インゲンテントウ

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インゲンテントウ
インゲンテントウの成虫
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: コウチュウ目(鞘翅目)
Coleoptera
亜目 : カブトムシ亜目(多食亜目)
Polyphaga
下目 : Cucujiformia
上科 : ヒラタムシ上科 Cucujoidea
: テントウムシ科 Coccinellidae
亜科 : マダラテントウムシ亜科 Epilachninae
: Epilachna
: インゲンテントウ
E. varivestis
学名
Epilachna varivestis
Mulsant, 1850
和名
インゲンテントウ
英名
Mexican bean beetle

インゲンテントウEpilachna varivestis)は、コウチュウ目テントウムシ科に分類される昆虫の一種。日本にはもともと分布していない外来種

分布[編集]

中央アメリカメキシコグアテマラ)を原産地とする[1]

アメリカ合衆国カナダオンタリオ州、日本(長野県[2]、山梨県[3])に移入分布する[1]

特徴[編集]

体長6-8.5mm。同属の在来種であるニジュウヤホシテントウに似ているが、斑紋は8つしかない[4]

マメ科(とくにインゲンマメ属)の植物を食べる。松本(2000)らは、主にサヤインゲン、ベニバナインゲン、アズキ、ダイズ(ごく一部)が食害の対象となっていたと報告している[2]

外来種問題[編集]

ポディサス・マキュリベントリスPodisus maculiventrisカメムシの一種)に襲われるインゲンテントウの幼虫(黄色)

1997年にあった北海道大学の大学院生からの見慣れないテントウムシがいるという連絡によって初めて日本での存在が確認された[5][1]。その後、1994年に長野県で採集された標本が本種であることが判明し、1990年代半ばにはすでに日本に侵入していたものと予想されている[1]

今のところ定着が確認されているのは長野県と山梨県の2県だけであり、標高500m-1500mの地域に限られる[2][1]。分布が拡大しない理由として、本種に寄生するハチの存在が挙げられている[6]。在来種のオオニジュウヤホシテントウが年1化であるのに対して、本種は年2化であり、寄生ハチの活動が活発化したとの指摘もある[6]。また、2令幼虫から4令幼虫の期間は高温に弱く、27度以上では産卵や発育が阻害される[7][3][1]

日本生態学会により日本の侵略的外来種ワースト100に選定されている。

出典・脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f 村上興正・鷲谷いづみ(監修) 日本生態学会(編著)『外来種ハンドブック』地人書館、2002年9月30日。ISBN 4-8052-0706-X 
  2. ^ a b c 松本信弘, 横井春郎, 河野真治 ほか、「山梨および長野県境付近で発生が確認されて以来3年が経過したインゲンテントウの分布」 『関東東山病害虫研究会報』 2000年 2000巻 47号 p.141-143,doi:10.11337/ktpps1999.2000.141
  3. ^ a b 舟久保太一, 依田睦美, 新谷勝広 ほか、「山梨県におけるインゲンテントウの発生と有効薬剤の検索」 『関東東山病害虫研究会年報』 1998年 1998巻 45号 p.171-174, doi:10.11337/ktpps1954.1998.171
  4. ^ インゲンテントウ 国立環境研究所 侵入生物DB
  5. ^ Naoyuki Fujiyama, Haruo Katakura, Yoichi Shirai,. "Report of the Mexican bean beetle, Epilachna varivestis (Coleoptera : Coccinellidae) in Japan." Applied Entomology and Zoology. 1998 Volume 33 Issue 2 Pages 327-331, doi:10.1303/aez.33.327
  6. ^ a b 今井長兵衛「日本における外来種問題」『生活衛生』第49巻第4号、2005年、p.199-214、doi:10.11468/seikatsueisei.49.1992011年7月16日閲覧 
  7. ^ Yuqing Fan Eleanor Groden Francis A. Drummond ,. "Temperature-Dependent Development of Mexican Bean Beetle (Coleoptera: Coccinellidae) Under Constant and Variable Temperatures." Journal of Economic Entomology, Volume 85, Issue 5, 1 October 1992, Pages 1762–1770, doi:10.1093/jee/85.5.1762

外部リンク[編集]