the End of the World review: Xavier Dolan's nightmarish homecoming is a dream” (英語). The Guardian. ISSN 0261-3077. https://www.theguardian.com/film/2016/may/19/its-only-the-end-of-the-world-review-xavier-dolans-nightmarish-homecoming-is-a-dream 2016年9月20日閲覧。 
  28. ^ “Dolan defies critics, wins Cannes Grand Prix”. CBC News. (2016年5月22日). http://www.cbc.ca/news/canada/montreal/xavier-dolan-cannes-juste-la-fin-du-monde-grand-prix-1.3595895 2016年5月23日閲覧。 
  29. ^ “Critiques presse pour le film Juste la fin du monde”. AlloCiné. 2016年12月23日閲覧。
  30. ^ “It's Only the End of the World (Juste la fin du monde) (2016)”. Rotten Tomatoes. 2016年5月19日閲覧。
  31. ^ “It's Only the End of the World”. Metacritic. 2017年2月7日閲覧。
  32. ^ http://www.jpbox-office.com/fichfilm.php?id=15852.htm
  33. ^ “Les nommés 2016”. Globes de Cristal. 2017年2月7日閲覧。
  34. ^ “Lumières 2017 : "Elle" et "Une vie" en tête des nominations”. LCI (2016年12月16日). 2017年2月7日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

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