シラヒゲウニ

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シラヒゲウニ
シラヒゲウニ(和歌山県田辺市天神崎
分類
: 動物界 Animalia
: 棘皮動物門 Echinodermata
: ウニ綱 Echinoidea
: ホンウニ目 Echinoida
: ラッパウニ科 Toxopneustidae
: シラヒゲウニ属 Tripneustes
: シラヒゲウニ T. gratilla
学名
Tripneustes gratilla
(Linnaeus1758)
シノニム
和名
シラヒゲウニ
英名
collector urchin[3]
striped sea urchin[4]
亜種[5]
  • Tripneustes gratilla elatensis Dafni, 1983
  • Tripneustes gratilla gratilla (Linnaeus1758)

シラヒゲウニ(白髭海栗、 Tripneustes gratilla (Linnaeus1758) )は、大柄なウニ類の1種。短い棘には朱っぽいものと白いものが混じる。沖縄、奄美では食用とされる。

特徴[編集]

直径は大きいものでは10cmまで、高さは6cmにも及ぶ大型種[6][7]。殻は丸みのある五角形で、口側(下側)は平らで、上側は円錐形。歩帯の幅が広く、その中央部が反口側では間歩帯の中央部と共に裸出する。管足は三縦列、大棘は四縦列。間歩帯では大棘が八十列以上あるものの、様々な大きさの棘が入り交じって不明瞭。大棘は短くて先端はとがり、白または赤褐色で、これらの色の違う棘の列が歩帯と間歩帯の配置に対応して縦列をなす。

分布と生息環境[編集]

インド太平洋の熱帯海域に広く分布し、沖縄では普通、日本では南岸部に見られる。潮間帯から潮下帯に生息する[8]。産卵期は7月上旬から8月まで[9]。沖縄ではタイドプールラグーンの砂質の海底に多く、体の上に木の葉や貝殻を貼り付けていることが多い[10]

ただし岡田他(1965)では紀伊半島以南だが相模湾に希産、とある。西村編著(1995)では房総半島、相模湾(希)以南としている。

利害[編集]

沖縄では食用のウニと言えばこの種である。現在では種苗の人工生産も行われている。沖縄県栽培漁業センターでは、たとえば平成24年度には3回出荷し、その総数は23万3千個体であった[11]

他方、近縁のラッパウニ Toxopneustes pileolus (Lamarck1816) と同様に叉棘に毒があるが、滅多に被害はない。食用の生殖腺を取る際に混入して被害を与える例が希にある。2008年の沖縄県における海洋動物の被害状況報告では、本種によるものが1例だけ取り上げられている[12]

出典[編集]

  1. ^ WoRMS Cidaris angulosa
  2. ^ Encyclopedia of life Tripneustes gratilla(synonyms)
  3. ^ Encyclopedia of life Tripneustes gratilla
  4. ^ SeaLifeBase Tripneustes gratilla
  5. ^ Encyclopedia of life Tripneustes gratilla(related names)
  6. ^ 以下、主として岡田他(1965),p.73
  7. ^ この大きさはウニ類で最大レベルではないが、日本でよく知られるムラサキウニなどが径7cm程度なので、一回りは大きい。
  8. ^ 西村編著(1995),p.545
  9. ^ 岡田他(1965),p.73
  10. ^ 安座間編(1976)p.278
  11. ^ 大城他(2012)
  12. ^ 神谷他(2009)

参考文献[編集]

  • 岡田要,『新日本動物図鑑 〔下〕』(1965)、図鑑の北隆館
  • 西村三郎(編著) 『原色検索日本海岸動物図鑑(1)』 保育社、1992年。
  • 安座間喜勝編、『生態写真集 沖縄の生物』、(1976)、新星図書
  • 大城信弘、他.(2012)「シラヒゲウニの種苗生産」、沖栽セ事報.平成24年度
  • 神谷大二郎他、(2009)「沖縄県における海洋危険生物刺咬傷被害 ―2008年―」、沖縄健衛生環境研究所報告。第43号