コジャノメ

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コジャノメ
M. f. perdiccas
日本亜種 M. f. perdiccas
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: チョウ目(鱗翅目) Lepidoptera
上科 : アゲハチョウ上科 Papilionoidea
: タテハチョウ科 Nymphalidae
亜科 : ジャノメチョウ亜科 Satyrinae
: コジャノメ属 Mycalesis
: コジャノメ M. francisca
学名
Mycalesis francisca
(Stoll, 1780)
和名
コジャノメ(小蛇目)
英名
The Lillacine Bushbrown
亜種
  • M. f. formosana
  • 日本産亜種 M. f. perdiccas

コジャノメ(小蛇目、学名 Mycalesis francisca)は、チョウ目(鱗翅目)タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科分類されるチョウの一種。

分布[編集]

東アジア東南アジア日本朝鮮半島台湾中国(東北部から中南部)、ベトナムタイミャンマーおよびヒマラヤ)に分布する。

日本では東北地方南部から四国九州対馬種子島屋久島を含まない)にかけて分布する。青森県などでは迷蝶として観察されることがある。 日本および朝鮮半島産は亜種 perdiccas Hewitson, [1862] とされている。

特徴[編集]

大きさはモンシロチョウほど。後翅裏面に眼状紋が 7つ、比較的はっきり表れる点で判別される場合があるが、これには地域差・季節差がある。翅表は一様に茶褐色で、前翅後縁左右に一対の大きな眼状紋、その上に2~3個の眼状紋がある。

ヒメジャノメに似るが、本種は翅裏の地色が濃く、白色帯は円弧を描きやや紫藍色がかる(ヒメジャノメでは黄色がかる)ところで区別される。また本種は北海道にはいない。

暗く陰気なイメージであるが、茶色の濃淡に金環の眼状紋を乗せた翅はなかなか気品がある。が、この眼状紋をもつがゆえに鳥などに襲われることも。

生活史[編集]

成虫は、暖地では 5月上旬から 9月頃にかけて見られ、年2化。地域によっては年3化の場合もある。

低地から山地までで見られるが、高山帯などの寒冷地や都市化した地域では見られず、生息地は森林とその付近に限られる。 カブトムシなどを採りに密林や藪に入ると、低い位置をちらちら飛んでいるのを見かける。チョウらしからず暗い所を好み、には見向きもせず樹液や鳥糞に群がる。

クロヒカゲと同じように、薄暗い樹海などに生息するが、クロヒカゲがある程度高所を敏捷に飛ぶのに対し、本種は草の合間を縫うように低く飛ぶ。また、長時間長距離飛ぶことを嫌い、すぐ止まる傾向がある。

幼虫食草チヂミザサカヤツリグサなどのタケササ類およびススキなどのイネ科植物。幼虫で越冬する。

参考文献[編集]

  • 猪又敏男編・解説、松本克臣写真 『蝶』 山と溪谷社〈新装版山溪フィールドブックス〉、2006年、ISBN 4-635-06062-4
  • 白水隆『日本産蝶類標準図鑑』、学習研究社、2006年、ISBN 4-05-202296-3
  • 牧林功解説 『日本の蝶』成美堂出版、1994年、ISBN 4-415-08045-6
  • 日本環境動物昆虫学会編『チョウの調べ方』文教出版、1998年、ISBN 4-938489-11-2

関連項目[編集]