キタイイズナ

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キタイイズナ
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: ネコ目 Carnivora
: イタチ科 Mustelidae
: イタチ属 Mustelinae
: イイズナ M. nivalis
亜種 : キタイイズナ M. n. nivalis[1]
学名
Mustela nivalis nivalis
Linnaeus, 1766[2]
和名
キタイイズナ
英名
North Weasel[3]

キタイイズナMustela nivalis nivalis)は、ネコ目Carnivora)の中では世界最小のであるイタチ科イタチ属イイズナ種亜種で、北海道に生息するイイズナである[4](→写真)。

分布[編集]

北海道海岸[5]平野部から高山帯に至るまで、本種の捕食対象となるネズミが生息している地域に広く分布する[6]。本種の体型は細身で小型なため、ネズミ巣穴に侵入することに適している[5]

特徴[編集]

成獣の大きさはオスメスで異なり、オスの方が大きく、体長はオスが約17 - 18cm、メスが約15 - 17cm。尾長はオスが約2 - 3cm、メスも約2 - 3cm[6][5]体重はオスが約80 - 100g、メスが約50g[5]毛色は、下顎から腹部にかけては1年を通して白色。の先端は黒色。それ以外の部位の毛色は夏毛冬毛で異なり、夏毛は茶系色、冬毛は白色。換毛期は、夏毛への換毛は4月から5月にかけて、冬毛への換毛は10月から11月にかけての期間。数は、切歯が上6本下6本、犬歯が上2本下2本、前臼歯が上6本下6本、後臼歯が上2本下4本、合計34本。乳頭数は、胸部は無し、腹部1対または2対、鼠径部2対、合計6個または8個。指趾数(の数)は、前肢が5本、後肢が5本、合計20本[4]

本種のオスには陰茎骨があり、その先端は型に曲っている[7]

生態[編集]

本種は冬眠はしないで1年中活動し、その活動時間帯は特に定まっておらず、昼夜活動する。繁殖期以外は基本的に単独で行動する[7]

は、既存のや隙間を使用する[4]

食性は主に動物食で、ネズミ両生類カニ昆虫類ミミズ、動物の死体など。また、ヤマグワサクラヤマブドウマタタビ、コクワ(サルナシ)のなどの植物質のものも食べる[7]

繁殖と子イイズナの独立[編集]

繁殖期は4月から8月にかけての期間で、その年に1,2回出産する。子育てメスだけで行う。妊娠期間は約5週間。1度の出産で4 - 6匹の新生子を産む。新生子は視力聴力がない。生後2 - 3週目で乳歯が生え、3 - 4週目で離乳し、4週目で視力を得る。8週目になると幼獣自身で捕食するようになり、9 - 12週目に親離れする。翌年には繁殖できる個体が多い[8]

脚注[編集]

  1. ^ キタイイズナ」(北海道大学 北方生物圏フィールド科学センター 臼尻水産実験所)より。
  2. ^ イイズナ#亜種」を参照。
  3. ^ en:Least Weasel#Subspecies」を参照。
  4. ^ a b c 野生動物調査痕跡学図鑑』(p385)より。
  5. ^ a b c d 日本の哺乳類 改訂2版』(p84)より。
  6. ^ a b 野生動物調査痕跡学図鑑』(p387)より。
  7. ^ a b c 野生動物調査痕跡学図鑑』(p386)より。
  8. ^ 野生動物調査痕跡学図鑑』(p385, p386)より。

参考文献[編集]

ウェブサイト

出版物

  • 門崎允昭『野生動物調査痕跡学図鑑』北海道出版企画センター、2009年10月20日。ISBN 978-4832809147 
  • 米田政明 著「イイズナ」、阿部永 監修、自然環境研究センター 編集 編『日本の哺乳類』(改訂2版)東海大学出版会、2008年7月5日 第1刷発行、p84頁。ISBN 978-4486018025 

関連文献[編集]