ウスタレカメレオン

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ウスタレカメレオン
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
界 : 動物界 Animalia
門 : 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
綱 : 爬虫綱 Reptilia
目 : 有鱗目 Squamata
亜目 : トカゲ亜目 Sauria
下目 : イグアナ下目 Iguania
科 : カメレオン科 Chamaeleonidae
属 : フサエカメレオン属 Furcifer
種 : ウスタレカメレオン
F. oustaleti
学名
Furcifer oustaleti
(Mocquard, 1894)
英名
Malagasy giant chameleon
Oustalet's chameleon
分布域

ウスタレカメレオン (Furcifer oustaleti) は、カメレオン科に分類される大型のカメレオン。別名ジャイアントカメレオン。マダガスカルの固有種であるが[2]、ケニアのナイロビ近郊や[3]、アメリカ合衆国のマイアミ・デイド郡に導入されている[4]。人間の集落付近など、幅広い環境に生息するが、原生林の奥地では稀[1]。

分類と名称[編集]

本種はマダガスカルの乾燥地域から湿潤地域まで、非常に幅広い環境に生息している唯一のカメレオンである。カーペットカメレオンも広く分布すると考えられていたが、現在は数種に分かれている[2][5]。体色やサイズに変異があり[6]、数種に分けられるのかどうかは議論の余地がある[1]。

属名はラテン語で「二股」を意味し、手足の形状に由来する[7]。種小名はフランスの生物学者であるÉmile Oustaletへの献名[8]。

分布と生息地[編集]

マダガスカルの固有種であり、島全体に分布している。乾燥した落葉樹林、湿った常緑樹林、山地のサバンナ、荒れた森林、農地、都市など、幅広い環境に生息する。森の奥深くでは珍しい[1]。

形態[編集]

全長は最大68.5 cmであり、これはカメレオン科で最大である[1][2][9]。パーソンカメレオンやメラーカメレオンはさらに大型化するという主張もあるが、正式な記録は無い[10][11]。ウスタレカメレオンは比較的細身であり、体重はパーソンカメレオンの方が重い[12]。ウスタレカメレオンの雄の体重は通常400 - 500 gであり[13]、さらに低い場合もある。また雌はさらに軽く、全長も最大で40 cm程度である[6]。頭部は丸い兜のように発達している。背中には細かいクレストが並んでおり、腹側の正中線上にさらに小さなクレストが並んでいる[9]。

雄は樹木と同じ灰褐色や褐色で、足や腹部がオレンジ色になる個体もおり、白い不規則な斑模様や鹿の子模様が入ることもある。雌は雄よりも体色変異が多く、黒褐色に白や黄色、灰色、黄緑、青灰色など様々な色の斑模様が入り、瞼が青色になる個体もいる[9][6]。

生態[編集]

虫を捕まえる様子

昆虫や小鳥、小型の爬虫類などを食べ、かつては肉食性であると考えられていた。しかし実際は雑食性であり、果実を食べることもある[14]。Grangeria 属、Chassalia 属、Malleastrum 属の果実を食べており、雨季にも摂食しているため、水分補給が目的では無いと考えられている。通常動物は長い舌で捕らえ、果実には直接噛み付くが、時折珍しい行動が観察されている。枝を前肢で掴んで引き寄せ、果実を食べる行動が知られており、このように前肢を摂食に使う爬虫類は、一部のオオトカゲ科の種と[15]、ナマクアカメレオンのみである。ナマクアカメレオンは本種と同様に、植物を摂食することがある[16]。性格は温厚で、カメレオンの中では知能が高く、周囲をよく観察している。基本的に単独行動である[14]。卵生であり、交尾の40日後に20 - 40個の卵を産む[6]。

人間との関わり[編集]

ペットとして流通しており、年間2000匹ほどの野生個体が取引されている[1]。病気を媒介するネズミを捕食するため、現地では庭で放し飼いにされ、ネズミ捕りの役割を担っている[17]。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f Jenkins, R.K.B.; Andreone, F.; Andriamazava, A.; Anjeriniaina, M.; Brady, L.; Glaw, F.; Griffiths, R.A.; Rabibisoa, N. et al. (2011). “Furcifer oustaleti”. IUCN Red List of Threatened Species 2011: e.T172866A6932058. doi:10.2305/IUCN.UK.2011-2.RLTS.T172866A6932058.en. https://www.iucnredlist.org/species/172866/6932058 2024年3月28日閲覧。. 
  2. ^ a b c Glaw, Frank; Vences, Miguel (2007). A Field Guide to the Amphibians and Reptiles of Madagascar (3rd ed.). Cologne, Germany: Vences & Glaw Verlags. ISBN 978-3929449037 
  3. ^ A Field Guide to the Reptiles of East Africa. Cologne, Germany: Academic Press. (2002). ISBN 0-12-656470-1 
  4. ^ Smith, D.; Vinci, J.; Anderson, C.V.; Eckles, J.K.; Ridgley, F.; Mazzotti, F.J. (2016). “Observations on Nesting and Clutch Size in Furcifer oustaleti (Oustalet's Chameleon) in South Florida”. Southeastern Naturalist 15 (8): 75–88. doi:10.1656/058.015.sp808. 
  5. ^ Florio, A.M.; Ingram, C.M.; Rakotondravony, H.A.; Louis, E.E.; Raxworthy, C.J. (2012). “Detecting cryptic speciation in the widespread and morphologically conservative carpet chameleon (Furcifer lateralis) of Madagascar”. Evolutionary Biology 25 (7): 1399–1414. doi:10.1111/j.1420-9101.2012.02528.x. PMID 22686488. 
  6. ^ a b c d “Furcifer oustaleti”. madcham.de (2014年9月5日). 2024年3月29日閲覧。
  7. ^ Le Berre, François; Richard D. Bartlett (2009). The Chameleon Handbook. Barron's Educational Series. p. 4. ISBN 978-0-7641-4142-3 
  8. ^ Beolens B, Watkins M, Grayson M (2011). The Eponym Dictionary of Reptiles. Baltimore: Johns Hopkins University Press. xiii + 296 pp. ISBN 978-1-4214-0135-5. (Furcifer oustaleti, p. 198).
  9. ^ a b c Bowles, Philip. “Oustalet's Chameleon”. Online Field Guide. 2020年1月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月29日閲覧。
  10. ^ “Care sheet for the Parson's chameleon Calumma parsonii parsonii”. chameleons.info. 2024年3月29日閲覧。
  11. ^ “Meller's Chameleon”. LLL Reptile. 2015年3月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月29日閲覧。
  12. ^ Jenkins, R.K.B.; Andreone, F.; Andriamazava, A.; Anjeriniaina, M.; Brady, L.; Glaw, F.; Griffiths, R.A.; Rabibisoa, N. et al. (2011). “Calumma parsonii”. IUCN Red List of Threatened Species 2011: e.T172896A6937628. doi:10.2305/IUCN.UK.2011-2.RLTS.T172896A6937628.en. https://www.iucnredlist.org/species/172896/6937628 2023年10月28日閲覧。. 
  13. ^ “Oustalet's Chameleon Furcifer Oustatleti”. Dallas World Aquarium. 2024年3月29日閲覧。
  14. ^ a b “Oustalet's Chameleon”. California Academy of Sciences. 2024年3月29日閲覧。
  15. ^ Takahashi, Hiroo (December 2008). “Fruit Feeding Behavior of a Chameleon Furcifer oustaleti: Comparison with Insect Foraging Tactics”. Journal of Herpetology 42 (4): 760–763. doi:10.1670/07-102R2.1. JSTOR 40060573. 
  16. ^ Burrage, Bryan (October 1973). “Comparative ecology and behavior of Chamaeleo pumilus pumilus (Gmelin) and C.namaquensis A. Smith (Sauria: Chamaeleonidae)”. Annals of the South African Museum 61: 75–79. 
  17. ^ “The Malagasy Giant Chameleon” (2014年10月). 2024年3月29日閲覧。

関連項目[編集]

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