コバンザメ

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コバンザメ
ベリーズのサンゴ礁に生息するコバンザメ
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
: コバンザメ科 Echeneidae
: コバンザメ属 Echeneis
: コバンザメ E. naucrates
学名
Echeneis naucrates
Linnaeus, 1758
和名
コバンザメ (小判鮫)
英名
Live sharksucker
sharksucker
suckerfish
頭上の小判型の吸盤

コバンザメ (小判鮫、鮣、Echeneis naucrates) はコバンザメ科に属する魚類の一種。

分類[編集]

サメの名がついているがスズキ目に属し、軟骨魚類のサメ類ではなく近縁でもない、全く無関係な種である。

コバンザメ属 Echeneis は、全世界の熱帯亜熱帯域に分布し、最もよく見られるコバンザメ類であるEcheneis naucrates と、メキシコ湾から南米北岸にかけて分布する Echeneis neucratoides (英名:Whitefin sharksucker)[1]の2種から構成される。

形態[編集]

形態

最大で110 cm・2300 gになるが、通常は70 cm程度。体長は体高の8-14倍程度。背鰭は32-42軟条、臀鰭は29-41軟条。頭部の背面に背びれの変化した小判型の吸盤があり、これで大型のサメ類やカジキ類、ウミガメクジラなどに吸い付き、餌のおこぼれや寄生虫排泄物を食べて暮らす(片利共生)。吸盤には横(背骨と垂直方向)に18-28枚の隔壁がある[2]。この隔壁はふだんは後ろ向きに倒れており、動いている大きな魚の体表などの面に吸盤が接触するとこれらは垂直に立ちあがる。このとき隔壁と隔壁の間の水圧が周囲の海水の圧力より小さくなり、これによって吸盤は面に吸いつく。吸いついたコバンザメを後ろに引くと隔壁の間の水圧はさらに小さくなるので吸盤はさらに強く吸いつく。反対にコバンザメを前に押すと隔壁がもとの位置に倒れるとともに吸盤内の水圧が上がり、吸盤は面からはずれる。このしくみによって、彼らは自分がくっついた大きな魚などが速く泳いでも振り払われずにすみ、また離れたいときは大きな魚などより少し速く泳ぐだけで簡単に離れることができる。また、隔壁には0.1mmほどの細かい骨が付いており、吸盤で吸い付くとともに骨が滑り止めともなっている[要出典]

体側には太い黒線と、その上下を走る細い白線がある[2]

生態[編集]

腹を上にしてウミガメに付着する

生息深度は20-50 m。大型の海洋生物などに付着して生活するが、サンゴ礁の沿岸では単独で見られることも多い[2]

幼魚はサンゴ礁域で掃除魚として生活することもある[2]。成魚に付着することもある。

また、付着せずに砂地に集まって近くの生け簀の餌のおこぼれを食べるものが奄美大島で確認されている。[3]

人間との関係[編集]

一般に食用にされることはないが、まれに定置網などに入り、産地や漁業者などは食用にする。白身魚であり美味と言われている。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2006). "Echeneis neucratoides" in FishBase. April 2006 version.
  2. ^ a b c d Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2006). "Echeneis naucrates" in FishBase. April 2006 version.
  3. ^ NHK、2020年8月9日、ダーウィンが来た!「ひっつかないコバンザメ!奄美の海で謎の大集結」

出典[編集]