トクビレ

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トクビレ
トクビレPodothecus sachi
おたる水族館飼育展示個体。
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
亜綱 : 新鰭亜綱 Neopterygii
上目 : 棘鰭上目 Acanthopterygii
: カサゴ目 Scorpaeniformes
亜目 : カジカ亜目 Cottoidei
: トクビレ科 Agonidae
亜科 : トクビレ亜科 Agoninae
: トクビレ属 Podothecus
: トクビレ P. sachi
学名
Podothecus sachi
Jordan & Snyder, 1901

トクビレ学名Podothecus sachi)は、カサゴ目トクビレ科に属する魚類の一種。ハッカク(八角)のほか、サチなど多くの地方名をもつ。

名称[編集]

和名のトクビレ(特鰭)は、雄にみられる大きな背鰭と臀鰭から付けられた。北海道と関東ではハッカクといい、これは角張った体の断面を八角とみた。青森ではサチといい、学名のSachiはこれによる。他にヒグランフナカヘシワカマツなどがある。北海道では雄をワカマツ、雌をマツヨ、あるいは雄をカクヨ、雌をソビヨと呼び分ける地域もある[1][2]

概要[編集]

国立科学博物館の展示の剥製

トクビレは北日本ピョートル大帝湾朝鮮半島の東岸など、太平洋北西部を中心に分布する海水魚である。沿岸の浅い海で暮らす底生魚で、岩礁や砂泥に体を横たえ、甲殻類多毛類を主に捕食する。

体は細長く角張っていて、頭が鼻先に向けて尖る。ホウボウの仲間と類似し、体長40-50cmほどにまで成長する。背鰭は8-10本の棘条と12-14本の軟条で構成される。の形態に性的二形があり、雄の第2背鰭と臀鰭の軟条が異様に長く発達する。(口先)が長く突き出ており、腹側に10本以上の短い口ヒゲを有することが、近縁種との明瞭な鑑別点となる[1]

本種は味の良い白身魚で、日本では底引き網定置網刺網などで漁獲される。刺身塩焼き干物軍艦焼き(腹に味噌を詰めて焼く郷土料理)など、さまざまな調理法が知られている[1]

出典・脚注[編集]

  1. ^ a b c 『日本の海水魚』 p.238
  2. ^ 山下諭一「ハッカクの塩焼き」、石毛直道・奥村彪生・神崎宣武・山下諭一・編『日本の郷土料理』1(北海道・東北I)24頁、ぎょうせい、1986年。

参考文献[編集]

外部リンク[編集]