クロハツモドキ

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クロハツモドキ
クロハツモドキ Russula densifolia
分類
: 菌界 Fungi
: 担子菌門 Basidiomycota
: ハラタケ綱 Agaricomycetes
: ベニタケ目 Russulales
: ベニタケ科 Russulaceae
: ベニタケ属 Russula
: クロハツ節 R. sect. Compactae
: クロハツモドキ R. densifolia
学名
Russula densifolia Secr. ex Gillet (1876)
和名
クロハツモドキ(黒初擬)
英名
crowded russula、reddening russula

クロハツモドキ(黒初擬、R. densifolia)は、茶色から白色のキノコで、赤色から黒色に色が変わる。毒キノコであり、子実体を食べると、消化器系の中毒を起こし、場合によっては死に至るおそれがある。

分布[編集]

北半球[1]針葉樹林広葉樹林[2][3]林内の地上に分布[1]

形態[編集]

クロハツモドキの子実体
胞子
表皮は老成や傷、肉は傷や空気に触れると、赤くなりすぐ黒くなる

径は6~10㎝[1]。窪んだ饅頭型~浅い漏斗状[4]、生長するとじょうご形になる[1][2]

傘の表側は平滑・無毛で、湿っているときは粘性がある[4]。表面は幼菌のとき類白色で、のちに黒褐色や[2]、黒色[2][1]、灰褐色となる[1]

傘の裏側のひだは、幅広く密生し細かい[5][2][1][3][4]。離生し、白色から淡黄土色で、のち老成し、黒色を帯びる[4]胞子は表面にアミロイドの装飾物をつける[1]

は3-5センチメートル[1][3]。太い棒状で、中実から髄状。表面は白色から黒色になる[4]。傷口はすぐ赤く変色し、のち黒くなる[2]

は白色で、無味無臭[2]。肉は傷つくと赤色になり、のちゆっくりと黒色になる[2][4][1]。また、空気に触れるとすぐに赤くなる[4]

生態[編集]

夏から秋に[2][1][3][5]、針葉樹林や広葉樹林[2][3]落葉樹林内にもはえる[5]菌根菌[3]

名称[編集]

以下のような地方名がある[2]

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毒成分は不明だが、子実体を食べると嘔吐下痢などの胃腸系の中毒を起こすことがある[2]。過去には生食しなければ問題ないとされたこともあったが、今では死に至る可能性も指摘されている[1]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l 今関六也・大谷吉雄・本郷次雄、山渓カラー名鑑『増補改訂新版 日本のきのこ』、山と渓谷社、2011年、356・359頁
  2. ^ a b c d e f g h i j k l 長沢栄史、増補改訂フィールドベスト図鑑13『日本の毒きのこ』、学研、2009年、189頁
  3. ^ a b c d e f 保坂健太郎、小学館の図鑑NEO『[改訂版]きのこ』、小学館、2017年、359頁
  4. ^ a b c d e f g 柳沢まきよし、ポケット図鑑『新版 日本のキノコ275』、文一総合出版、2022年、228頁
  5. ^ a b c 今関六也・本郷次雄 カラー自然ガイド『きのこ』、保育社、1986年、41頁