ワガドゥグー

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ワガドゥグー
Ouagadougou
ワガドゥグーの大学とモニュメント(2017年)
ワガドゥグーの大学とモニュメント(2017年)
愛称 : Ouaga
位置
ブルキナファソ中央部に位置するワガドゥグーの位置図
ブルキナファソ中央部に位置するワガドゥグー
位置
ワガドゥグーの位置(ブルキナファソ内)
ワガドゥグー
ワガドゥグー
ワガドゥグー (ブルキナファソ)
ワガドゥグーの位置(アフリカ内)
ワガドゥグー
ワガドゥグー
ワガドゥグー (アフリカ)
地図
座標 : 北緯12度21分26秒 西経1度32分7秒 / 北緯12.35722度 西経1.53528度 / 12.35722; -1.53528
歴史
建設 11世紀
行政
ブルキナファソの旗 ブルキナファソ
 地方 中部地方
 県 カディオゴ県
 郡 ワガドゥグ郡(カディオゴ郡)
 市 ワガドゥグー
市長 シモン・コンパオレ
地理
面積  
  市域 2,805 km2
人口
人口 (2012年現在)
  市域 1,626,950人
    人口密度   580.02人/km2
その他
等時帯 グリニッジ標準時 (UTC+0)
夏時間 なし
公式ウェブサイト : http://www.mairie-ouaga.bf/

ワガドゥグー あるいはワガドゥーグー[1]: Ouagadougou)は、ブルキナファソ首都で同国最大の都市である。 2012年の人口は162.7万人。

歴史[編集]

11世紀に、ワガドグ王国の首都として設立される。1441年モシ王国の首都となった。16世紀に、北方のソンガイ帝国と豊富な砂金を産する南方のアカン国の中継点として栄えた。

1896年にはフランス軍の駐屯地がおかれてその支配下に入り[2]、1919年にオートボルタ植民地が成立すると[3]その政庁が置かれ、人口が増加した[4]。1933年にはオートボルタ植民地は解体されて周辺植民地へと分割併合されたが、モシ王の座所としての地位は変わらず、1945年に入るとモシ王の元でオートボルタ植民地の再興運動が開始され、1947年には再びオートボルタ植民地が置かれてワガドゥグーはその首府となった[5]

地理[編集]

同国の中央部(北緯12度20分、西経1度40分)に位置する内陸都市である。直径10 kmの盆地全体に街が広がる。標高は316 mである。

都心北部にあるバングル・ウェオゴ国立公園フランス語版には3つの貯水池があり、都市部でありながらサバナ森林などの多様な生態系と高い生物多様性を有する。動物の多くはナイルスッポン属英語版キタフタスッポン属英語版ローンアンテロープ英語版などの導入種であるが、植物の生物多様性のホットスポットとしてカヤ・セネガレンシス英語版シアーバターノキなどの絶滅危惧種の植物が生えている。一帯は2019年にラムサール条約登録地となった[6]

気候[編集]

ケッペンの気候区分によると、ステップ気候 (BS) に区分される。1月の平均気温は24.9 ℃、7月は27.4 ℃。5月から11月が雨季であり、特に8月は非常に多くの雨が降る。乾季は非常に乾燥し、比較的最低気温は低下し易い。

ワガドゥグー (1971–2000, 極値 1902–現在)の気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
最高気温記録 °C°F 39.8
(103.6)
42.3
(108.1)
43.8
(110.8)
46.1
(115)
44.5
(112.1)
41.3
(106.3)
38.8
(101.8)
36.6
(97.9)
38.6
(101.5)
41.0
(105.8)
40.5
(104.9)
40.1
(104.2)
46.1
(115)
平均最高気温 °C°F 32.9
(91.2)
35.8
(96.4)
38.3
(100.9)
39.3
(102.7)
37.7
(99.9)
34.7
(94.5)
32.1
(89.8)
31.1
(88)
32.5
(90.5)
35.6
(96.1)
35.9
(96.6)
33.4
(92.1)
34.9
(94.8)
平均最低気温 °C°F 16.5
(61.7)
19.1
(66.4)
23.5
(74.3)
26.4
(79.5)
26.1
(79)
24.1
(75.4)
22.8
(73)
22.2
(72)
22.4
(72.3)
23.0
(73.4)
19.6
(67.3)
16.9
(62.4)
21.9
(71.4)
最低気温記録 °C°F 8.5
(47.3)
10.4
(50.7)
14.8
(58.6)
16.2
(61.2)
17.0
(62.6)
17.0
(62.6)
15.0
(59)
17.9
(64.2)
17.6
(63.7)
17.6
(63.7)
13.0
(55.4)
9.5
(49.1)
8.5
(47.3)
雨量 mm (inch) 0.1
(0.004)
0.5
(0.02)
5.9
(0.232)
26.5
(1.043)
66.8
(2.63)
97.5
(3.839)
176.2
(6.937)
214.2
(8.433)
121.2
(4.772)
33.5
(1.319)
1.2
(0.047)
0.2
(0.008)
743.8
(29.283)
平均降雨日数 (≥0.1 mm) 0 0 1 3 8 10 14 16 11 5 0 0 68
湿度 24 21 22 36 50 64 72 80 77 60 38 29 48
平均月間日照時間 287 263 264 256 277 264 240 223 217 273 288 284 3,136
出典1:World Meteorological Organization,[7] Meteo Climat (record highs and lows)[8]
出典2:ドイツ気象局 (humidity, 1961–1967, and sun, 1961–1990)[9][10][注釈 1]

経済[編集]

ワガドゥグー市内の喧騒 国連広場周辺

同国の政治経済文化の中心地だが、産業食品加工繊維工業に限られる。市内にはワガドゥグー大学英語版があり、西アフリカ諸国中央銀行本部などいくつかの近代建築物も見受けられるが、都市全体としては開発が遅れている。

交通[編集]

空港[編集]

国際空港ワガドゥグー空港)がある。

鉄道[編集]

アビジャン・ニジェール鉄道フランス語: Sitarail)で南西に向かうとコートジボワール最大の港湾都市アビジャンに(ブルキナファソの鉄道も参照)至る。

道路[編集]

道路で東に向かうとニジェールの首都ニアメに接続する。交通の要衝である。

教育[編集]

文化[編集]

まだオートボルタ共和国であった時代[注釈 2]、1966年以降はクーデターが発生するようになった[11]。そのような状況下の1969年に、西アフリカ諸国に限定された映画祭として、FESPACO(Festival panafricain du cinéma et de la télévision de Ouagadougou)が初めて開催された[12]。1983年にもクーデターが発生し、1984年に国名がブルキナファソに変更されたものの[11]、ワガドゥグ全アフリカ映画祭は開催され続けた[12]。こうして、1969年以来、2年に1回の頻度で開催されてきた、この映画祭は、アフリカにおける主要な映画祭の1つに成長した。なお、21世紀初頭時点では、西アフリカだけでなく、アフリカ全土の映画が出品されていただけでなく、ヨーロッパ諸国の映画も出品されていた[12]

スポーツ[編集]

複数のサッカークラブがある。

治安[編集]

  • 2014年10月30日 - ブレーズ・コンパオレ大統領に対するデモが暴動となり、市内中心部が混乱した。暴徒が国民議事堂などを焼き討ちした後、略奪行為が発生した[13]
  • 2016年1月15日 - アルカイーダ系の武装組織AQIMによるスプレンディド ホテルへの襲撃が行われ28人が死亡した。その中にはスイスの政治家Jean-Noël Reyも含まれていた[14][15]
  • 2017年8月13日 - 武装した2名が市内のレストランを襲撃し、少なくとも18人が死亡した[16]
  • 2018年3月2日 - 武装勢力が陸軍本部とフランス大使館を襲撃。銃撃戦に発展し、7人が死亡した[17]

出身有名人[編集]

姉妹都市[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ Station ID for Ouagadougou is 65503 Use this station ID to locate the sunshine duration
  2. ^ 1960年は「アフリカの年」とも呼ばれ、この年にアフリカの17の国が独立した。オートボルタ共和国も、その中の1国である。

出典[編集]

  1. ^ 日本国語大辞典, 日本大百科全書(ニッポニカ),デジタル大辞泉,精選版. “ワガドゥーグーとは”. コトバンク. 2022年8月17日閲覧。
  2. ^ 「西アフリカ内陸の近代 国家を持たない社会と国家の歴史人類学」p242 中尾世治 風響社 2020年8月20日発行
  3. ^ 「西アフリカ内陸の近代 国家を持たない社会と国家の歴史人類学」p292 中尾世治 風響社 2020年8月20日発行
  4. ^ 「西アフリカ内陸の近代 国家を持たない社会と国家の歴史人類学」p299 中尾世治 風響社 2020年8月20日発行
  5. ^ 「西アフリカ内陸の近代 国家を持たない社会と国家の歴史人類学」p385-393 中尾世治 風響社 2020年8月20日発行
  6. ^ Complexe du Parc Urbain Bãngr – Weoogo et du lac des trois barrages | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2019年1月19日). 2023年4月20日閲覧。
  7. ^ World Weather Information Service – Ouagadougou Aero”. World Meteorological Organization. 2016年6月13日閲覧。
  8. ^ Station Ouagadougou” (French). Meteo Climat. 2016年6月13日閲覧。
  9. ^ Klimatafel von Ouagadougou / Burkina Faso (Obervolta)” (German). Baseline climate means (1961–1990) from stations all over the world. Deutscher Wetterdienst. 2016年6月13日閲覧。
  10. ^ Station 65503: Ouagadougou”. Global station data 1961–1990—Sunshine Duration. Deutscher Wetterdienst. 2016年6月13日閲覧。
  11. ^ a b 二宮書店編集部 『Data Book of The WORLD (2012年版)』 p.463 二宮書店 2012年1月10日発行 ISBN 978-4-8176-0358-6
  12. ^ a b c 辻原 康夫 『早わかり 世界の国ぐに』 p.216 平凡社 2004年7月14日発行 ISBN 4-582-83229-6
  13. ^ “反大統領デモ発生のブルキナファソ、軍が政権掌握を宣言”. AFPBBNews (フランス通信社). (2014年10月31日). https://www.afpbb.com/articles/-/3030460 2014年11月1日閲覧。 
  14. ^ Ouagadougou blasts: Burkina Faso capital hit by gunfire”. BBC News. 2016年1月15日閲覧。
  15. ^ “Gunmen attack hotel, take hostages in Burkina Faso capital”. (2015年1月15日). http://www.france24.com/en/20160115-shots-explosions-heard-hotel-burkina-faso-capital-ouagadougou 
  16. ^ ブルキナファソで武装勢力がレストラン襲撃-少なくとも18人死亡”. ブルームバーグ (2017年8月14日). 2018年3月5日閲覧。
  17. ^ ブルキナファソ首都で軍本部と仏大使館襲撃、7人死亡”. CNN (2018年3月3日). 2018年3月5日閲覧。

外部リンク[編集]