コクチョウ

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コクチョウ
コクチョウ Cygnus atratus
保全状況評価
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: カモ目 Anseriformes
: カモ科 Anatidae
: ハクチョウ属 Cygnus
: コクチョウ C. atratus
学名
Cygnus atratus
Latham, 1790
和名
コクチョウ
英名
Black Swan
亜種
  • C. a. atratus
  • C. a. sumnerensis (絶滅)
Cygnus atratus

コクチョウ黒鳥、学名:Cygnus atratus)は、カモ目カモ科ハクチョウ属に分類される鳥類。「ブラックスワン」(Black swan)とも呼ばれる。

分布[編集]

オーストラリアに生息する固有種。内陸部の乾燥地帯と、ヨーク岬半島を除く全土に生息している。オオハクチョウなどのように渡りを行わず、季節や環境の変化により移動を行う漂鳥である。オーストラリア唯一の固有のハクチョウ属であるが、コブハクチョウが移入されている。西オーストラリア州の州の鳥。

また、ニュージーランドベルギードイツイタリアオランダスロベニアシンガポール日本茨城県宮崎県)に移入されている[1]

形態[編集]

初列風切羽、二列風切羽が白い。

成鳥は全長110cmから140cm、体重は5kgから6kg、最大で9kg、翼開長は2mである[2]。くちばしは赤く、先端付近に白色の斑点がある。虹彩は赤色。羽毛は全体が黒色だが、初列風切羽から二列風切羽の外側にかけてが白色である。

幼鳥は羽毛は白色でくちばしは黒色、成長するにつれて羽毛が黒くなり、くちばしは赤褐色から赤色へと変わっていく。虹彩は褐色。

分類[編集]

C. a. atratus : 基亜種。オーストラリアに分布。

C. a. sumnerensis : 絶滅種。ニュージーランド亜種。マオリ族の到来以降、狩猟により絶滅した。現在ニュージーランドに見られるコクチョウは、C. a. atratus をオーストラリアから移入したものである。

生態[編集]

食性は草食性で、主に水草を食べる。また、水辺に近い場所や陸上でも、採食することがある。

繁殖期は場所によるが4月から9月。つがいは一生の間、継続する。コクチョウはたいてい、の浅瀬か島に草を積み上げた直径約1.5mのを作る。普通、毎年同じ巣を利用し、必要があれば修復したり立て直す。通常、4-6個を産卵し、雌雄ともに抱卵する。オスとメスは共に巣を守り、一旦ひなが飛べるまでに育つと、家族でえさを探す姿が良く見られるようになる。

乾燥期に湖沼の水が少なくなると水を求め、数百羽の群れになり移動を行う。夜間飛翔することが多い[2]

逸話[編集]

英語にはかつて、無駄な努力を表す言葉として、「黒い白鳥(ブラックスワン)を探すようなものだ」ということわざがあった。それほど黒い白鳥はいないと信じられていたが、1697年に実際にオーストラリアでコクチョウ=「黒い白鳥」が発見され、当時の人々からは驚きをもって迎えられた。この発見によって「常識を疑うこと」、「物事を一変させること」、「自分を絶対視しないこと」の象徴として使われるようになった[3]。またこれを下地にして、「ありえないと思われていたことが突然発生すると、予想されていた場合よりも影響が苛烈になる」というブラック・スワン理論が提唱された[4]

保全状態評価[編集]

LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))

画像[編集]

出典[編集]

  1. ^ コクチョウ 国立環境研究所 侵入生物DB
  2. ^ a b Egerton, L. ed. 2005. Encyclopedia of Australian wildlife. Reader's Digest ISBN 9780864491183
  3. ^ マクラーレンの新型エントリーモデル「P13」の正式名称が「スポーツシリーズ」に決定autoblog
  4. ^ 「ブラックスワン襲来」の不安”. 産経ニュース (2021年9月16日). 2021年9月16日閲覧。

参考文献[編集]

  • Michael Morcombe,Field Guide to Australian Birds, Steve Panish Publishing, 2004, ISBN 9781740215596

関連項目[編集]