イトヒキブダイ

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イトヒキブダイ
イトヒキブダイ Scarus altipinnis
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : ベラ亜目 Labroidei
: ブダイ科 Scaridae
: アオブダイ属 Scarus
: イトヒキブダイ S. altipinnis
学名
Scarus altipinnis
(Steindachner, 1879)
シノニム[2]
  • Pseudoscarus altipinnis Steindachner, 1879
  • Callyodon waitei Seale, 1906
  • Pseudoscarus brevifilis Günther, 1909
  • Scarus brevifilis (Günther, 1909)
英名
filament-finned parrotfish
high-fin parrotfish

イトヒキブダイ (学名:Scarus altipinnis) は、スズキ目ブダイ科海水魚太平洋熱帯海域に分布する。タイプ産地はギルバート諸島

形態[編集]

全長は60cmを超える[2]。体型はやや側偏した楕円形。背鰭は9棘10軟条から、臀鰭は3棘9軟条から成る[2]。雄成魚は背鰭第1軟条が糸状に伸びる。尾鰭は二重湾入形。

雄の体色は緑色または青色で、額部分は色が濃い。体側面下縁は桃色、鱗には桃色の網目模様が入る。上唇は桃色で、眼の下を通る青いラインをもつ。背鰭下部および臀鰭上部、胸鰭下部は桃色。背鰭上部および臀鰭下部、胸鰭上部、尾鰭は青色。尾鰭には桃色または黄色の不規則な模様が入る[3]

雌の体色は濃い茶色で、不規則に白い小斑点が入る[3]。幼魚の体色は暗色で、白い縦縞と横縞が入るが、成長とともに薄れる。体側面には薄く白い斑紋が規則的に並ぶ。虹彩と吻部は黄色い[3]

分布・生態[編集]

オーストラリア北東部以東の太平洋に分布するが、ハワイ諸島イースター島では記録されていない[2]。日本では小笠原諸島のみで見られる[3]。幼魚は高知県柏島でも確認されている。岩礁や水深30m以浅の浅いサンゴ礁の縁に生息し、群れを作る。幼魚はサンゴ礁内部で単独で生活する。岩やサンゴに付着した藻類を捕食する[2]。産卵は雌雄一対で行われる[2]

人との関わり[編集]

ミクロネシアでは食用に漁獲されている[1]

脚注[編集]

  1. ^ a b Myers, R.; Russell, B.; Choat, J.H.; Clements, K.D.; Rocha, L.A.; Lazuardi, M.E.; Muljadi, A.; Pardede, S. et al. (2012). Scarus altipinnis. IUCN Red List of Threatened Species 2012: e.T190726A17782740. doi:10.2305/IUCN.UK.2012.RLTS.T190726A17782740.en. https://www.iucnredlist.org/species/190726/17782740 2024年1月24日閲覧。. 
  2. ^ a b c d e f Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2024). "Scarus altipinnis" in FishBase. January 2024 version.
  3. ^ a b c d 加藤(2016).

参考文献[編集]

  • 加藤昌一『ネイチャーウォッチングガイドブック ベラ&ブダイ ひと目で特徴がわかる図解付き』誠文堂新光社、2016年、304頁。ISBN 978-4-416-51647-8 

関連項目[編集]