シリア・ポンド

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シリア・ポンド
الليرة السورية (アラビア語)
ISO 4217
コード
SYP
中央銀行シリア中央銀行
 ウェブサイトwww.banquecentrale.gov.sy
使用
国・地域
シリアの旗 シリア
インフレ率3,8%
 情報源The World Factbook, 2009 est.
補助単位
 1/100ピアストル
硬貨1, 2, 5, 10, 25 ポンド
紙幣50, 100, 200, 500, 1000, 2000, 5000 ポンド

シリア・ポンド(Syrian pound)は、シリア通貨。現地ではリーラ(リラ)と呼ばれる。通貨の補助単位はピアストル(カルシュとも呼ばれる)

第一次世界大戦まではこの地域はオスマン帝国領だったため、トルコ・リラが使用されていた。大戦中にイギリスに占領されるとエジプト・ポンドが流通したが、大戦後にフランス委任統治領となるとシリア・ポンドの発行が始まった。

硬貨[編集]

1921年に、½カルシュ白銅貨が発行され、続いて1926年にはアルミニウム青銅貨に2カルシュ及び5カルシュ貨が発行された。1929年には、ニッケル黄銅貨の1カルシュと、銀貨の10、25、50カルシュが導入された。1935年には½カルシュ黄銅貨、1940年には亜鉛1カルシュとアルミニウム青銅½カルシュが発行された。1947年から1948年には2½、5、10、25、50カルシュと1ポンド貨が発行され、1968年には銀からニッケルに材質が変わった。1996年には1、2、5、10、25ポンド貨が発行された。

紙幣[編集]

1919年、シリア銀行が5、25、50カルシュと1、5ポンドの発行を開始した。続いて1920年には1カルシュ、10、25、50、100ポンド紙幣を発行開始した。1942年から1944年にかけて、5、10、25、50カルシュ紙幣が導入された。1958年には紙幣の言語がフランス語から英語に変わり、1、5、10、25、50、100、500ポンド紙幣が発行された。

額面 発行年 表面 裏面
1ポンド 1958年 工場労働者 ハマーの水車
5ポンド アレッポ城
10ポンド ウマイヤ・モスク
25ポンド 綿花栽培に従事する女性 アル=アズム宮殿英語版
50ポンド ヤウズ・セリム・モスク英語版
100ポンド ハドリアヌスの凱旋門
500ポンド ウガリットの彫刻作品 ベル神殿から発掘された皿

1966年には25,50,100ポンド紙幣の図案が変更された。

額面 発行年 表面 裏面
25ポンド 1966年 機を織る男性 ボスラローマ劇場
50ポンド コンバインを操作する男性 ダマスカス国立博物館英語版
100ポンド ラタキアカントリーエレベーター ダム

1977年にはさらに、500ポンド以外の紙幣のデザインが刷新された。

額面 発行年 表面 裏面
1ポンド 1977年 ウマイヤ・モスク、職人 コンバインを用いた農耕
5ポンド ボスラのローマ劇場、アッラート 精紡機、綿花栽培
10ポンド アル=アズム宮殿、女性 海水淡水化施設
25ポンド クラック・デ・シュヴァリエサラーフッディーン シリア中央銀行英語版庁舎
50ポンド タブカ・ダム英語版シュメールの女神像 アレッポ城
100ポンド ハドリアヌスの凱旋門、ゼノビア女王 穀物の荷下ろし施設

1997年から1998年には50、100、200、500、1000ポンド紙幣が発行されるようになった。

額面 発行年 表面 裏面
50ポンド 1997年 アレッポ城、ハマーの水車 アビシアン・スタジアム、アル=アサド国立図書館英語版、学習する子供たち
100ポンド ボスラのローマ劇場、軍人皇帝ピリップス・アラブス ヒジャーズ鉄道ヒジャーズ駅
200ポンド 1998年 無名戦士の墓、サラーフッディーンの騎馬像 綿織業
500ポンド 1997年 パルミラ遺跡、女王ゼノビア タブカ・ダムとトラクターによる灌漑
1000ポンド 1998年 ハーフィズ・アル=アサド大統領、ウマイヤ・モスク  石油採掘、船舶、コンバインを用いた農業

2009年から新シリーズの50、100、200、500、1000ポンド紙幣の発行が順次スタートした。2015年には2000ポンド紙幣が、2019年には5000ポンド紙幣が新たに発行されるようになった。

額面 発行年 表面 裏面
50ポンド 2009年 ウガリットの楔形文字 ダマスカス図書館、ハーフィズ・アル=アサド大統領の銅像
100ポンド ボスラの門とローマ劇場 ウマイヤ・モスク、シリア中央銀行庁舎
200ポンド ハマーの水車 ベル神殿の壁の模様
500ポンド 2013年 ダマスカス・オペラ・ハウス英語版 楽器を演奏している絵画、古い楽譜
1000ポンド ボスラのローマ広場 スワイダーの遺跡から発掘されたモザイク画
2000ポンド 2015年 バッシャール・アル=アサド大統領 人民議会の議場
5000ポンド 2019年 国旗に敬礼する兵士 バアルシャミン遺跡英語版の壁画

10シリアポンド貨のノルウェーにおける問題[編集]

10シリア・ポンド貨と20ノルウェー・クローネ貨は材質や形状が酷似しており、自動販売機において機械が判別できず、不正使用が行われることで知られている。肉眼では容易に判別可能であるが、重量や材質、形状が同一のため、機械には判別できない。2007年11月23日のレートにおいて、10シリアポンドは1.07ノルウェー・クローネと等価であるため、およそ18.6倍の価値があることになる。この不正使用で大きな被害を受けたノルウェー郵便局は、2006年2月18日に硬貨両替機を閉鎖し、新たに2つの硬貨が判別できるシステムを開発することとした。2005年の夏には、ノルウェー南部バールムのアーケードゲーム機で硬貨を不正使用した男が、執行猶予付き30日の刑を言い渡された[1]

為替レート[編集]

現在のSYPの為替レート
Google Finance: AUD CAD CHF CNY EUR GBP HKD JPY/円USD
Yahoo! Finance: AUD CAD CHF CNY EUR GBP HKD JPY/円USD
Yahoo! ファイナンス: AUD CAD CHF CNY EUR GBP HKD JPY/円USD
XE: AUD CAD CHF CNY EUR GBP HKD JPY/円USD
OANDA: AUD CAD CHF CNY EUR GBP HKD JPY/円USD

脚注[編集]

  1. ^ Andersen, Øystein (2006年2月18日). “Myntsvindlere herjer i Oslo” (ノルウェー語). Dagbladet (DB Medialab AS). http://www.dagbladet.no/nyheter/2006/02/18/458229.html 2010年10月16日閲覧。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]