ヤリカタギ

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ヤリカタギ
ヤリカタギ
保全状況評価[1]
NEAR THREATENED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : スズキ亜目 Percoidei
: チョウチョウウオ科 Chaetodontidae
: チョウチョウウオ属 Chaetodon
: ヤリカタギ C. trifascialis
学名
Chaetodon trifascialis
Quoy & Gaimard, 1825
和名
ヤリカタギ
英名
Chevron butterflyfish

ヤリカタギ(槍担、学名:Chaetodon trifascialis)とは、スズキ目チョウチョウウオ科チョウチョウウオ属に属する海水魚の一種である。

名称[編集]

別称及び地方名[編集]

カーサー、カーサグァー(共に沖縄県)[2]

どちらもチョウチョウウオ科の魚の総称である。

英名は、本種の体側の模様が山の形に見えることに由来する[3]

特徴[編集]

生息域[編集]

紅海東アフリカからインド太平洋に分布。

水深30mより浅いサンゴ礁に生息する[4]

体長[編集]

最大で18cmほど[5]

形態[編集]

幼魚
ミドリイシを食べるヤリカタギ
夜間の体色

チョウチョウウオ科の中では最も細長い体型である[3]

体側の模様はミカドチョウチョウウオなどに似ているが、体高が低く、背鰭や臀鰭は黄色で、その後方が角ばり、白く縁取られることにより区別することができる。

成魚の尾鰭は黒く、幼魚は黄色いため、見分けることが可能。成魚・幼魚ともに眼を通る黒色帯がある。

サンゴのポリプの中でもミドリイシ種を好んで食性とし[6]、ミドリイシ種のテーブルサンゴの間を泳ぐ本種が見られ、その場からあまり離れずに泳ぐ[7]

夜になると体色が変化し、体の中央部に模様が現れる。

人との関わり[編集]

飼育[編集]

観賞魚。ポリプ食の本種は餌付けが難しく、縄張り意識が強いため、チョウチョウウオ科の魚の中でも特に飼育が難しい[8]

その他[編集]

ヤリカタギは餌となるサンゴの白化の影響で近年減少しつつあり[1]、「準絶滅危惧」と判定されている[6]

脚注[編集]

  1. ^ a b Carpenter, K.E. & Pratchett, M. 2010. Chaetodon trifascialis. The IUCN Red List of Threatened Species 2010: e.T165712A6098323. doi:10.2305/IUCN.UK.2010-4.RLTS.T165712A6098323.en. Accessed on 19 June 2022.
  2. ^ ぼうずコンニャク. “ヤリカタギ”. 市場魚貝類図鑑. 2022年6月16日閲覧。
  3. ^ a b 中村(2003).
  4. ^ Chevroned Butterflyfish, Chaetodon trifascialis (Quoy & Gaimard, 1825)”. オーストラリア博物館. 2022年3月15日閲覧。
  5. ^ Froese, Rainer & Daniel Pauly. “Chaetodon trifascialis”. FishBase. 2022年3月15日閲覧。
  6. ^ a b 名波敦 (2020年8月4日). “地球温暖化チョウチョウウオの食事事情に打撃〜好みのサンゴを特定することで判明〜”. 水産研究・教育機構沿岸生態システム部. 2021年11月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月19日閲覧。
  7. ^ Chevron Butterflyfish, Chaetodon trifascialis, Triangulate Butterflyfish”. Animal-World. 2022年6月19日閲覧。
  8. ^ ヤリカタギ”. GLOSSO (2018年9月21日). 2022年6月16日閲覧。

参考文献[編集]

  • 中村庸夫『チョウチョウウオガイドブック』TBSブリタニカ、2003年、69頁。ISBN 4-484-03404-2 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]