ザーネン

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エングシュトリゲンアップの雌ヤギ
マリ・エル共和国セルヌルで商業的に生産されるザーネンの群れ。角のあるものもないものもいる。

ザーネン(Saanen)は、スイスで育成した家畜ヤギである。ベルン州ベルナー・オーバーラントザーネンタールに因んで名づけられた。非常に生産性の高い乳用ヤギで、世界の80カ国以上に分布している[1]

歴史[編集]

ザーネンは、ザーネン歴史的地区及びその近隣のシンメンタールが発祥で、どちらもスイス西部にあるベルン州の南部に位置するベルナー・オーバーラント内にある[2]。生産性が非常に高いため、19世紀には、世界中の多くの国に輸出された。

80か国以上で飼育されていると報告されており、合計で90万頭以上といわれる[1]。これらのうち、約14000頭がスイスにいる[3]:404

特徴[編集]

ザーネンは、スイスのヤギでは最大であり[3]:404、オスの体高は約90cm、体重は小さいものでも85kgある[4]。白い皮膚に短く白い毛が生えており、小さな色のついた模様があることもある[4]。角はあることもないこともあり、肉垂はある。耳は直列していて、上前面を向いている[3]:404

利用[編集]

ザーネンはスイスで最も乳の生産量が多いヤギであり[3]:404、世界でも最も最も乳の生産量が多いヤギである[3]:345授乳期間の264日間で、平均838kgの乳を生産する[3]:404。乳は最低で3.2%の脂質、2.7%のタンパク質を含む[4]

粗放栽培には向かず、集約農業で育てられる。皮膚の色が薄いため、強い日光には耐えられない[3]:404

その生産性のため、世界中に輸出されており、しばしば地元のヤギと交雑し、亜品種を作っている。これらの地域の変種の中には、ルーマニアのBanat White、British Saanen、French Saanen、Israeli Saanen、Russian White、ドイツのWeise Deutsche Edelziege、Yugoslav Saanen等がある[3]:404

黒い変種であるSable Saanenは、1980年代にニュージーランドで育成された[3]:398

出典[編集]

  1. ^ a b Transboundary breed: Saanen. Domestic Animal Diversity Information System of the Food and Agriculture Organization of the United Nations. Accessed October 2016.
  2. ^ Saanen/Switzerland. Domestic Animal Diversity Information System of the Food and Agriculture Organization of the United Nations. Accessed October 2016.
  3. ^ a b c d e f g h i Valerie Porter, Lawrence Alderson, Stephen J.G. Hall, D. Phillip Sponenberg (2016). Mason's World Encyclopedia of Livestock Breeds and Breeding (sixth edition). Wallingford: CABI. ISBN 9781780647944.
  4. ^ a b c Rassenstandards (Ausgabe 01.01.2014) (in German). Fédération suisse d'élevage caprin/Schweizerischer Ziegenzuchtverband/Federazione svizzera d'allevamento caprino. Archived 3 February 2015.