うしろ髪ひかれ隊

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うしろ髪ひかれ隊
出身地 日本の旗 日本
ジャンル アイドル
活動期間 1987年 - 1988年
レーベル キャニオン・レコード
→ポニーキャニオン
事務所 プロダクション尾木
共同作業者 渡辺有三
秋元康
後藤次利
おニャン子クラブ
メンバー 生稲晃子
工藤静香
斉藤満喜子

うしろ髪ひかれ隊(うしろがみひかれたい)は、女性アイドルグループおニャン子クラブに所属していた生稲晃子工藤静香斉藤満喜子による3人組アイドルユニット[1][2]キャッチコピーは、「ふんにゃり静香と、ほんわか晃子と、しっかり満喜子で、うしろ髪ひかれ隊になったとさ」。

概要[編集]

うしろゆびさされ組高井麻巳子のおニャン子卒業により解散したことを受け、その後を継ぐ存在として1987年4月に結成された。前年秋の渡辺満里奈のデビューシングル「深呼吸して」にバックコーラスとして参加し"デビュー予備軍"だった生稲・工藤の2人に、斉藤を加えた3人がメンバーに選ばれた。4月13日に『夕やけニャンニャン』でデビュー曲が初披露され[3]5月7日、アニメ『ハイスクール!奇面組[注釈 1]の主題歌『時の河を越えて』でデビュー[2][4]。3人とも「プロダクション尾木」に所属することとなり、ファンクラブも同プロダクションが運営した。

結成前にすでにおニャン子のシングル曲でフロントボーカルを務めたことがあり、ローソンの「からあげクン」のテレビCMに単独で出演していたにもかかわらず、ソロデビューの計画を渋った生稲のために結成されたユニットであった。デビュー曲「時の河を〜」では生稲がセンターだったが、2枚目のシングル「あなたを知りたい」以降は工藤がセンターになった。後年に生稲が『速報!歌の大辞テン』に出演した際に「人気や歌唱力の面から(工藤)静香がセンターになった」との発言をしている。このようにシングル曲では工藤の歌唱力に頼るようになったため、「うしろ髪は静香のグループ」という印象を一層強くした。しかしアルバムでは3人それぞれがメインを務める曲が収録され、コンサートではそれぞれがセンターに立つようバランスが取られ、シングルやアルバムのジャケット写真でもリリースごとにセンターが順番に入れ替わるなど、3人の誰のファンであっても(3人とも好きと言う人も含めて)不満の少なくなるような方針が取られていた。

当ユニットは、キャニオン・レコードにおいて音楽的に高度なプロダクションを旨としていた渡辺有三のセクションが担当している。そのため、それまでのおニャン子クラブの制作システムとは異なり、独立したアーティストとして制作が行われた。渡辺による音楽的プロデュースが徹底的になされたことで、当ユニットの楽曲はそれまでのおニャン子クラブやうしろゆびさされ組の作風とは一線を画すものとなっている[5]。可愛さを前面に押し出した曲の多いおニャン子の中で、楽曲自体のパワーとクオリティを追及した異色のユニットであった[1]。うしろ髪の作詞を担当したサエキけんぞうは、3人組のアイドルユニットとしてはキャンディーズperfumeを繋ぐ存在であると評している[6]

当ユニットはレコード売上が好調であったため、1987年9月のおニャン子クラブ本体解散後[注釈 2]も活動が継続された。また『奇面組』に引き続き、後番組『ついでにとんちんかん[注釈 1]の主題歌に起用された。

しかし以下の背景により、『ひらけ!ポンキッキ』の主題歌「ご期待下さい!」が事実上のラストシングルとなった。

  • 1987年8月からすでにソロ活動を開始していた工藤の人気が上昇し、また連続ドラマへの出演が続いたことでスケジュールが厳しくなった。
  • 1988年4月に出演した『夜のヒットスタジオDELUXE』において、生稲が5月21日に、また斉藤が7月にソロシングルをリリースすることが発表された[注釈 3]

うしろ髪としては、5月2日のファーストコンサート追加公演(東京厚生年金会館)を最後に活動を停止したが、今までに正式な解散発表やその旨の明言などはない。生稲は、2021年にユーチューブの動画配信で「解散していません」と明言している。[1]

メンバー[編集]

名前 生年月日
(現年齢)
血液型 出身地 備考
生稲 晃子
(いくいな あきこ)
1968年4月28日
(55歳)
B型 東京都小金井市 2022年より参議院議員
自由民主党所属)
工藤 静香
(くどう しずか)
1970年4月14日
(54歳)
B型 東京都羽村市 木村拓哉の妻
斉藤 満喜子
(さいとう まきこ)
1970年9月19日
(53歳)
A型 広島県

作品[編集]

シングル[編集]

タイトル
(カップリング)
発売日 レーベル 形態 規格品番 最高位 売上枚数
おニャン子クラブ時代
1st 時の河を越えて
(うしろ髪ひかれたい)
1987年05月07日 CANYON EP 7A0717 1位 11.4万枚
CT 10P3077
1988年05月21日 PONY CANYON CD S10A-0089 --位 --万枚
2019年01月09日 PONY CANYON MEG-CD 7AH-00717 --位 --万枚
2020年12月16日 Victor Entertainment MEG-CD VODL-31024 --位 --万枚
2nd あなたを知りたい
(立つ鳥跡を濁さず)
1987年08月12日 CANYON EP 7A0717 2位 9.6万枚
CT 10P3132
1988年05月21日 PONY CANYON CD S10A-0090 --位 --万枚
2019年01月09日 PONY CANYON MEG-CD 7AH-00757 --位 --万枚
2020年12月16日 Victor Entertainment MEG-CD VODL-31029 --位 --万枚
おニャン子クラブ解散後
3rd メビウスの恋人
(ごめんねカウボーイ)
1987年11月11日 PONY CANYON EP 7A0796 4位 8.6万枚
CT 10P3175
1987年12月05日 PONY CANYON CD D15A-0336 --位 --万枚
2019年01月09日 PONY CANYON MEG-CD 7AH-00796 --位 --万枚
2020年12月16日 Victor Entertainment MEG-CD VODL-31034 --位 --万枚
4th ほらね、春が来た
(誰も知らないブルーエンジェル)
1988年02月25日 PONY CANYON EP 7A0815 6位 9.9万枚
CT 10P13197
CD S10A-0005
2019年01月09日 PONY CANYON MEG-CD 7AH-00815 --位 --万枚
2020年12月16日 Victor Entertainment MEG-CD VODL-31038 --位 --万枚
5th ご期待下さい!
(今日はサイコー!)
1988年04月29日 PONY CANYON EP 7A0852 12位 5.6万枚
CT 10P13231
CD S10A-0028

アルバム[編集]

タイトル 発売日 レーベル 形態 規格品番 最高位 売上枚数
1st うしろ髪ひかれ隊 1987年09月05日 CANYON LP C25A0591 4位 9.7万枚
CT 25P7463
CD D30A-0310
1989年06月21日 PONY CANYON CD(再) D27A-1021 --位 --万枚
2nd BAB 1988年03月21日 PONY CANYON LP C28A0627 6位 10.2万枚
CT 28P6785
CD D32A-0353
LIVE ほらね、春が来た
FIRST CONCERT '88
1988年07月06日 PONY CANYON LP C28A0650 13位 2.4万枚
CT 28P6822
CD D32A-0376
BEST MYこれ!クション
うしろ髪ひかれ隊BEST
2001年12月05日 PONY CANYON CD PCCA-01614 --位 --万枚
BEST うしろゆびさされ組
+うしろ髪ひかれ隊
SINGLESコンプリート
2007年07月18日 PONY CANYON CD PCCS-00016 253位 --万枚
再発盤
BEST
BAB
+シングルコレクション
2008年07月16日 PONY CANYON CD PCCS-00016 253位 --万枚
BEST Myこれ!Lite
うしろ髪ひかれ隊
2010年04月21日 PONY CANYON CD PCCS-00101 --位 --万枚
2016年05月18日 CD(再) PCCS-50008 --位 --万枚
BEST ザ・プレミアムベスト
うしろ髪ひかれ隊
2012年11月21日 PONY CANYON CD PCCA-03749 --位 --万枚

ビデオ[編集]

タイトル 発売日 レーベル 形態 規格品番
1st Made in Hawaii 1988年03月10日 PONY CANYON VHS V78M1625
LD G78M0244
2nd ほらね、春が来た
FIRST CONCERT '88
1988年06月20日 PONY CANYON VHS V48M1693
LD G48M0264

写真集[編集]

タイトル 発売日 出版社
1st Made in Hawaii 1988年02月19日 フジテレビ出版

出演[編集]

ラジオ[編集]

イベント出演[編集]

テレビドラマ[編集]

タイアップ[編集]

楽曲 タイアップ
時の河を越えて フジテレビ系アニメ『ハイスクール!奇面組』オープニングテーマ
フジテレビ系『月曜ドラマランド』エンディングテーマ
ローソン CMソング
うしろ髪ひかれたい フジテレビ系アニメ『ハイスクール!奇面組』エンディングテーマ
あなたを知りたい フジテレビ系アニメ『ハイスクール!奇面組』オープニングテーマ
ローソン CMソング
立つ鳥跡を濁さず フジテレビ系アニメ『ハイスクール!奇面組』エンディングテーマ
メビウスの恋人 フジテレビ系アニメ『ついでにとんちんかん』エンディングテーマ
ごめんねカウボーイ フジテレビ系アニメ『ついでにとんちんかん』オープニングテーマ
ほらね、春が来た フジテレビ系アニメ『ついでにとんちんかん』オープニングテーマ
誰も知らないブルーエンジェル フジテレビ系アニメ『ついでにとんちんかん』エンディングテーマ
ご期待下さい! フジテレビ系『ひらけ!ポンキッキ』オープニングテーマ
今日はサイコー! フジテレビ系『ひらけ!ポンキッキ』エンディングテーマ

娘分ユニット[編集]

AKB48の派生ユニットである渡り廊下走り隊(→渡り廊下走り隊7)が、うしろ髪の娘分として2009年から2014年まで活躍した。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ a b 『奇面組』『とんちんかん』ともに、当時『週刊少年ジャンプ』(集英社刊)にて連載されていた作品である。
  2. ^ なお、同グループが出演していた『夕やけニャンニャン』は同年8月に終了している。
  3. ^ 生稲のソロデビューシングルである「麦わらでダンス」は、『ついでにとんちんかん』の末期の主題歌として使用された。

出典[編集]

  1. ^ a b おニャン子クラブと永遠のグループアイドル 2003, p. 78.
  2. ^ a b 80年代アイドルcollection 2017, p. 92.
  3. ^ おニャン子白書 1987, p. 142.
  4. ^ 「Cover Special うしろ髪ひかれ隊 一人がいるから二人がいる、二人がいるから一人がいる。」『ORICON WEEKLY』1987年5月11日号、オリジナルコンフィデンス、7-9頁。 
  5. ^ おニャン子クラブと永遠のグループアイドル 2003, p. 56-57.
  6. ^ 80年代アイドルカルチャーガイド 2013, p. 124.

参考文献[編集]

  • 『おニャン子白書』フジテレビ出版、1987年8月24日。ISBN 4-594-00169-6。C0076。 
  • 『80年代アイドルカルチャーガイド』洋泉社〈洋泉社MOOK〉、2013年10月26日。ISBN 978-4-8003-0227-4。C9472。 
  • 『別冊宝島907 音楽誌が書かないJポップ批評31 おニャン子クラブと永遠のグループアイドル』宝島社別冊宝島〉、2003年11月28日。ISBN 4-7966-3691-9。C9473。 
  • 『別冊宝島2611号 80年代アイドルcollection』宝島社別冊宝島〉、2017年9月7日。ISBN 978-4-8002-7122-8。C9476。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]